研究活動におけるソーシャルメディアの活用
LinkedIn、ResearchGate、Twitter、Facebook、Mendeley、YouTubeなどのソーシャルメディアは、自分の研究を多くの人々に知ってもらい、情報を拡散する上で恰好のツールです。と同時に、自分の専門分野の最新情報の収集や、仲間の研究者たちとの連絡、さまざまなテーマについての意見交換にも役立ちます。
自分の研究に注目してもらい、研究者コミュニティと交流する上でソーシャルメディアが素晴らしいツールであることを多くの研究者は知っています。しかし、ソーシャルメディアを最大限に活用するには、ちょっとしたコツが必要です。
継続は力なり、でも・・・
研究者たちがソーシャルメディアの活用で苦労することの一つは、効果的なネットワーク構築に時間と労力を要することです。FacebookやTwitter、YouTubeなどを使って人々と交流するには、文章を読み書きする、動画やスライドを作成する、写真を撮る、プラットフォームにファイルをアップロードするなどの作業が必要になります。そして、ネットワークを作り、人々の関心を維持するには、そうした作業を継続することが必要です。ツイートや投稿をほとんどせず、プロフィールの更新も怠っていたのでは、フォロワー数は増えません。継続的に更新できないアカウントは、むしろない方がマシという場合もあります。ですから、まずソーシャルメディアに手を出す前に、それに費やすだけの時間があるかを自分自身に問いかけるべきでしょう。
適切なプラットフォームを選ぶ
ソーシャルメディア・プラットフォームを全て利用する必要はありません。自分の研究分野や実績、費やせる時間などにより、適しているメディアが絞り込めるはずです。「どのプラットフォームが自分にとって最適なのか?」を考えて見て下さい。
時間が限られているのであれば、LinkedInでターゲットを絞ったプロフィールを作成し、時折更新していくのが良いかもしれません。頻繁に投稿しなくても自分の研究を紹介できるプラットフォームとしては、ResearchGate、Mendeleyなどが挙げられます。これらのプラットフォームでは、最新の出版物や更新情報をプロフィールに追加していくだけでも十分です。一方、LinkedInをはじめとする多くのプラットフォームは、リンクや写真、記事を投稿したり、同僚の投稿にコメントをつけたりできる機能を使って、コミュニケーションや交流を図ることが可能です。また、研究者を識別するためのIDであるORCID(Open Researcher and Contributor ID)には、世界中の研究者の基本情報と共に論文も登録することができるので、こうしたツールの利用も検討してみることをお勧めします。
Twitter、Facebook、YouTubeなどの活用には、より多くの時間がかかります。閲覧者の関心を集めるためには、定期的にコンテンツ(文章、動画、スライド)を作成し、あまり間隔を空けずに投稿しなければなりません。これらのメディアで安定したネットワークを構築するには時間とエネルギーが必要となるため「始めるかどうか」、「始めるならばいつ始めるか」など、慎重に検討すべきです。プラットフォームを決める前に、同じ分野の研究者たちが、そのプラットフォームで活動しているかを確認することも重要です。以下に挙げる主なソーシャルメディアとその特徴も参考に自分にとってベストなものを見つけてください。
Twitter:ツイッターでは、最新の研究成果、自身のブログ記事、学会発表などについてつぶやくことができます。ツイート内に、自分の論文へのリンクを入れ込むこともできます。
LinkedIn:ビジネス特化型のプラットフォームで、研究や論文についての最新情報を特定のグループ内で共有したり、一般向けに公開したりすることができます。また、自分のブログや記事、ウェブサイトなどへのリンクも掲載できます。
LinkedIn:ビジネス特化型のプラットフォームで、研究や論文についての最新情報を特定のグループ内で共有したり、一般向けに公開したりすることができます。また、自分のブログや記事、ウェブサイトなどへのリンクも掲載できます。
Facebook:他のプラットフォームと同様、フォロワーや友人らに対し、最新の論文や、ブログの更新、そのほかの情報を効果的に共有できます。
ResearchGate:科学者や研究者が研究テーマを共有し、交流するためのソーシャル・ネットワーキング・プラットフォームです。共通のテーマについて他の研究者と共同研究を行う際にも活用できます。
Mendeley:文献の管理と学術情報共有を目的としたソーシャルネットワーキングツールです。この研究者向けプラットフォームでは、グループに参加することで同じ興味を持つ人とのネットワークを広げることができます。自分の研究のインパクトが分かるだけでなく、話題の論文を閲覧することもできます。
ソーシャルメディアの有効活用
ソーシャルメディアをひとたび始めたら、閲覧や更新作業を習慣化してしまうのが良いでしょう。自分の研究分野に関連する投稿や他者の投稿に対するコメントの発信をコツコツ継続していくのです。ただし、コメントが適切かどうか、投稿前に冷静に考えることは忘れないでください。TwitterやLinkedInのアカウントは、毎日5分間チェックする方が、月に1度1時間かけてチェックするよりはるかに効果的です。
ソーシャルメディアで研究をアピールするときのコツも4つ挙げておきますので参考にしてください。
- 自分の分野で重要な人物や組織をフォロー(または「いいね!」)する。
- 写真や動画、関連のあるハッシュタグを付けて、研究内容を定期的に投稿する。可能であれば、読み手の興味を引くように、簡潔でキャッチーな文にする。YouTubeを活用してソーシャルメディアの投稿に動画を入れ込むことも有効です。
- bitly.comやgoo.glなどのサイトを使って短縮したハイパーリンクを記載する。
- 自分のWebページやブログがあれば、ソーシャルメディアにリンクを付けておく。
Altmetricsを使えば、ソーシャルメディアの活用が自分の研究のインパクトにどのように影響したかを測ることができます。Altmetricsは学術的な反応に限らず、一般社会的な反応も知ることができる指標なので、ソーシャルメディアを活用する励みになることでしょう。
また、上に挙げたプラットフォームでネットワークを広げるのと同時に、自分からもっと情報発信したい場合には、Webページやブログを作成することもお勧めです。WordPressなどのサイト作成ツールを利用してページを作成して公開することで、研究成果を広く共有できます。ソーシャルメディアでは書き切れなかった詳しい研究内容や関心を持ってもらえそうな話題を掲載し、SNSでリンクを広めることでアクセスを確保すれば、自分の研究の認知度を高め、さらに論文の閲覧または引用を増やすことにもつながります。
最初はフォロワーが少なくても、根気強く続けることが肝要です。ソーシャルメディアを使いこなすことで、自分の研究のインパクトを高め、研究者とのネットワークを築くことができるのです。
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