Twitterは研究者にも有益か-使用上の注意 (前編)
Twitterといえば、トランプ米大統領の書き込みがたびたび話題をさらっています。このソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の最大の威力は、発信された情報が、まさに瞬間的に世界中に拡散されること。このメリットを活用すべく、Twitterの利用は学術界にも波及しており、発信する文字数が制限(280文字、ただし日本語・中国語・韓国語は拡大対象外)されているにも関わらず、研究活動に役立てる研究者も増えているようです。
■ 研究活動にTwitter?
Twitterに限らずSNSをコミュニケーション・ツールとして使いこなす研究者は少なくありません。多くの研究者が、「科学者・研究者のためのFacebook」と呼ばれるResearchGateやAcademia.eduのようなプラットフォームで、研究の共有・情報交換を行っています。無論、FacebookやTwitterの利用者も多いことでしょう。
発信できる文字数に明確な限りがあるTwitterが本当に研究活動の助けになるのか?半信半疑な方もいると思います。しかも、フェイクニュースが話題になるように、発信される情報の信頼性の確保や、無遠慮なリツイートによる炎上といった、社会的な問題をも内包しているTwitterは本当に大丈夫なのか?信頼性が重要視される学術界において、Twitterを使うことで、研究の面白さや重要性を損なってしまうリスクは十分に考えられます。
■ Twitterの投稿は論文の評価に影響するか
2017年8月、研究論文をツイートすることで論文閲覧数に影響が出るかを調査した結果が、オープンアクセス・ジャーナル「PLOS ONE」に発表されました。これはTwitterへの投稿が、学術論文の影響度評価の新たな指標として注目される「オルトメトリクス(SNSでの拡散の度合いも評価対象に含めて論文の影響力を計る新しい指標)」に影響を及ぼすかを調べたものです。つまり、この調査で対象とした歯学分野の研究論文へのリンクを書き込んだツイートを調査することで、積極的なTwitter利用が、論文の周知や他の研究者の興味を引くことに貢献したかを見ようとしたのです。
調査の対象となった論文は、2016年に発表されたWeb of Science(WoS)に登録された84誌とPubMedに登録された47誌の中から抽出。2011年から2016年までの5年間に執筆された4,358本の論文について、2,200以上の米国内の個人アカウントから発信された8,206のツイートの分析が行われました。
■ 分析内容
・WoSの引用数とツイート数の比較
・論文あたりのツイートされた数
・論文あたりのツイートしたアカウントの数
・投稿されたテキストにおける変異
・「@」で始まるツイート数
この分析からツイートされた数の多かった論文トップ10を選び出したところ、ツイートには3つのパターンがあることが見えてきました。
ツイートに見られるパターン
パターン1.1つのアカウントから複数回発せられたツイート
パターン2.アカウント管理者によるツイート
パターン3.情報共有の広がりを示すツイート
これらのパターンそれぞれの特徴については後編に続きます。
こんな記事もどうぞ:
エナゴ学術アカデミー 『いま話題の新しい論文評価指標「オルトメトリクス(Altmetrics)」』
エナゴ学術アカデミー 『ソーシャル・メディアは学術活動に役立つか?』