研究背景とは―押さえておくべきポイントとその書き方

研究論文における研究の背景が重要なのは分かっているけれど、何をどう書けばよいのかが分からないということはありませんか。

研究の背景は、なぜそのテーマを選んだのかという理論的根拠、研究の意義や重要性、自分の研究の貢献度を説明する重要なセクションです。

本記事では、研究背景に書くべきこと、書くときに注意すべきこと、書き方を概説します。

研究背景とは

研究の背景は、研究を行う必要性と、研究を行うことによって何を明らかにしたいのかを示すものです。

研究全体の土台となるものであり、研究の理論的根拠、研究の意義や重要性・必要性、さらに自分の研究がどのように既存の知識の補完や発展につながるかを説明するセクションです。

このセクションは、論文全体への関心を高める重要な役割を担っています。

研究背景に書くべきこと

研究背景には、その研究がなぜ必要で、なにを明らかにしようとしているのかが読者に伝わるように書きます。

それまでに積み重ねられてきた先行研究や知見を踏まえ、なぜその研究テーマを選択したのかの経緯と研究の意義を簡単にまとめておきます。

また、先行研究の不足点や未解決の課題を明確にすることで、自分の研究が既存の知識のどのような部分を補完するのに貢献し、既存の知識を拡張・発展させられるのか、研究を行うことで何が達成できるかを示します。

  • 研究課題の重要性
  • 先行研究の整理(成果、不足点、未解決課題)
  • 研究の目的(新規性)
  • 研究の貢献度(意義)

研究背景を書いてみる

研究背景を書くには、先行研究の流れや、これまでに分かったこと、未解明の課題がどのように今回の研究につながっているか、さらに未解明の点を明らかにすることの意義を整理してみます。

  • 研究テーマにつき現在までにわかっていること
  • 残されているギャップや未解決の課題
  • 先行研究の不足点やギャップを受けることの意義、研究の必要性
  • 研究の論拠

これらを踏まえつつ、自分の研究の論拠や仮説を説明し、研究論文の全体像を示すセクションとして組み立てていきます。

研究テーマの全体が見えるようにすることを心がけて書いてみましょう。

研究背景を書くときの注意

より具体的に研究背景を書くときの注意を見ておきます。

研究背景を書く際は、話の軸がぶれないようにする必要があります。書き方としては、広い話題から、徐々に焦点を絞り、最終的に自分の研究課題へと落とし込んでいく構成にすると良いとされています。

これは「漏斗型」と呼ばれる手法で、話題を絞るにつれて重要な論点を際立たせていきます。

以下に、研究背景を書くときに注意すべきことをあげておきます。

  • 必要なことを適度な長さで書く(短すぎず長すぎず)
  • 明確な表現にする(曖昧さを避ける)
  • 専門用語の乱用を避け、研究分野の専門家以外の読者も分かるように書く(読者を意識して書く)
  • 研究テーマから逸脱したこと、関連の薄いことを書きすぎない
  • 余計な先行研究について書かない
  • 時系列や論理的な流れに沿って整理する

研究背景の流れ

前項に書いたように研究背景を書くときには、広い話題から書き始め、徐々に自分の研究課題へと焦点を絞っていく漏斗型(funnel method)で書くと読者に問題が伝わりやすくなります。

このとき気をつけるのは、どの論点も同じように扱うのではなく、自分の研究課題に関わる論点に注力して絞っていくことです。

同時に、流れを作っておくことも重要です。研究背景に書くそれぞれの要素が論理的につながっていること(流れ)を示すことで、読者は研究の重要性を理解することができるでしょう。

  1. 問題提起(解決すべき主要な研究課題を明確に定義する)
  2. 先行研究の紹介(関連文献の要約、過去の研究から得られた知見など)
  3. 既存研究とのギャップの明確化(先行研究における限界、不足点などの指摘)
  4. 自分の研究の目的の提示(研究課題を解決する必要性、新規性・独自性の明示)
  5. 自分の研究の意義・価値、期待される成果・貢献度の明示

分野にまたがる研究などでは、異なる分野との関連性についての説明が必要になることもありますが、自分の研究で何を達成しようとしているのか、具体的な目標を明示することが大切です。

研究背景の長さは、分野や研究タイプによって調整することができますが、自分の研究がなぜ重要なのかは書き漏らさないようにしてください。

研究背景に記述する情報は、全体を通して論理的に一貫性のある構成となるように留意します。

セクションを書き終えたら全体を見直し、流れや論理展開に不自然な点がないか、書くべき項目が落ちていないか、引用に関する記載が一貫したスタイルで書かれているか、フォーマットが投稿予定のジャーナルの規定(ガイドライン)に準拠しているかなどを確認してください。

適切に記述された研究背景は、読者の関心を喚起するとともに、研究論文の評価を高めることにつながります。本記事を参考に、より良い研究の背景に仕上げてください。

参考文献

科研費.com「研究の背景」の書き方

こんな記事もどうぞ

エナゴ学術英語アカデミー:研究論文の書き方 – 学術英語アカデミー

エナゴ学術英語アカデミー:研究の理論的根拠(Rational)の書き方を解説

よくあるご質問

 

研究背景はいつ書けばいいですか?

他のセクション同様、この順番で論文を書かなければならないということはありません。背景には研究の重要性や必要性を示す必要があるので、原稿の他のセクションを書き終えた後に書くと、論文全体で一貫性のある文章を作成しやすいかもしれません。ご自身で書きやすい順番で書いてください。

研究背景には何を書けばいいのですか?

研究背景は、論文の冒頭に位置する序論の中に書き込まれるものですが、このセクションは読者の関心を引き込むのに大きな影響を与えます。研究背景は、その研究がなぜ必要なのか、その研究を行うことで何を目指すかに焦点を置いて整理するもので、研究の意義や影響、位置づけを読者にわかりやすく伝えるように書く必要があります。

説得力のある研究背景を書くために注意すべき点はどのようなことですか?

説得力のある研究背景を書くために注意すべき点はどのようなことですか? 説得力のある研究の背景を書くには、書くべき項目を書く中で、いくつかのポイントを押さえておくように考慮してください。  先行研究の概説を通して研究テーマの歴史的背景を概説  研究課題に関する最近の動向、その中で残された問題、ギャップなどを説明  自分の研究が、どのように研究ギャップを埋め、どのように貢献できるのかを説明 既存研究とのギャップ(空白領域)を理解した上で、研究の目的と意義を明確に理解してもらうことが読者を引きつけることにつながります。

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