【専門分野】 生物医学

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キャサリン・L・ブレスリン 氏 アメリカ出身。ペンシルベニア州立大学で獣医学を勉強後、テキサス大学大学院で生物医学を専攻。1993年にジャーナル“Clinical Nutrition”に英文校正者として参加したのをきっかけに、校正の道を極めることを決意し、1994年に生物医学を専門とする編集者学校を修了。韓国や台湾の医科大学で専属校正者として依頼を受ける一方、1997年から現在まで、ジャーナル“Nutrition”に編集も手がける主任校正者として携わっている。

アブストラクトが落とし穴。何度も読み返してください。

最近、英文校正者の学会に出席したそうですね?

はい、私はアメリカの医学校正者連盟に属していて、つい先週、ニューイングランドで行われた学会に出席してきました。これは医学専門の校正者だけでなく、医学誌の編集者や医学系ライターたちも集まる学会です。その学会では、便利な校正ツールについて議論し、研究データベースを使いこなす方法などについて理解を深めました。また、図表を校正するテクニックを教えるワークショップなども開催されました。こうした学会は、医学の最先端の知識に触れ、校正の勘どころをリフレッシュするいい機会です。

研究者にならずに、校正者を選んだのはなぜですか?

医学研究を志したこともありましたが、私は自分自身で一つの研究を突き詰めるより、医学の知識を幅広く吸収するほうに興味があました。自分で何かを発見するより、人の発見を知ることのほうが楽しかった。それで、いつも何か新しいことを学べる校正者の仕事を選びました。また、私には5歳と8歳の子供がいるので、子育てに集中するためには、自分の時間を自由に調整できるフリーの立場でいることがベストだと考えました。フリー校正者の立場で一貫して高品質な仕事をするのは難しいことですが、私は安定したクライアントベースを持っているので、仕事は順調です。

安定したクライアントベースとは?

台湾の中山医科大学、韓国の全北国際医科大学の研究者から依頼を受けています。私のクライアントは、母国語を英語としていない医学研究者がほとんどです。今述べたアジアもそうですし、フィンランドなどの北欧、スペインなどの非英語圏にもクライアントがいます。校正を通して世界中の医学研究者とつながりを持てるのはいい刺激です。

そういった英語ノンネイティブの執筆者が陥りがちなミスはどのようなものですか?

文脈に沿った正しい語彙が選択されていない原稿が多いです。その場合、執筆者が何を言いたいのかをくみ取り、それを明確に言い換えるために最適な英語表現を考えます。たとえば、“while” を “where”に、“Since”を“Because”に書き直すことはよくあります。また、これはノンネイティブの研究者に限った話ではありませんが、グラフや図表で述べられている結果を、再度「結果」の章で繰り返したり、「結果」の章で述べたことを「考察」の章で繰り返す例も多く見られます。結果は、まとめて結果の章で述るべきです。

このインタビューは、英語を母国語としない日本の研究者に紹介するものです。彼らのために、よりよい論文を書くためのちょっとしたコツがあれば、教えてください。

アブストラクトを何度も読み返すことをおすすめします。アブストラクトは、結果と考察を端的に反映した内容であるべきですが、意外なことに一貫性のない論文がとても多いです。本文を書き換えたり、データを見直したりしたあとで、アブストラクトを書き直すことを忘れてしまう執筆者が多いようです。論文を書きあげたあと、アブストラクトに戻って、本文との一貫性をもう一度見直してください。よりよい論文を書くために、Mimi Zeiger 氏が書いた“Essentials of Writing Biomedical Research Paper”という本をおすすめします。

英文校正のキャリアは15年ですね。この経験はどのような重みがありますか?

15年を経て、論文が犯している「英語のルール違反」を、的確に、より早く見抜くことができるようになりました。その程度のことです。校正者は、執筆者の発見自体を理解する必要はありませんが、論文の方向性や目的を正しく理解する必要がありますから、もっとキャリアを積み、専門知識を学んで、この分野では右に出る者がいないというほど生物医学に精通した校正者になりたいです。そして「クリエイティブな校正者」になることが私の目標です。

「クリエイティブな校正者」とは?

英文校正は、クリエイティブな仕事だと思いますか?執筆者が書いた原稿をただ直すだけの、副次的な作業のように思う人も多いかもしれません。 確かに、執筆者が新しい発見をしたり研究成果を生み出したりする「光」だとすると、英文校正者は影です。でも、執筆者の生み出す価値には遠く及ばなくとも、何か特別な価値を生み出せる校正者、この校正者でなければイヤだと執筆者が言ってくれる校正者になりたいと思っています。

本人の希望により、本名を伏せ、エディターネームを使っています。

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