オープン アクセスという運動があります。オープンアクセスには、社会のあらゆる分野の人々にとって、以下のような利点があります。
アクセス(利用しやすさ) オープンアクセスに参加しているジャーナルや文献集の大半は、読者に利用料金を求めていません。つまり、文献を読むための料金という障壁が大幅に軽減されたか、あるいはまったく廃止されています。これにより、文献の著者たちも今までより広範な読者に自作を読んでもらうことができ、しかもそのための費用もかからないのです。読者の経済状態や、どこにいるのかが問題にならないので、論文その他の文献の対象読者が格段に拡大します。
直接性 その研究分野のコミュニティだけでなく、研究者か一般読者かを問わず広範囲の読者が、研究成果を直接に読むことが可能になりました。
各種の効果を推進 研究成果が広がりやすいので、同様な研究が盛り上がるだけでなく、そこから新たな研究分野が発展すれば、それに取り組んでみようという刺激にもなります。どの分野の研究者たちも研究文献を利用できるのですから、学際的研究や複数分野の協力する研究が発展しやすい環境ができます。
影響力と引用 論文の短期的な影響力は、「購読者のみ」の場合よりもオープンアクセスにした方が、はるかに大きくなる場合が多いものです。長期的にも似たような傾向があり、オープンアクセスで公開している論文のほうが、そうでない論文よりも影響力が若干強いことを示す研究もいくつかあります。
検索のしやすさ オープンアクセスのドメインにある論文のほうが、多くの場合には見つけやすいものです。特に、その論文の中で関心のある事項を検索する、その論文を他人に推薦したり共有する、といった活用が非常に容易になります。
利用できるコンテンツの拡大 オープンアクセスモデルでは、利用できる研究資料は論文だけに限定されません。従来の出版物とは違って、デジタルコンテンツであれば、文章はもとより画像、未加工のデータ、加工したデータ、オーディオビジュアル、ソフトウェアなどもデジタルアーカイブに保管できます。
著者や団体が読者にとって身近に 従来の購読者のみを対象とするジャーナルよりも、オープンアクセスのジャーナルのほうが、著者のことをより多くの読者が知るようになります。関連団体も、オープンアクセスの研究発表に参加したり、そのホストを務めたほうが、知名度を向上させることができます。さらに研究の資金を提供している団体も、社会から良い評価を得ることができます。
発表の費用 ほとんどの場合、従来の出版よりもオープンアクセスのほうが作成も流布も経費が少なくて済みます。これは、ジャーナルにとっても発行者にとっても利点です。ただし論文の著者にとっては、掲載費用が高くなるケースもあります。従来からの出版社の多数が、自社の発行してきた論文などの一部をオープンアクセスでも公表しており、それにより知名度を向上させ、購読者数も増やしています。
今日のトリビア:400億台 - 2020年に日常用電子製品に組み込まれるものと予想される、コンピューターの台数です。
学術ジャーナルに論文を提出して発表してもらう場合、その論文の著者は、そのジャーナルの指定する文体やフォーマット、執筆ガイドラインに従うよう求められます。言葉とプレゼンテーションの両面でそのジャーナルの求める品質を保つため、こうした掲載記事のガイドラインが定められています。こうしたガイドラインは多くの場合、そのジャーナルの「投稿者の方々へのお願い」(あるいは、「投稿してくださる皆様へ」など)のページに掲載されています。ですから、論文を発表するための第一歩は、こうしたガイドラインを確認することになります。(check the requirements specified by the chosen journal)
論文の書き方一般に当てはまる要件や慣行もある他、特定の分野に固有の書き方というものも存在します。こうした要件や慣行は、言葉遣いやプレゼンテーションのあり方、規約、表記の規約、引用の方法、その他各種の面に関連します。通常、こうしたガイドラインについて該当する各分野での経験を積んだ著名な編集者たちが会合を開き、ガイドラインを定期的に更新しています。論文執筆で広く採用されているガイドやマニュアルの一部を、下記に紹介します。
このリストは代表的な例をまとめたものであり、スタイル ガイドすべてを網羅する意図はありません。
上記のガイドラインなどから適切なものを選び、それに準拠して論文を執筆します。その上で専門的な編集サービス(professional editing services)に依頼して、クロスチェックならびに言葉遣いとプレゼンテーションの両面での推敲(crosscheck or improve on both language and presentation aspects)を行ってもらいます。これにより、編集と査読(peer-review process)の両プロセスが迅速化するとともに、その論文が出版用に承認される可能性も高まります。
この記事の著者は、米国出身のエナゴの英語担当エディターです。
「反物質」とは? 通常の「物質」の鏡像のようなもの、とでも言えばよいでしょうか。物質を構成している素粒子には必ず、それに対応している「反粒子」というものが存在します。この「半粒子」仮説が最初に世に出たのは、今から80年近くも前のことでした。以来、世界各地の実験施設で、多数の半粒子の人工的な発生や同定に成功しています。たとえば、電子の半粒子である陽電子、陽子の反粒子である反陽子、その他多数が特定されてきました。
その「反物質」と「物質」が接触すると、必ずその両者の質量合計に匹敵するだけのエネルギーを放出し、崩壊・消滅します。そのため、反物質を研究・利用するためには、充分な時間だけ反物質が消えずに残るよう、物質から隔離する必要があります。

出典: NSF/kdw 水素とその「鏡像」となる「反水素」の例示 (National Science Foundationのご好意により掲載)
こうして反物質の素粒子の発生や捕獲には成功してきたのですが、反物質の原子を発生させ、そのまま捉えるとなると、大変困難な課題です。反物質の素粒子には、ほとんどの場合何らかの電荷があります。なので、電場や磁場を使えば閉じ込めることが可能です。ところが反物質の原子となると、電気的に中性なのです。つまり、構成している各素粒子の正電荷と負電荷が釣り合っているので、原子全体としては電荷がないことになります。このため、反物質の原子を閉じ込めるのは大変困難な作業になるのです。ただ、反原子にも弱い磁気特性があります。そこで、特殊な構成の磁場を使って、反原子を特定の場所に閉じ込めることが可能です。こうした磁場のことを、「磁気瓶」と呼んでいます。
CERN (欧州原子核共同研究機構、European Organization for Nuclear Research) の研究者たちが先日、この困難な課題をやり遂げました。低エネルギーの反水素原子を発生させ、それを見事に捕獲したのです。ALPHA experiment (ALPHA実験)と呼ばれるプロジェクトの成果の1つです。この手法では反水素原子38個を、平均で2/10秒間閉じ込めることが可能です。少し前、科学雑誌Natureに、この実験結果が紹介されました。(results were published in Nature)
この成果をきっかけに、基礎科学と応用の両面で、想像を超える発見がなされる可能性があります。その例を、2つだけ挙げておきましょう。
- 現在、我々の住むこの宇宙では、物質の量と反物質の量がまったく非対称です。つまり、反物質よりも物質の量が圧倒的に多いのです。これは今も、未解明の謎です。その原因は、宇宙の発生時に遡る何かだと見られています。今回の成果により、この謎に近づく道が広がるかもしれません。
- 物質と反物質を接触させると、膨大なエネルギーを発して消滅します。反原子と反物質を発生させ、管理下で物質と反応させれば、膨大なエネルギー源ができます。これに比べれば、既存のエネルギー源はいずれも些細なものに過ぎません。
この記事の著者は、エナゴの米国出身の英語担当エディターによるものです。
この「世紀の迷訳? 大誤訳?」シリーズでは、三回にわたって、世界の大舞台に立って活躍する翻訳者達の小さな(?)間違いが大きな国際問題へと発展していく過程をいくつかご紹介いたしました。そこで今回はちょっと原点に戻って、自分の研究論文を英訳する際、どうしたら誤訳が防げるかを少し考えてみたいと思います。
研究論文を他の人に翻訳してもらう場合、まず大切なのは、その論文の翻訳に必要な専門ジャンルの知識レベルを、相手に明確に説明するということです。論文の内容によっては、その分野に関し浅く広い知識を持った翻訳者が適した場合もあれば、ある事項に関しより深い知識が要求される場合もあります。研究者の中でも、専門知識に広く深い見識がある人が稀なように、ある分野を得意としている翻訳者の中でも、その領域に関して研究者を越えるような広くて深い見識がある人はそうそういるものではありません。自分の論文に最小限必要な専門知識のレベルとそのタイプを、自分なりにきちんと把握し、明確に説明して翻訳を依頼しましょう。
翻訳者が決まったら、翻訳者とのコミュニケーションを大いに歓迎する態度を示したいものです。特に研究論文を書き慣れていない人の場合、どんなに頑張っても、複数の意味にとれる文がいくつか残ってしまうものです。そんな時には、無理に想像をして翻訳を続けるのではなく、逐次意味を確認してもらえば、大きな誤訳へと発展することが防げるのではないでしょうか。
もし時間と人材に恵まれていたら、一度翻訳してもらった論文を、他の人にもう一度読んでもらうと誤訳が激減します。一度日本語を読んでしまうと、どうしてもその表現に引っ張られ、なかなか一度の翻訳では明確で正確な英文には翻訳されません。そこで、翻訳してもらった論文を、まったく新しい第三者の目を通して、英語の論文として読んでもらえれば、新鮮な視点で評価してもらえるはずです。
そしてできることなら、ジャーナルは投稿する前に、少し時間を空け、自分でも英訳された論文を一気に読み直したいものです。少し時間を空け、第三者として英語の論文を読むことで、分かりにくい表現がないか最終確認することができます。
翻訳には時間がかかるものですが、これも自己表現の大切な一歩。あせらず慌てず、頑張ってください!
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前回も少しお話をしましたが、医学や化学など、難解な専門用語がたくさん出てくるサイエンスと呼ばれる分野の論文より、人類学や社会学など、ソフト・サイエンスと呼ばれる分野の論文のほうが、翻訳や校正に時間がかかる傾向があります。これは、文章が端的で論点を一つ一つ辿りやすいサイエンスの論文に比べ、ソフト・サイエンスの論文は、文章が饒舌になりがちなことに起因するといえます。
また、文学作品の翻訳などでは、英語力もさることながら国語の読解力も求められます。余談ですが、以前、とある有名作家の作品の英訳を依頼された友人が、「どうしてもこの文の主語が分からない」と泣きついて来たことがありました。友人はプロの文学専門の翻訳家とはいえアメリカ人。文学作品が大好きでその作家の作品も多く読んでいた私は、簡単に彼の “難題” を引き受けたのですが・・・。
分からないのです!
同じページに出てきている登場人物はたったの二人。でも、どちらを主語にしてもなんだかシックリこない。そこで、その周辺で出てくる物が擬人化されているのではないかと、あれこれ二人で頭をひねりましたが、それもどうもおかしい。
最終的には、著者に連絡を取り、数十ページ前に一回出てきた “主人公が夢に見た人” が主語になるのだと知らされ、謎が解決しました。そう言われれば、「ああ、そうだよな~」と納得でき、また、そこでその人物が回想されることで作品に深みがでてくると、素人ながらに感心したのですが、それと同時に「すみません。この文の主語はなんですか?」と聞かなければならなかった友人に対し本当に申し訳なく、日本人失格と言われたような気持ちになったのを覚えています。
文の構造や論理の構造の違いもさることながら、人間の行動や文化を説明するくだりは、翻訳者として相当の技術と労力が求められます。そのため、文学のみならず、歴史学、芸術学、法学なども翻訳が難しい分野に含まれます。
そして、「翻訳が一番難しい究極の領域は?」は聞かれれば、私は「専門分野に関わらず “冗談” が分析に含まれた論文だ」とお答えします。それがシェークスピアに関する研究論文であるにしろ、笑いに関する心理学の論文であるにしろ、文化と歴史と社会と言語のゴッタ煮である冗談は、翻訳者泣かせです。
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学術論文翻訳サービス・ユレイタスが多くの研究者に支持される理由
ユレイタスの翻訳が高水準の理由とは
【出版記念キャンペーン~書籍を10名様にプレゼント~】
2012年11月22日のブログ記事「書評 ”New Physics Framework”」で取り上げた、ダン・コレンティ氏著” New Physics Framework”の出版を記念して、同書を10名様にプレゼントいたします。
ご希望の方はacademy@enago.comまでメールにて応募の旨を記載の上、お名前・ご住所・お電話番号をお知らせください。
応募期間は2013年3月31日までです。
なお、当選発表は書籍発送をもってかえさせていただきます。
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