【専門分野】 生物医学

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メアリー・C 氏 カナダ出身。1962年、カールトン大学地質学科卒業。1964年カールトン大学大学院地質学研究科卒業。地質学修士。1967年、蛍光X線による岩石中のジルコニウム決定因子について論じた本を出版し、高い評価を受ける。1975年に処女小説「アンジェラ」が6万部を超える好セールスを記録。これを皮切りに本格的な作家活動に入り、小説やノンフィクション、インタビュー集など多彩なジャンルで執筆を続けている。

依頼原稿は一つの文学作品のように時間をかけます

2005年には6冊、2006年には2冊の本を出版するなど、最近の著作活動にはめざましいものがありますが、ご自身は作家なのでしょうか、それとも校正者なのでしょうか?

私は作家です。作家でありたいと思っています。物を書くということが私のルーツです。

では、英文校正者として歩み始めたきっかけについて教えてください。

私は大学院を卒業後、しばらく国立の地質調査所に勤め、地質学の研究書を出版しました。これが私の最初の著作物です。そして1975年に小説「アンジェラ」で作家デビューしました。これまでに5冊の小説を含む15冊の本を出版しています。 作家活動のかたわら、私は仕事の裾野を広げたいと考え、1992年にカナダの英文校正者協会に加わりました。 協会が主催する校正のワークショップなどで私は英文校正のイロハを学び、校正者の道を歩き始めました。そのとき、私はすでに作家でしたので、校正の仕事はなじみのあるものでした。

文学に目覚めたきっかけは何ですか? 大学院では地質学を専攻されていましたよね?

はい、もともと私は大学で地質学を専攻し、大学院で地球化学を修めた理系人間です。でも、学問の道は途中で挫折しました。学生時代から、絵画や文学などの芸術分野にも興味がありましたから、その道を進むことを決めました。でも、理系の血は私の中をまだ流れていて、2006年に書いた「シアトルのスティーブン・ホーキンス」や2005年の「アインシュタインと世界物理年」などは、理系ジャンルのノンフィクションです。また、地質学の論文を校正していると、再び故郷に戻ってきたような懐かしい気持ちになります。人は一度に多くの分野でエキスパートにはなれませんね。私のホームベースは地球化学なんです。

作家であることは、英文校正の仕事にも何か影響を及ぼしていますか?

作家はゼロからものを生み出すので、膨大な時間をかけてリサーチし、小説の世界を構築します。同様に私は、英文校正の仕事の場合でも、まずは時間をかけてリサーチから始めます。ほとんどの校正者は、事前のリサーチに時間をかけるというやり方はしません。執筆者が何を述べているのかを正しく知り、提示されている情報が正しいかどうかを知り、すべてのことを完ぺきに知り尽くす。そのやり方が私は好きです。

完ぺき主義者なのですね(笑)。では、論文の世界を完ぺきに把握したあとで、実際の英文校正はどのように進めるのですか?

その通り。私は完ぺき主義者で、やることすべてがベストでなければ気が済みません(笑)。校正では、何度も何度も最初に戻って、文脈をとらえ、意味を理解しようと頭を絞ります。とくに、何を言っているのか皆目見当もつかない執筆者の場合、繰り返し読むしかありません。パソコンのモニターから目を離し、原稿を紙に印刷して、気持ちを切り替えることもあります。しばらくして、またモニターに戻ります。私はすべてを自分の頭で理解できない限り、先には進めないタイプなので、英文校正は長いプロセスです。本当に満足いく “作品”を仕上げるためには、作家として一つの作品に集中するのと同様、膨大な時間が必要です。

依頼原稿をベストな“作品”にするために、一番気をつかうことは何ですか?

もう、全部!全部ですよ。ピリオド一つ、スペース一つ、コンマ一つ、どんなささいなことでもすべて。私の目は、原稿のすべてに注がれます。

でも、ベストな“作品”にするためには、元の原稿がよくなければ意味がありませんよね?執筆者本人が心がけることはありますか?

執筆者にお願いしたいのは、投稿するジャーナルについて、もっと自分でよく調べてほしいということです。校正が済み、すべてが整い、矛盾のない論文に仕上がったと判断したあとで、ジャーナルの要求するフォーマットに全く従っていないと知って愕然とすることがあります。私自身、科学者でもあり、論文投稿の経験も長いので、そうした執筆者がいるのが不思議でなりません。論文を書く前にまずジャーナルフォーマットを確認してほしいというのが、私のささやかな願いです。

本人の希望により、本名を伏せ、エディターネームを使っています。

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