間違いやすい用語や表現 ー based

過去分詞「based」の誤用を度々見かけます。ここではその典型的なものを検討します。
過去分詞およびそれが導入する過去分詞句は、必ず形容詞の機能をもち、名詞とその相当語句のみを修飾しうる語句です。しかし、日本人学者による論文では過去分詞が副詞として用いられているという文法的な誤りをよく目にします。
以下を見てみましょう。
[誤] (1) We performed this experiment based on the method introduced in Ref. [1].
[誤] (2) Based on these assumptions, we are able to derive the results listed in Fig. 2.
[誤] (3) This conclusion was reached partially based upon the argument given in Section 2.
これらの用例では、過去分詞「based」を含む過去分詞句はいずれも主節の動詞を修飾し、誤って副詞的な働きをしています。それぞれの例文における過去分詞句とそれらが修飾する動詞は、(1)では「based on the method introduced in Ref. [1]」と「performed」、(2)では「Based on these assumptions」と「are able」、(3)では「partially based upon the argument given in Section 2」と「was reached」となっております。
上記の誤用例の修正文としては以下が適切です。
[正] (1) We performed this experiment on the basis of the method introduced in Ref. [1].
[正] (1’) We performed this experiment using the method introduced in Ref. [1].
[正] (2) On the basis of these assumptions, we are able to derive the results listed in Fig. 2.
[正] (2’) With these assumptions, we are able to derive the results listed in Fig. 2.
[正] (2’’) Making these assumptions, we are able to derive the results listed in Fig. 2.
[正] (3) This conclusion was reached partially on the basis of the argument given in Section 2.
[正] (3’) The argument given in Section 2 helped us in reaching this conclusion.
[正] (3’’) The argument given in Section 2 was used in reaching this conclusion.
[正] (1)、[正] (1’)、 [正] (2)、[正] (2’)、[正] (2’’)、[正] (3)では原文における過去分詞句が正しく機能している他の修飾句に置き換えられています。その修飾句は、それぞれ[正] (1)、[正] (2)、[正] (2’)、[正] (3)では、主節の動詞を修飾する前置詞句「on the basis of the method introduced in Ref. [1]」、「On the basis of these assumptions」、「With these assumptions」、「on the basis of the argument given in Section 2」であり、[正] (1’)と[正] (2’’)では主節の主語を修飾する現在分詞句「using the method introduced in Ref. [1]」と「Making these assumptions」です。一方、[正] (3’)と[正] (3’’)ではより全面的な修正方法が使われており、原文の過去分詞句が意味していた内容を、主節の動詞「helped」そして「was used」が表しています。
詳しくは『科学論文の英語用法百科・第一編』の第25章をご参照ください。

Dr. Paquetteグレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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