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読むべき論文の選別・優先順位付けに文章要約AIツールを活用

研究者1:ノートPC開く度に大量の論文が届くんだ、勘弁してよ。
研究者2:なんでダウンロードするデータを分類しておかないの?
研究者1:やってるよ。でも、情報量がすごくて、どこから手を付ければいいのかわかんないよ。

どこかで聞いたような会話ですか?学術研究のデータの照合を始めたばかりの研究者によくある困りごとかもしれません。大量の情報が恩恵をもたらすことが多々ある一方で、研究論文に関連する情報過多は必要な情報を特定することを困難にします。必要な情報をすべて見つけ出せたとしても、どの論文を優先して読めばよいのか分らなくなることもあります。例えば、学術雑誌(ジャーナル)掲載論124本、書籍の中の該当する章27章、プレプリント論文45本、卒業論文内の章8章を一度にダウンロードしたとしても、すべてを読むにはどれほどの時間を要するか、見当も付きません。すべての研究論文をセクションごとに要約すれば、相当な時間短縮ができるでしょう。この記事では、研究者が自分の研究テーマに関連する情報源を見つけ出す方法と、研究記事をセクションごとに要約することで時間を有効に使う方法をご案内します。

ダウンロードした膨大な研究データを手作業で照合・要約するのは難しい

文献レビューを行う際には、複数の情報源からダウンロードされた大量のデータを利用し、関連するデータだけを使って最大の有用性を引き出すことが大切です。膨大な研究情報を照合し、管理するには、体系的なアプローチで取り組む必要があります。情報管理がうまくできれば、文献レビューの洞察を導き出し、読むべき論文の優先順位を付けるのに役立ちます。しかし、情報過多になってしまうと、論文の要約を行うどころか、研究データを管理し、分析する段階で混乱してしまうでしょう。

研究論文をセクションごとに正確に要約する秘訣は、要点を押さえることです。論文をひとつひとつ自力で要約するのは大変な作業です。要約するためには、論文を徹底的に読み込まなければなりませんが、すべての論文を最初から最後まで読み、注釈、小見出し、さらに参考文献にまで注意を払うのは途方もない作業です。しかも、重要なことが常に明白に書かれているとは限らないので、重要な点を見逃さないように各セクションを個々に読み進めなければなりません。研究が続く限り、この要約の作業は続きます。さらに、どの論文から読むかの優先順位を決めるには、入念に計画された照合作業と関連度に基づくデータの要約が必要です。

情報過多のほかにも、文献レビューの体系的なアプローチを妨げる問題は以下のようなものがあります。

  • 選択バイアス:キーワードだけで、関連性のある情報と判断すべきではありません。
  • 包括性の欠如:リサーチクエスチョンの理解があいまいで、誤った用語や関連性の低い用語で情報を検索するために発生します。
  • 論文のエビデンス(証拠)を検証していない:証拠を検証しないと結論を誤る恐れがあります。
  • 透明性/再現性の欠如:レビュー手法の再現性は、科学的方法論の中心となる基本的な考え方です。レビュー手法に透明性がなく再現できない場合には、信頼できると見なされません。

どの文献から読むべきかの優先順位の付け方

論文のタイトルだけでは、論文を読み進める決定打とはなりません。通常、研究者は、アブストラクト(要旨)、結果、結論を読んで、その論文をさらに読み進める価値があるか、研究テーマに関連性があるかを判断します。しかし、情報が氾濫している現在、今までと同じやり方をすると、時間と労力を費やすことになってしまいます。

大量にダウンロードした情報から適切な文献を見つけるのは時間と手間のかかる作業です。論文のアブストラクトと結論だけを読んで、その文献が有用な情報かの判断を下したいところですが、自分の研究テーマに関連する重要な情報が、論文のアブストラクトや結論のセクションに記載されているとは限りません。そこで、AIの助けを借りて読むべき論文に正しく優先順位を付けるための新しい技術が模索されるようになりました。AIが研究論文の重要なポイントを強調し、すべてのセクションを要約してくれるのであれば、読み落としの潜在的な解決策となります。この技術により、研究者は関連性のある文献だけを読めるので、時間の節約となるだけでなく、最も大切なことは、適切な情報を引用することが出来るようになります。

論文のセクションごとの要約とは

ほとんどの研究論文は、6つの主要なセクション(アブストラクト、イントロダクション(序論)、方法と方法論、結果、考察、結論)から構成されています。それぞれのセクションには、文献レビューを行う上で重要な鍵となる情報が含まれています。しかし、研究テーマに関連性が高い論文を判別する過程で、過剰な研究データと限られた時間の制約が優先度の正しい判断の妨げとなります。

文献の重要なポイントや発見がセクションごとの要約で自動的にまとめられていれば、その文献を読むべきかどうかの判断に役立ちます。この結果、文献レビューに関連する重要な情報を見逃すことを心配せずに、読むべき論文の優先順位を決めることができます。

セクションごとの論文の要約がクリティカルリーディングを効率化する

文献検索と文献レビューとは、正確で信頼できる研究データを得るための体系的なアプローチです。見つけた情報の調査と分析を行うにあたってはクリティカルリーディングが重要な役割を果たします。ダウンロードしたそれぞれの論文をこのような読み方で読むには、時間と細心の注意が必要です。読んでいる途中で、その文献が自分の研究テーマとはかけ離れていると気づくという事態は避けたいところです。

研究者は、ダウンロードしたすべての情報をクリティカルリーディングするのに時間を費やすかわりに、研究論文の重要な部分を拾ってくれるAIツールを利用することができます。重要な過程、結果の新規性、研究の限界などは、アブストラクトと結論を読んだだけでは把握しきれません。だからこそ、単に研究論文を簡約化するだけでなく、論文のあらゆる重要な側面を含めたセクションごとの要約を作成することが解決策になるのです。

セクションの要約には、その論文のそれぞれのセクションごとの要点がまとめられ、研究者が自身の研究テーマに関連のあるデータを発見し、読むべき論文の優先順位を付けるプロセスを迅速化してくれるのです。セクションごとの要約機能に加え、このような文章要約機能を提供するサービスのもう一つの役立つ機能は、「どのセクションも見落とすことなく、論文全体から重要な要素をつかむのに役立ち、読む論文の優先順位を付けるとともに、読んだ論文の内容を思い出すために有用です。

もはやナレッジ管理!-文献管理ソフトの機能を超えたサービス

科学が進歩するにつれ、発表される文献の量も増え続け、膨大な量の研究データを整理することはもはや不可能となってきています。ダウンロードした情報源を保存、整理するだけでなく、従来の文献管理ソフト(リファレンスマネージャー)の機能を超えて、研究者が重要な論文を優先順位付けするのに役立つナレッジ管理機能など、効率的で信頼性の高いAI ベースのツールの利用が不可欠です。

ナレッジ管理は以下の作業で研究者を補助してくれます。

  • ダウンロードした情報を分かりやすくまとめる
  • クリティカルリーディングを行う論文の優先順位を決定する
  • 関連する論文の引用
  • 重要な詳細を見落とさずにセクションごとの要約を作成する
  • 論文の重要なポイントを捉える助けとなる
  • 重要な情報の箇条書き機能

研究データの収集と管理は大変な作業です。しかも、大量の情報の中から、どの文献を優先的に読むかなど、判断が必要なことは多々あります。文献管理ソフトや、ナレッジ管理ソフトなど便利なAI機能を活用し、作業を効率化させましょう。

参考リンク研究者向けのAIツールプラットフォーム|エナゴリサーチハブ


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