人文社会学

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アイリーン・N アメリカ出身。インディアナ大学ブルーミントンでドイツ語の修士号と比較文学の博士号を取得。その後、学術ジャーナル数誌のコピーエディター、ビジネスライター、大学の英語教師として多忙な毎日を送っている。この9年間英文校正者としても活躍し、これまでに文系の書籍や論文を担当。

この9年間英文校正者としても活躍し、これまでに文系の書籍や論文を担当。

世界中の多様な芸術分野では、文化主義が表立っていますが、ライティングのジャンルやスタイルのトレンドをどのようにすれば知ることができますか?

私は文化や文学についての批評を読んで、世界中の新人作家の情報を得ています。この数年、複数の文化のなかで生活している作家や、東洋と西洋を結びつける作品を書く作家に興味があります。サルマン・ラシュディ、マイケル・オンダーチェ、ジュンパ・ラヒリ、それとか、オルハン・パムクなど。

児童文学についてどう思いますか?イーニッド・ブライトンやJ・K・ローリングなど。

実は、ハリー・ポッターのシリーズは、第一冊目が出版された当時の批評しか読んでいません。大人気のシリーズですけれど、それほど文学的とは言えないようですね。児童文学はもう読まないですね。批評はたまに読みますけれど。

博士論文のテーマは何でしたか?そのテーマを選んだ理由は?

第二次世界大戦の反ナチスのレジスタンスについての小説や短編小説を書いたフランス人とドイツ人の女性作家についてです。1973年に西ベルリンに住んでいたので、ドイツ語に興味があって、その後ドイツ文学にも。理由ははっきり言えませんけれど、第一次・第二次世界大戦の時代に、魅力を感じてたと言えばいいのでしょうか。

その当時のヨーロッパにはたくさんの文化が成熟していて、モダニズムが流行りだしていましたし。その時代のヨーロッパに住みたかったです。いろいろな意味で試練の時期でしたし、自分だったらどのようなチャレンジを受けただろうかなんて想像していました。

どの時代の文学に惹かれますか?理由は?

いまだに両世界大戦の時代に魅力を感じています。ロシア革命から逃れるために家族がフランスへ移住したロシア系ユダヤ人作家のSuite Francaiseを最近読みました。彼女は、大戦間とナチス占領時代のフランスに関するこの作品を4冊の本にまとめようと計画していましたけれど、アウシュビッツへ強制連行されて亡くなる前に2冊しか書き終えられませんでした。この本は執筆後64年経って発見されたものです。

先ほども言いましたが、多文化をテーマに取り上げる現代作家の作品も好きです。現代のグローバル化に関心があるので。

芸術の比較研究にトライする方にアドバイスを。

比較研究の経験者としてのアドバイスは、一番重要なのは、研究対象の文化の知識を深めることです。言語、文化背景、歴史、政治について熟知することが比較研究では必須です。

Googleが本をデジタル化することで、さまざまな学術グループから非難を受けていますが、どう思われますか?

このデジタル化には反対です。Googleは「誰でも、どこにいても、本の世界に手が届く」ようなことを言っていますけれど、この動機の根本はいつもお金が絡んでいますよ。利他主義なんかじゃなくて。だから、結局Googleのためであって、読者のためではないでしょうね。自分の本がGoogle Booksで見つけられなかったら、Googleにちょっとでも同情できたかもしれません。知らないうちに勝手に掲載されていました。Googleも出版社も、私の著書のデジタル化の許可を私に求めませんでした。教師としての経験がある私にとって、研究論文に引用できるようなものではないと主張するのは大変です。個人的に、自分の手で触れる本が好きですから。

校正分野についてですが、幅広い分野をカバーできる校正者は有利でしょうか?ご自身の経験ではどうですか?

幅広い分野をカバーできるのは有利です。私の場合、かなり幅広い分野の文献を読んでいますから、学術研究者として勉強しなかったトピックの論文でも、それなりにしっかりとした足場を組んで校正できます。

原稿の学問分野のエキスパートである校正者を起用する重要性は?

同分野の専門家でもある校正者なら、その分野の世界的な問題や細かいことに関して簡単に気付くことができます。ですから、そのような校正者だと、論文中の議論の成り行きだけでなく、どのように言葉が構成されているかということまで考えられるのは当たり前でしょうね。

英語のネイティブでない筆者の英語の文書の校正で特に注意する点は?

単に原稿のエラー探しをするのではなく、自分が教師になったつもりで校正しています。ですから、自分がなぜこの箇所をこのように校正したのか、原稿の筆者に伝えようと努力しています。まあ、いつもそのような心構えでいます。まずは原稿の全体的な意味に注目し、筆者の様子と原稿の要点をつかみます。それから、文レベルの詳細な校正に入ります。

自分の校正能力が試されたと感じたアサイメントはありましたか?

去年の夏に校正した、意識と瞑想についての本の原稿は、内容にまとまりがありませんでした。筆者は、自分の考えをはっきりと書けなかったみたいです。題材はかなり良かったのですが、文章がちぐはぐで。パズルのように見えたので、各章の中で文を移動させたり、部分的な削除をしたり、意味が良く分かるようになるまでいろいろと手を加えました。筆者は校正結果に驚いていました。彼女自身が書いた本なのに、少しの手直しで原稿がシャープになったのにショックを受けていました。私は、高校でラテン語を習い始めたとき、言語はパズルのようなものだと察して、それからは、言語関係の仕事に関心を寄せるようになりました。

インパクトファクターの高いジャーナルの論文に共通するものは?

文章が明確で、筆者は読者をよく理解しているように書けています。それと、議論の組み立てとサポートが上手です。また、文章を磨き上げるのも上手ですね。

最後に、これから研究論文を初めて執筆する日本人研究者にアドバイスを。日本人研究者特有のミスなどありますか?

私が一番大事だと思うドバイスは、自分の研究でもしたことですが、同分野の論文を読んで研究がどのように組み立てられているのか、それと、効果的な議論がどのように組み立てられているのかしっかりと理解することです。他人のマネをしなさいと言っているのではありません。自分の研究をまとめて発表するための、モデルの観察をすすめているだけです。

よく目にするミスは、筆者がアカデミックライティングで要求されることを無視していることと、対象読者を考慮しないで書いていることです。読者になったつもりで、読者の視点を想像して書いてみてください。

本人の希望により、本名を伏せ、エディターネームを使っています。

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