原著論文とは?定義・総説論文や症例報告との違いを解説
「原著論文(original paper/original research article)」は「研究論文(research paper)」や「学術論文(academic paper)」と、どう違うのかという質問がネット上のQ&Aサイトなどに掲載されているのをしばしば目にします。
ちなみに、英語で単に“research article”は一般的には“original research article”と同義で使われますが、この「原著論文(original paper/original research article/ research article)」は、理系や一部人文科学系の研究領域の「研究論文/学術論文」をいくつかのタイプ/形式に分類したもののうちの一つです。
この記事では原著論文の定義、他の論文形式との違い、読み方のポイントについて解説します。
原著論文の定義
原著論文とは、研究者自身が行った実験や調査、分析に基づき、新たに得られた知見をまとめた学術論文です。
既存の研究のまとめではなく、独自の結果やデータを伴う点が特徴です。
原著論文の一次資料としての位置づけ
原著論文はそれを著した研究者自身が見出した情報・データ・成果をまとめた「一次資料」です。
それを参照した次なる研究につながる情報源で、狭義には、しかるべき査読プロセスを経て出版された「査読付き原著論文(peer-reviewed original article)」を指します。
原著論文の掲載・出版までのプロセス
査読付き原著論文は、執筆後、必要な書類・情報とともに学術ジャーナルに投稿されます。
現在では、ジャーナルのオンライン専用投稿システムからの投稿が一般的です。その後、ジャーナル編集部の事前チェック(=トリアージュ)がなされ、担当編集者がアサインされて同じ分野の専門家による査読(ピアレビュー)を経て、必要な場合は改訂や再投稿が行われた後に掲載・出版されます。
編集部と査読者たちによるチェックプロセスにより、内容の妥当性、独自性、新規性などが厳しく評価される仕組みです。
原著論文と他の論文形式との違い
学術論文には、原著論文以外にも複数の形式があります。
総説論文・レビュー論文(review article)との違い
総説論文は、複数の原著論文をもとに研究分野全体の動向や知見を整理・まとめたものです。
著者自身の研究によって得られたデータや発見などを記述したものではなく、先行する原著論文の情報を体系化したものです。
症例報告(case report)・短報(brief report)との違い
症例報告は単一もしくは少数の症例(患者の症状や、治療とその後の経過など)を報告するもので、短報はまだ一本の論文になるほどのデータがまとまっていないものの速報性が重要なため発表される初期段階の研究成果です。
いずれも独自の研究・臨床データを含みますが、原著論文に比して考察や検証の範囲が限定的です。
学術論文の主な種類
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 原著論文(original paper/original research article/ research article) | 著者自身の研究に基づく新たな知見 |
| 総説論文・レビュー論文(review article) | 複数の原著論文をもとにした研究分野の動向や知見のまとめ |
| 症例報告(case report) | 単一もしくは少数の症例の報告 |
| 短報(brief report / short report) | 初期段階の研究成果の速報 |
| 技術報告・技術資料(technical notes) | 学術および産業分野で応用可能な新手法等の報告 |
| オピニオン論文・意見(Opinion) | 先行研究の仮説や理論、分析、方法に対する意見 |
これら以外にも学術領域によってさまざまな細分化された論文タイプがあり、ジャーナルによっても受け付ける論文が定められています。
原著論文の基本構成
原著論文には一般的に「IMRAD形式」と呼ばれる構成が用いられます。
IMRADの各要素
IMRADとは、Introduction, Materials and methods, Results, and Discussionの頭文字を取った形式で、Introduction(序論)、Methods(方法)、Results(結果)、Discussion(考察)の各セクションを含む論文です。
研究ギャップや分野が抱える課題など研究の背景から、どのようなやり方で研究を行ったか、そして結論までを論理的に伝え、再現性の担保も目指すものです。
原著論文の検索と要旨での概要把握
研究に必要な文献を探す研究者は、自身の研究と関連性の高い原著論文をキーワード検索によって見つけ、要旨(Abstract)を読んで研究の概要を把握して本文まで読み進めるかを決定します。
つまり、書き手にとっては、適切なキーワードを選び、内容を魅力的に伝える要旨を書くことが多くの読み手に研究を届ける上で大切なのです。
原著論文についてのまとめ
原著論文は、研究者自身の新しい知見をまとめた一次資料であり、学術的な信頼の置かれる情報源で、研究論文・学術論文のうちの一つのジャンルです。
多くの場合、IMRAD形式と呼ばれる定められた形式に則って書かれるため、書き方の作法や、専門分野の語彙と文体に親しむことで読解と執筆のハードルは下がるでしょう。
参考文献
Different types of research articles(Taylor & Francis)
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