英語が母国語ではない研究者が国際的な学術雑誌(ジャーナル)に投稿する論文を執筆した際、言語面の不備が原因でリジェクトされた経験を持つ研究者は少なくないことでしょう。
今記事では、英語論文におけるネイティブチェックの必要性を見直します。
ネイティブチェックとは?

ネイティブチェックとは、対象言語(主に英語)を母国語とする専門家が文章の自然さ、正確さ、明瞭さを確認し、自然で適切な表現となるように必要に応じた修正を行うことです。
特に学術論文では、単純な文法の誤りだけでなく、学術的な表現の適切さ、論理の流れ、文化的なニュアンスや慣用表現などを含め、読者にとって読みやすく、理解しやすい文章に整えることを目的に行います。
英文校正との違いは、文章の自然な流れ、専門用語の適切な使用、表現の調整、文化的な違いなども考慮した上で文章を確認する点にあります。専門分野特有の表現や言い回しなどにも配慮しつつ、文法的にも専門分野的にも正しく、読者が違和感なく読んで理解できる内容とすることが重要です。
なぜ英語論文にネイティブチェックが必要なのか

学術論文は、研究内容を正確に伝えることが重要です。
しかも、新規性を主張したり、先行研究と差別化したりするための学術論文特有の書き方や表現があるので、それらを適切に判断して修正するには、該当分野の専門知識があり、その言語を母国語とするネイティブによるチェックが欠かせません。
ネイティブチェックによる品質向上―評価への影響
国際的な学術ジャーナルの査読では言語の質も大切な評価要素です。
研究内容が優れていても、その内容が正確に伝わらなかったり、表現が不適切であったりすれば、論文の価値は伝わりません。
ほとんどの査読者は限られた時間の中で多くの論文の評価を行っているので、読みにくい文書や言語的なミスが多い論文には否定的な評価をしがちです。査読者に良い印象を与え、内容をきちんと評価してもらうためにもネイティブチェックによる品質向上は欠かせません。
実際、適正なネイティブチェックを受けた論文は、受けなかった論文と比較すると査読でアクセプトされる率が高くなるとの指摘もあります。ジャーナルによっては投稿前のネイティブチェックを義務付けているものもあるようなので注意が必要です。
正しく内容を伝える
学術論文では研究内容を「正しく伝える」ことが必要です。
英語が非母語話者である著者が英語で論文を執筆した場合、分野にかかわらず、文法や語法の細かな誤り、曖昧な表現が入りこむことで、意図した内容が正しく伝わらないことがあります。
間違えやすい英語
論文を執筆する際、文法や語彙、分野特有の表現におけるミス以外に、主語と動詞の不一致、単数・複数、冠詞の選択といった日本人が陥りやすいミスもあります。
また、日本語特有の英語表現(和製英語)を使用してしまわないようにとの注意も必要です。
間違えやすい英語とその影響

英文における主語と動詞の不一致は見落としがちなミスのひとつです。複雑な文章で主語と動詞が一致していないと文意が伝わりにくくなってしまいます。
他に、可算名詞と不可算名詞の区別が曖昧だと起こりがちな単数・複数のミスもよく見られます。学術論文には“equipment”や“information”といった不可算名詞や、“datum/data”や“phenomenon/phenomena”のように複数形が形を変える単語が頻出するので注意します。
また、英語の冠詞は日本人にとって非常に区別が付きにくいものですが、無冠詞でいいのに冠詞を付けたり、冠詞の“a/an”か“the”を間違うだけで意味が異なってしまうので侮れません。
その他に、和製英語にも注意が必要です。日常的に使っているカタカナ語の中には英語と同じ意味を持たないものや、意味が通じないもの、あるいはまったく異なる意味になってしまうものがあり、こうした和製英語を論文で使用すると、読者や査読者に誤解を与えてしまったり、意図しない意味でとられたりする危険性があり、専門性を損ないかねません。
これらのミスは、意味が曖昧になるとともに誤解を招く可能性を高めることになるので修正が必要です。
文法的には正しくても不自然な英語
さらに、「正しくても不自然な英語」にも注意が必要です。
論文では口語的な表現も避け、よりフォーマルな英語表現を用いるようにします。文法は正しくても、専門用語の多用、不自然な単語の選択、回りくどい表現が多いと読みづらくなってしまいます。
文法的に正確であるとともに、読者にとって違和感のない文章の作成を心がけましょう。
また、イギリス英語とアメリカ英語の違いに留意することも大切です。文章全体で一貫制を保つようにしてください。
英文校正後にネイティブチェックをかけることで、ネイティブなら選ばない表現や、意味は通じるけれど洗練されていない表現を修正し、より「自然な英語」にすることで質を高めることが可能です。
語順や語彙を変えることで論文全体の印象を変え、読者が違和感なく論文を読んで理解できるようになるでしょう。
ネイティブチェックと校正・英文校閲・プルーフリーディングの違い
ここで改めて英文校正・英文校閲とネイティブチェック、プルーフリーディングの違いを見ておきます。
それぞれの作業を依頼する際の参考にしてください。

英文校正や英文校閲では文法や語法、表記の誤りを修正しつつ、英語論文としての正確性を確認します。
一方、ネイティブチェックは論文が学術的にも倫理的にも正しい文章になっていることを前提に、英語として自然で違和感のない表現になるよう調整する作業なので、内容への修正や大幅な書き換えは行いません。
それぞれの作業内容を理解した上で依頼するようにしてください。
ただし、翻訳会社などによってはサービスの名称、それに含まれる内容(範囲)が異なることがある点は留意しておいてください。
ネイティブチェックを依頼する際の注意点

ネイティブチェックが必要な際には、翻訳会社や言語サービスプロバイダーに依頼するのが一般的ですが、依頼前に確認しておくべき注意点があります。
- 具体的なサービス内容・作業範囲:依頼先のサービスに何が含まれている/いないか、ネイティブチェックが含まれているか
- 分野の有識者の有無:分野の専門知識をもったネイティブチェッカーがいるか
- 実績:該当する、あるいは類似の専門分野の学術論文の取り扱い実績があるか
ネイティブチェックに要する期間(納期)や料金は、依頼する内容や量によって異なります。
各社のサービス内容は異なっているので、事前に具体的な作業範囲を確認しておきます。合わせて、修正についての質問や確認が可能かも聞いておくとよいでしょう。
また、学術論文のネイティブチェックには、高度な文法知識、校正能力、文章力に加えて、専門分野の知識が不可欠です。該当分野のネイティブチェックが可能かを確認しておきましょう。
翻訳会社などに依頼するメリットとして、各社が独自の基準をもとに翻訳者のレベルや翻訳物の品質を管理していること、秘密保持契約(NDA)や守秘義務契約書の締結など情報の取り扱い方法を定めて管理していることも挙げられます。
注意点も踏まえつつ、過去の実績を参考にするなどして依頼先を検討してください。
まとめ
国際学術ジャーナルは、明確で自然な英語表現を投稿基準の一部として求めているため、投稿論文の英語の質が低いと研究内容が優れていても研究の価値を正当に評価してもらえないどころか、査読前にリジェクトされてしまう可能性も捨てきれません。
逆に読みやすく洗練された英語になっていれば、論文の印象だけでなく、研究の専門性や信頼性を向上させることができます。
最近ではAIツールを使った英文校正が可能となっていますが、用語や表現、語彙や語感の微妙な違いを踏まえた修正はネイティブチェッカーでなければできないことです。
ネイティブチェックは、投稿原稿の品質を保証し、研究の核心が誤解なく読者に届くようにするための重要な工程なのです。
投稿前の原稿をブラッシュアップ―エナゴ英文校正サービスの紹介
本記事ではネイティブによるチェックの重要性をお伝えしました。
エナゴでは、英語ネイティブによる英文校正・英文校閲サービスを提供しています。専門分野に合致する校正者とアカデミック英語に習熟した校正者の2名体制で学術論文に適した文体、表現になっているかなども含めてネイティブの視点からチェックします。
特にアドバンス英文校正以上のサービスでは、論文の構造や論旨の展開といった内容にも踏み込んだ校正を行うので、研究論文全体の質を向上させるのにお役立ていただけます。
アドバンス英文校正サービス https://www.enago.jp/advanced-editing














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