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ブログなどで研究成果を事前に発表するのはアリ?ナシ?

ジャーナル(学術雑誌)の投稿規程には、必ずといっていいほど「投稿は、ほかの媒体で発表されたことのないオリジナルの論文に限る」という文面が見られます。そのため雑誌に掲載される前に、自分のウェブサイトやブログ、Twitter、SNS(Facebookなどのソーシャル・ネットワーキング・システム)などで研究内容を明かすことは控えめになってしまいがちです。しかしこれはよくある勘違いで、あの名門学術雑誌『ネイチャー(Nature)』でさえ、雑誌掲載前に研究内容についてブログに書くことを、研究者に推奨しているほどです。
より水準の高い研究は、研究者間の意見の交換なしにはありえません。そのためブログやSNSなどは、一般の学会と同様、自分のアイデアや研究の成果を他の研究者と共有し、意見を交換する場と考えることができます。つまり、意見を交換する場が、どこかのホテルや大学の会議室から、バーチャルに変わっただけだということです。そのため自分の研究の進捗状況をよく理解し、必要に応じてブログなどに投稿し、より多くの意見を得ることは大事なステップといえるでしょう。そのタイミングは、仮に学術雑誌への掲載が内定し、出版されるのを待っている段階でも問題ありません。
研究者のためのSNSとしては、「ResearchGate」や「Academia.edu」などが有名ですが、FacebookやLinkedinなどの通常のSNSにも多くの研究者が登録しており、きわめて専門的で高度な議論が交わされています。
ただ、ここで気をつけなければならないのは、ブログやSNSは何でもありの無法地帯というわけではないということです。
ジャーナルが、ほかで発表していない論文にこだわる理由の1つは、いうまでもなく二番煎じ的な重複出版を避けることにあります。それはブログでも同様のことですので、コピー&ペーストして自分の論文を発表するようなことは、仮に部分的なことでも厳禁です。
また、もう1つの理由として、誰がどんな研究をしているかが事前に詳しく知れ渡ってしまっては、公正な目で論文を読んでくれる査読者を見つけられなくなるということが挙げられます。一般的に、出版前の論文についてテレビ番組や雑誌などのマスメディアを通じて広報活動をすることは禁じられていますが、ブログ上でも自分の論文について発表前にプロモーションすることは御法度です。ブログやSNSは、あくまでもバーチャル学会だという認識のもとで、研究に役立ててください。

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