昨今では、パワーポイントなどの視覚教材が使われない発表はないと言っても過言ではないでしょう。しかし発表を聞く者にとって、やはりメモを書き込めるハンドアウトほど便利なものはありません。今回は、実用的なアドバイスをいくつかあげてみました。英語でハンドアウトを作るときにご参照ください。
【内容について】
1. ハンドアウトの最初のページは、論文の題、発表者の名前、大学名などの所属、Eメール・アドレスで始めます。学会名や日付などを書く必要はありません。また、論文の題などをヘッダーに書く必要もありません。
2. 各項目の見出しは、“1.2.2.1”や“1.2.2.2”と複雑に枝分かれしないように、できれば”1.1”、”1.2”程度の2段階になるようにしましょう。
3. 図やグラフには番号をふりますが、直接引用文には番号はいりません。そのかわり、引用元を書き忘れないように、気をつけてください。
4. 参照文献一覧は、短い発表の場合は5から10文献、長い発表の場合は1ページ程度にまとめましょう。
【フォーマットについて】
1. 白い紙で、表裏の両面を使いましょう。
2. 文字はTimes、Times New Roman、courierが無難でしょう。
3. 文字の大きさは、通常12フォントです。見出しの文字の大きさを変えるのは構いませんが、学会に来る人の多くが近眼だったり老眼だったりとあまり視力に自信がないということをお忘れなく。とくに、2ページを見開きにして1枚の紙に印字する場合は、文字の大きさを少し大きくしたほうがよいでしょう。
4. 枚数を減らそうとして、ビッシリ書き込まないように気をつけましょう。論文は通常2行間隔ですが、ハンドアウトでは1行間隔でタイプします。そのため、余白を上手に使って見やすくするように心がけてください。
5. ハンドアウトの順番は、発表の順番と合わせます。大きなグラフや視覚教材などは、縮小版を発表の順番通りに挿入し、大きなものを別表(appendix)として最後につけしましょう。
6. ページ数を忘れずに記入しましょう。また、小見出しにも、“1. Introduction”や“3. Data”のように番号をつけましょう。小見出しの番号は、発表の最中に「ハンドアウトの2ページの3. Dataを見てください」というように、観衆にどこを説明しているか注意を促す時に便利です。
7. 2つのグラフを比較しなければいかない場合は、その2つのグラフが紙の表裏にこないように気をつけましょう。発表中に観衆が全員で紙をパラパラとめくりだしたら、かなり気が散ります。
8. ホッチキスで左上を止めましょう。
データの集計と予備分析が終わったら、論文を書き始める前に学会へ申し込む準備をすることをお勧めします。とくに有名ジャーナルでの出版を目指している場合、学会の質疑応答から得られるいろいろな助言やアイデアは欠かせないものです。また、目指しているジャーナルが学会から発行されている場合は、その学会で発表することによって、読者層の確認ができるでしょう。忙しいスケジュールをやりくりしての学会発表は気後れするものですが、出版の第一歩だと思って頑張ってください。
学会発表の申し込みをする際、必ず書かなければならないのがアブストラクトです。アブストラクトに、発表する研究の簡単な説明とデータを紹介し、分析結果を提示することによって、研究がその学会に適したものかを審査してもらいます。
学会の主催者が一番心配することは、始めてもいない研究について、いかにも発表できる状態であるかのように書かれたアブストラクトが送られてくることです。そのため、実際にデータ集計と予備分析が終わっている場合は、それらが文面から伝わるようにアブストラクトを書かなくてはなりません。例えば、もしすでに計算が終わっているのであれば、”多くなった”という表現を使う代わりに、”13パーセント増加した”と具体的な数字をだすとよいでしょう。また、文法的には少し変ですが、未来形を使うのは控え”In my presentation, I talk…”と現在形を使うのも効果的です。
また、発表する内容は、発表時間をよく考えて決めてください。仮にいろいろな発見があったとしても、短い時間内で発表できる内容には限りがあります。時間内に収まるように、論点を絞りましょう。
多くの学会参加者が、題をもとに発表を聞きに行くかどうかを決めます。そのため論文の題は、読んだだけで何の研究かが分かるような、キーワードを含んだものがよいでしょう。研究の詳細を説明するような長い題や、抽象的な短い題はお勧めできません。
写真などを使って例をあげる時は、論点を一番よく表したものを丁寧に選びましょう。論点と写真などの視覚教材の接点に無理があると、アブストラクトで書かれた内容がどんなにすばらしくても、実はその分析が主観的で当てにならないかもしれないと疑われます。
また、研究の説明も大切ですが、研究結果とその結果のもたらす意義について書くのをお忘れなく。学会の参加者がどのような人達で、どうしてあなたの研究の結果を知っておくべきなのかを指摘できれば、論文が受理される可能性も俄然と高くなります。
フォーマットとしては、論文の2行間隔とは違い、1行間が基本です。文字はTimesかTimes New Romanの12フォントが無難でしょう。長さは通常、字数制限がありますが、できるだけ字数制限ギリギリまで書くようにしましょう。でも、制限を超えることは絶対にいけません。
アブストラクトの審査の方法は、学会によってかなり違います。申し込む時に、いつ頃までに返事をもらえるか聞いておきましょう。また、ジャーナルへの論文投稿と違って、アブストラクトの評論を送ってくれる学会はあまりありません。もし何かコメントをもらえたのでしたら、それがたとえあまり好意的なものでなくても、丁寧にお礼を言いたいものです。