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日本人がよくする英語の間違いトップ20 (1)

日本人が英文を書くさい、独特の間違いをすることが知られています。本ブログでは、専門誌『プロフェッショナル・コミュニケーション・カンファレンス2004(Professional Communication Conference, 2004)』に掲載された論文「日本人著者が書いた英語論文でしばしば見つかる20の問題(Twenty problems frequently found in English research papers authored by Japanese researchers)」(Orr & Yamazaki 2004)をもとに、とくに日本人が英文で学術論文を書くさいに起こしやすい問題について考えてみたいと思います。
本シリーズの初回は、とくに論文の構成などにかかわる大きな問題を中心に、その対応策を考えていきましょう。
1. アブストラクトが論文の要約になっていない
日本人が書いた論文では、アブストラクト(abstract)が論文全体の要約ではなく、最後の“Summary(まとめ)”部分の要約になっていることが多いようです。また、アブストラクトを論文内の重要な文の切り貼りで終わらせるのも日本人によく見られる悪い傾向です。アブストラクトを読んだら研究の概要がすべてわかるように、1つの独立した作品として書き上げましょう。ここで大切なのは、アブストラクトはあくまでも論文全体の要約だということを念頭において書くことです。1つのことを異常に細かく説明したり、他人の言葉を引用したりすることばかりにならないよう気をつけてください。
2. 著者名の表記ミス
著者とは「その論文に欠陥があったときに責任を負う人」のことです。助言をしてくれた人や、定期的に報告書を提出していた研究所長の名前などは著者名に入りません。論文を書くにあたってお世話になった人のことは、“Acknowledgement(謝意)”で感謝の意を表しましょう。
3. Introduction-Methods-Results-Discussionパターンで、最後が尻切れとんぼになる
論理的に研究の内容と結果を上手に表現することができる人でも、最後の議論 (discussion) になると説得力に欠けるのが、日本人によくある特徴です。研究の意義、実用性、ほかの研究との関連性など、自分の論文の魅力を訴えられないために、掲載を却下されることもあります。Discussionの書き方については、日頃からほかの論文でのアピールの仕方を観察し、少しずつ身につけていくよう心がけてください。また素案を考える段階で、論文の意義、実用性、ほかの研究との関連性、学術界への影響を、1つずつ書き出しておくのもよい方法でしょう。
4. 論文構成の使い回し
好きな論文の構成を真似することは悪いことではありません。しかし、日本人の書く論文には、研究内容や論旨がまったく違う論文の構成を模写したかのような、不必要な小見出しや表があるものがあとを断ちません。ほかの論文の構成を参考するときには、まずは自分の研究や論旨と似たものを探すことをお勧めします。
5. 題や見出しが内容と合っていない
他人の論文構成の使い回しと同様、日本人によくある悪い癖は「Introduction-Methods-Results-Discussion(はじめに-方法-結果-議論)」というパターンにむりやり収めようとすることです。複雑な研究であるにもかかわらず、すべてを“Methods”という1つのセクションでダラダラと説明したり、結果と分析を交互に紹介しているのに“Results(結果)”という1つのセクションに押し込めてしまったりしていませんか? 通常使われるパターンにこだわらず、どうすれば論文が読みやすくなるかを考えながら全体の流れを整えて、そのうえで最後に、見出しと内容が合っているかを必ず確認してください。

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