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論文提出前の読み直しと推敲・校正の重要性

やっと仕上げた論文原稿の問題を指摘されると不愉快になるものです。しかし、文法の間違いなどが、論文全体の評価に悪影響を及ぼすことを指導教員は良く認識しているからこそ、注意してくれるわけです。指摘された箇所を修正することはもちろん、原稿の見直し、推敲・校正するスキルを向上することは大切です。これを怠って間違いを見落としてしまったり、完成度の低い論文を提出してしまうと、研究成果そのものへの大きなマイナスとなってしまいます。

推敲と校正は極めて重要

推敲と校正は、文章を仕上げる上で欠くことのできない必須の作業です。この一手間をかけることにより、文書が的確に、伝えたい考えが明晰に表現できるようになるのです。推敲と校正を同じようなものと考えている学生や論文執筆者を多く見かけますが、両者の意味は明らかに異なります。推敲は文章を読み直して、不適切であったり不明確な部分を修正したり、より良い文章にするため文全体の構成や記述の順番を改めたり、内容を見直したりする作業です。一方、校正は、用語や誤字脱字、文法などの誤りや記述上の不備をチェックして修正する作業です。推敲や校正の手始めに、指導教員の指摘をじっくりと読んでみると良いでしょう。どういう点を注意して見るべきかが分かるはずです。

推敲作業

推敲は大変な作業ですが、必ず習得すべきことです。このスキルを向上させるにはさまざまな要素が関っていますが、手始めに注意すべきこととしては以下が参考になるでしょう。

  • 文書構成
    • イントロダクション(序論)とコンクルージョン(結論)を明確にする
    • 段落構成
      • 段落ごとに内容を明確に転換させること
      • 段落ごとに、その段落の中心をなす考えを示すこと
    • 主題
      • 論文の主張を、明確に、散漫にならずに書き記すこと
      • 論文の中心となる主張を支える明確な論拠を示すこと
    • 明瞭性
      • 必要な場合には定義と論拠を明示することで、論文とそこに記述している考えを明確にする
      • 言葉の重複や文の構成、専門用語の正確な使い方に注意する

校正作業

推敲の次は校正です。より詳細に読み直して、誤りや不備を見つけて修正し、原稿の質を高めます。推敲と同じく、校正も体系的に作業することが必要です。

  • 時間をかける
    • 一回の読み直しで誤りが全て見つかることはないので、繰り返し読み直しを行うようにする
    • 音読することで、時間をかけつつ、より注意深く読み直すことができる
  • 一章ずつ校正する
    • 原稿全体を一挙に校正しようとするのではなく、ある程度のまとまりごとに確認することで、集中力を維持しつつ、消耗感を軽減することができる
  • よくある間違いに着目する
    • よくある間違いに着目することは、将来の執筆にも役立つし、自分がやりがちな間違いに気づけば、繰り返さないように注意することもできる

他の注意点

上で述べたとおり、推敲・校正を行うことで、全般的な文章力を向上させることができ、言葉の使い方や文体のレベルアップも図れます。他の注意としては、論文執筆に求められる改まった形式で書くこと、「……と思われます」あるいは「……のようです」のような非主体的・非能動的な表現を避けることなども挙げられます。

また、論文でよく見過ごされるのは、研究結果を示す表や図の使い方です。科学論文では図表は特に重要です。図表によって、読者はデータを解釈したり可視化したりすることができるからです。

読者は表に表されたデータを見ることによって、本文を読まずに内容を理解することができます。表には、次のことが求められます。

  • 明確な表題
  • 列の見だしはわかりやすく
  • データ自体を明確に
  • 必要に応じた凡例、注釈、参考資料の記載

図は、データを可視化したものであり、写真、チャート図、グラフ、図式(概念図)などがあります。図を見ることによって文章では把握しにくい情報を視覚的に捉えることが可能となります。表と同様に、図で表すデータを明確にするための情報を記載する必要があります。

  • 図示している内容を説明する表題やキャプションを付ける
  • 図番号を付し、図の特定と、文中の言及を容易にする
  • 鮮明で見やすい画像を使う

よい論文を作成するために注意すべきことは、文章の執筆に始まり、読み直し、推敲・校正から、図表の確認まで多岐にわたります。論文執筆に関しては役立つ情報は豊富に出回っているので、さまざまな情報を参照してはいかがでしょうか。


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