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エリザベス・A アメリカ出身。コーネル大学で化学の学士号、ペンシルバニア大学で物質化学の修士号を取得。また、UCSCでテクニカルコミュニケーションを学ぶ。ミシガン大学、スタンフォード大学で講師を努め、その後、テクニカルライターとして、カリフォルニアのソフトウェア会社に勤務。8年前にフリーランスの英文校正者になり、現在に至る。ITと医学の両方を専門にできる、ユニークな校正者。

関心事が私の専門分野になりました

校正者になった理由は?

私の校正キャリアの始まりは、いくつかのオンライン雑誌の編集者としてです。フィクションとノンフィクション両方の編集や校正をしました。それからかなり長いことライターとして働きました。校正の仕事が大好きでしたから、エナゴから校正者の選抜試験を受けてみないかと誘われて、合格したときは嬉しかったです。

書籍の執筆と校正を何冊もされましたが、エナゴから送られてくる原稿との違いは?

まったく違うものです。ノンフィクションだと、コンピュータのマニュアルなどは、説明されている情報が膨大ですけれど、エナゴの原稿は、必要事項が比較的コンパクトにまとまっていて、読者とのコミュニケーションがダイレクトです。書籍と比べると、論文には要点を説明するためのスペースが少ないからでしょうね。

論文の専門性が非常に高い場合、どのように対処されていますか?

論文の専門的な面に惹かれます。私はマッサージセラピストになるために、100時間以上解剖学や生理学の授業を受けました。最近の校正では、この分野の論文がほとんどですが、専門性が高いものが多いです。

この分野の論文の骨組みや基本的な生理学を、じゅうぶん理解しています。でも、専門性が非常に高い箇所については、医学資料や医学ジャーナルの助けを借りています。テキサス大学は、医学研究のデータベースが沢山あって膨大で、大学が出版したジャーナルの論文が揃っていて便利です。

大学での専攻の1つが自然健康科学ですが、生化学、分子生物学、外科学などの特定の分野文書をどう扱いますか?

一番難しいのは、それぞれの専門分野特有の語法を理解することだと思います。例えば、呼吸器について語法は、循環器のとは違います。だから、専門用語の理解をおろそかにすると、著者の意図が分からなくなります。

自分が受けた教育が、医学分野の全体的な理解に役立っていると思います。詳細情報については、医学ジャーナルや、Gray’s Anatomy、Medical Manualといった資料のお世話になっています。

サブスタンティブエディティングをどのように見ていますか?

この種の校正は、校正者が原稿のテーマをよく理解したうえで、原稿内容をより効果的に読者に伝えられるよう、原稿を整えるものです。結果的に、コピーエディティングと校正内容がほとんど同じになる場合もありますが、両者はまったく異なります。

内容が明確に表現されていない場合、不明確になった原因を探します。例えば、なぜこの部分はあいまいなのか、情報自体がもともと不確かなのか、それとも、文の構造のせいで分かりにくいのかなど。サブスタンティブエディティングは、情報が明確に表現されているか、チェックする校正です。

非英語ネイティブの文章の校正はどうですか?

コンピュータ科学の分野で、さまざまな問題に出くわしたことがあります。非ネイティブの筆者が多くて、文章の大がかりな書き直しが必要でした。ネイティブでない人の文書の校正経験が多いので、このような校正に戸惑ったりはしません。

ネイティブでない方々に、学術論文の執筆のアドバイスは?

ネイティブでも、ネイティブでなくても、一番よく目にするミスは、話すの同じスタイルで書いてしまうことです。例えば、このインタビューでの私の発言の多くは、断片的だったり、文が前後と上手につながっていなかったりしているはずです。インタビューだから許されることですが、学術論文には不適切です。

口頭説明のスタイルで学術文書を書く人が多いですが、パラグラフや章を頭のなかで作りあげてから執筆すれば、文語のスタイルで書けます。それと、書いたあとに声を出して読んでみると、内容が明確で筋が通っているのか分かるはずです。

校正原稿の専門分野に個人的な興味を持つことは大切ですか?

ええ、大切だと思います。私は読書好きですから、原稿が届くたび興味がわきます。読んでみたいと思っていたテーマの原稿が届くと、特にうれしいです。

リサーチが難しいテーマだったり、自分の専門外だと興味が薄れることもありますが、色々なテーマを扱えると、仕事の内容のバラエティー豊かになって、やりがいがあります。

英文校正は、単なる機械的な作業ではないということですか?

そのとおりだと思います。校正でも、コピーエディティングの部分はそれなりに機械的な作業です。でも、サブスタンティブエディティングは、熱意がこもった校正になります。機械的なのは、句読法の訂正とか断片的な文のチェックで、嫌いではありません。でも、原稿のテーマを理解して、内容をうまく読者に伝えられるよう仕上げることに、個人的に興味があります。 コミュニケーションのお手伝いですね。

校正作業のプロセスを教えてください。

原稿を受け取ったらまず、全体を見ます。原稿の長さや、どのような図表があるかなど。この原稿に必要なものがすべて揃っているか、それと、全体的な校正が必要か、チェックするためです。そして、原稿を読み、文書の質の評価をして、コピーエディティングとサブスタンティブエディティングのどちらを先にするか決めます。

大抵の場合、簡単なコピーエディティングをまず行います。この作業が終わるまでに、原稿中に意味不明の部分や繰り返されている部分が見つかります。そして次に、原稿の初めに戻り、確認すべき内容や著者が引用している資料を調べてチェックをします。そして、最後に、サブスタンティブエディティング作業に入ります。英文校正では、必要なチェック項目や作業プロセスがはっきりしていますし、作業で原稿に繰り返し目を通すので、校正が終わったときに不安な気持ちにはなりません。

コンピュータの専門家なのに、なぜ医学校正者の仕事をしているのですか?

そうですね、学生時代を含めるとコンピュータ業界に20-25年ほどいました。初めは面白かったですけれど、あとになってマネージメントの仕事を任されるようになりました。7年ほど前、健康や自然医学、マッサージセラピーなどに興味を持ち始めました。この1年間、もうコンピュータ業界では働いていません。今は、自己経営のスパの開業準備で忙しいですし。

だから、私が専門とする医学の分野と私のビジネスは、どちらかというと補完医療的なものです。新しいというよりも、少し変わった分野ですね。

誰もが専門家や優秀な校正者になれると思いますか?

専門家になれば、勉強をしなくて済むわけではありません。例えば、私が口蓋裂の原稿を任せられたら、勉強したことがないテーマなので、内容をすぐに理解できませんが、リサーチをすれば、著者の意図が分かるようになります。ものの考え方は人によって異なると、校正者として感じます。書籍の校正で、執筆者が内容には十分自信があるから、コピーエディティングだけを頼まれたこともありました。

どの原稿もユニークですから、校正者は学ぶ心を持って作業をする必要があります。でも、良い校正者になるには、ライティングのプロセスも理解すべきだと思います。経験を積めば校正能力は向上するはずです。でも、向上心を持って校正をすることが大事だと思います。

一番心に残った校正は?

口蓋裂についての原稿ですね。確か、エナゴからの最新の依頼だったと思います。患者の生活の質がものすごく良くなったことに感動しました。それと、PC Senseで校正とレビューのライターとして働いていた時の校正です。インターネッがあまり知られていない時代で、カナダの雑誌だったので、国際的な雰囲気もありました。テクノロジー界のエキサイティングな時代でした。

ライターと校正者の違いは?

両者は、仲の良い双子です。執筆中は、自分の中の校正者が自分をチェックしているって感じです。執筆では、意識の赴くまま書くことが多いので、自分では筋が通っていると思うことが、第三者が読んでみると分かりにくいことがあります。ライターとして自己表現をしながら、校正者としてその表現を他人に分かってもらえるようにチェックします。

ライティングは芸術で、校正は精密科学のようなものです。校正者は、読者が内容を理解できるように工夫をこらす必要があります。ライターとして書いたものに共感するのですが、校正者として原稿の生産性を考慮する必要があります。でも、校正者はライターを思いやって、ライターが大切にしたい部分を消さないように気配りしています。だから、「仲の良い」双子なのです。

校正者へのフィードバックのシステムをどう思いますか?

非常に大事だと思います。新しい校正会社から仕事をもらい始めたときなどは特に。自分に何を求められているのか知る必要がありますし、どの仕事もベストを尽くしたいですから、フィードバックは大事です。どれだけの量の情報を要求しているのか、どの程度文章を書き直しても構わないか、ただエラーを見つけてほしいだけなのかなど、事前に教えてもらったり、フィードバックをいただけるとありがたいです。

趣味や関心事は?休日には何をしますか?

今現在、打ち込んでいることが2つあります。1つは、自宅の改装。ペンキを塗ったり、新しく壁を建てたりとか。かなり時間がかかります。もう1つは、フリーメイソンの活動です。スピリチュアルなミーティングや、地元のためのボランティア活動をしてます。サンフランシスコ支部の長として、サンタクルーズや、コロラド、ソルトレークシティー支部と関わっています。実は、私の最近の執筆活動は、フリーメーソン関係のものが多いです。

本人の希望により、本名を伏せ、エディターネームを使っています。

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