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ポジションペーパー作成に大切な10のポイント

一言で学術論文といっても、研究成果を記す原著論文や学会などで発表するためのポスター発表など、種類や長さによる違い、査読の有無によってさまざまな種類に分けられます。その中のひとつ、ポジションペーパーとは、見解論文と呼ばれることもあるように、比較的短めかつ早めに新しい問題やアイデアに関する見解をまとめるものです。ポジションペーパーを上手に書くには、研究スキルだけでなく、研究を進める間に収集した情報を分析するスキルも必要です。今回は、ポジションペーパーの基本的な構成と、作成するときに押さえておきたい10のポイントを紹介します。

ポジションペーパーとは

ポジションペーパーは、ある問題やアイデアに対して、賛成あるいは反対いずれであれ意見を述べるものです。特定の問題(トピック)について議論したり、再考を求めたりするために書かれます。よって、ポジションペーパーの著者は、取り上げる研究論文やデータが何を伝えているかを読者に伝えた上で、問題や論争となっている点をどのように解釈するか、議論の的となっている理由を説明した上で、自分の見解や論点、解決策についてわかりやすく示す必要があります。

ポジションペーパーの構成

通常、ポジションペーパーは数ページで、取り上げたトピックの概要(議論の論点)、議論の背景、結論(解決策の提示)を1-3段落に分けて記載します。取り上げるトピックを決めたら、それに関する見解と可能な解決策を提案するため、関連する情報、データを収集する必要があります。概要を述べる際に主要な関連用語(キーワード)を特定しておくと背景が書きやすくなるでしょう。また、情報を収集する際には、その情報がトピックに関連性のあるもの、信頼性の高いものであることが不可欠です。ページ数については、4-6ページ程度が目安のようですが、フォントサイズや行間、挿入する図表の数などが指定されていることもあるので、大学や出版社がポジションペーパー用の執筆ガイドラインを定めている場合には、それを参照してください。

トピックの選択(判断基準)

まず、ポジションペーパーを書くのに適したトピックをどうやって選択するかが重要です。面白くないもの、議論の余地のないことについて書いても誰の興味も引けません。自分の研究分野との関連性が高いもの、社会に影響を及ぼす可能性の高いものなど、賛否両面からの議論が展開できるものを選びます。トピックを選別するための判断基準として、以下を考えてみてください。

  • 実際に議論されている、あるいは疑念がもたれているなど明確な論点があるか
  • 説得力のある議論ができるか、賛否両面から論点を説明できるか(議論の異なる側面の長所と短所を挙げられるか)
  • 賛否いずれかの意見を支持、主張ができるか
  • 議論の絞り込みは可能か

これらの問いかけを満たすトピックを選択したら、自分の意見を固めるために、論点の裏付けを行うための研究調査を進めます。賛否両面の証拠を示し、論点や意見を比較することにより、対立する議論の弱い部分への指摘も含め、議論に対して明確に意見することができるようになります。

ポジションペーパーの構成

一般的な構成に沿って考えをまとめてるようにします。

1. 序論
議論の論点
自分の立場表明(賛否あるいは別の見解を有することの表明)
2. 本論
議論の背景
議論を支持する証拠あるいは事実
両方の側面に対する意見・比較
3. 結論
提案
解決策

大切なのは、トピックに対する自分の位置、意見を明確に伝えることです。選択したトピックの論点と他の学術研究、あるいは社会に対する関連性を述べるところから始めるとよいでしょう。議論を支持する証拠としては、適切な引用情報などを用いて自分の意見と共通する議論を明確にします。異議を唱える場合でも論拠は必要ですし、その妥当性も示すようにします。結論では、著者の立場を再述し、提案あるいは解決策を提示します。

押さえておくべき10のポイント

ポジションペーパーがどのようなもので、何を書くかが分かったところで、よりよいポジションペーパーを書くために押さえておきたい10のポイントを書き出しておきます。

  1. 賛否両論のあるタイムリーかつ関連性の高いトピックを選択する
  2. 自身の立場からの議論を裏付ける証拠の収集、徹底的な調査研究を行う
  3. ポジションペーパーの対象読者(一般人、研究者、政策立案者など)を特定した上で、トピックに対する対象読者の立場(読者が議論のどこにを位置づけられるか)を理解し、書き方を調整する
  4. 議論における自分の立場を明確に述べる
  5. 自分の意見への異論、反論などを拾い出し、それらに対する反論を示す
  6. 自分の意見と共通する、同じ見解を支持する・裏付けるためのデータや証拠への賛同も述べる
  7. 適正な情報源から引用する
  8. 論点を分かりやすく明確に提示する(ポジションペーパーの議論では過度に詳細に踏み込む必要はないことに注意する、難解な語彙を使うことも避ける)
  9. 段落ごとにひとつの考え、意見を議論するようにする
  10. 書き終えた後は第三者に校正を依頼し、ミスのない、分かりやすく読みやすいペーパーに仕上げる

ポジションペーパーを書くことは、視野を広げ、通常の研究論文とは異なる形式の論文の書き方を学ぶ良いチャンスです。さまざまな見解を議論することは学術的な貢献にもなりますし、新たな視点を提供するのにも有用です。議論を深め、効果的なポジションペーパーを書くのために、ここに挙げた10のポイントを参照にしてみてください。


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