学術ジャーナルにおけるAssociate Editor(AE)の役割
学術ジャーナルにおけるAssociate Editor(AE)とは、投稿された論文ごとに選任され、その論文の審査プロセスに責任を負う編集担当者のことです。
日本語では「編集委員」や「副編集者」などと訳されます。具体的には、担当原稿の読み込み、適切な査読者の選定と依頼、査読結果に基づく採否判定(Decision)までの一連の業務を担う、査読プロセスの要となる存在です。
本記事では、Associate Editorが選任されるタイミングから、査読者の選定、Decision Letterの作成まで、ジャーナル編集の工程に沿ってその役割を解説します。
ジャーナルにおけるAssociate Editor(AE)の役割
このAssociate Editor(AE)が、ジャーナル編集の工程において実際、どのような作業を担うのかについて見ていきましょう。
単なる「Editor」でなく、連携する存在であることを示す「Associate」が付くことからも、編集長(Editor-in-Chief=EiC)のようにジャーナル全体の方向性を決定づける固定された役割ではなく、論文ごとに選任され、その論文の審査のプロセスに責任を負う立場にいるのがAssociate Editorです。
ジャーナルの分野や規模によっても異なりますが、Associate Editorの役割は、大まかに言うと、担当する原稿に目を通し、内容の専門性が合致し、利益相反に抵触しない適切な査読者を選び、査読者たちのフィードバックを元にその原稿の出版可否を判定するといった一連の業務です。
Associate Editorが選任されるタイミング
ジャーナルに論文が投稿されると、編集長(EiC)、編集者(Editor)、あるいはアシスタントスタッフ等が、提出物に不備がないか、ジャーナルのスコープに適合した研究であるかなど、初期のスクリーニングを行い、基準に満たない原稿をデスクリジェクトします。
このスクリーニングを通過した原稿について、在籍する編集委員の中から内容に合った人材が、選び出されるのです。
取り扱う分野の中でも、特にその論文と親和性が高い担当者を選任できるよう、多くのジャーナルでは数名から数十名の編集委員が在籍しています。担当編集者には、著者と同じ研究機関に所属するなど利益相反の生じる可能性のある立場の人物が通常選ばれることはありません。
初期スクリーニングが終わり、編集部あるいは編集長からAssociate Editorに担当が依頼された段階が、投稿ステータス(Submission Status)の中のEditor Invitedです。
編集者が依頼を受諾するとステータスはEditor Assignedとなります。
Associate Editorによる原稿の読み込み
担当編集となったAssociate Editorは、まずその原稿を読み込みます。
最初のスクリーニングを通過した原稿であっても、ここで致命的な問題が見つかればデスクリジェクトの対象となります。
原稿を読み込むことで、Associate Editorはその原稿に相応しい複数名の査読者の候補を選び、査読の依頼を行います。この段階が原稿の投稿ステータスReviewer Invitedです。査読者が簡単に決まればよいですが、断られたり返信がなかったりした時に新たな候補者に打診するのもAssociate Editorの仕事です。
必要な人数の査読者がアサインされるとステータスはUnder Reviewになります。
Associate EditorによるDecision=判定
査読者たちが査読を終え、原稿についてのフィードバックが戻って来ると、Associate Editorはそれらのフィードバックを参考に、出版可否(Accept/Reject)、必要な改訂の規模(Major Revision/Minor Revision)、原稿の他誌へのトランスファーの提案などを判断し、著者宛てのDecision Letterを作成します。
査読者の間での意見に大きな乖離がある場合は、新たな査読者を立て、新たな意見を取り入れた判定が行われることもあります。
Associate Editor(AE)の役割のまとめ
ジャーナルの規模や編集体制により、Associate Editor(AE)が担う役割の詳細は異なる場合があります。
例えば、決定通知であるDecision Letterの執筆と、編集長(EiC)の名のもとによる送信までを各論文の担当編集が担うこともあれば、編集長自身がこれを行う場合もあるでしょう。
Associate Editorは各原稿に向き合いながら、ジャーナルと著者、査読者(候補)の間に立って様々な調整を行うポジションですが、任期の有無や長短もジャーナルによってまちまちです。
参考文献
日本原子力学会 Journal of Nuclear Science and Technology「英文論文審査・査読要領」(PDF)
WSSA(アメリカ雑草学会 / Weed Science Society of America)による”Associate Editor Guidelines”
ワイリー・サイエンス・カフェ「 ジャーナル・エディターの仕事とは? / 論文の採否判断だけではない重要な役割」


学術界の最新の動向