はじめて英語論文を書くときにご注意! 学術英語と一般英語の違い

「英会話にも慣れ、アクション映画ぐらいなら英語音声のみで観られるようになったのに、英語の作文能力がまったく向上しない」という話をよく聞きます。ここで考えたいのが、「日本人だからといって、日本語で学術論文を書けるわけではない」という事実です。一般社会で使われる言語と、学術論文を執筆するさいに使われる言語では、大きな違いがあり、そのことは日本語でも英語でも同じです。そこで今回は、学術英語の特徴について2点をあげてみたいと思います。
1. 一人称は回避される
英語の学術論文を読んでいてまず気づくのは、一人称の使用の少なさでしょう。とくに主語としての一人称は回避される傾向にあります。たとえば、ある実験のために被験者を200名集めたとしましょう。その説明として、“We had 200 subjects.”と書くことは十中八九ありません。
代案の1つとしては、“There were 200 subjects.”など、thereやitなどの無生物の仮の主語が用いられることが考えられます。この無生物主語構文は、動詞の選択にも影響します。たえば、“I found a different effect…”を無生物主語構文にし、“This experiment ____ (me) a different effect”とした場合、動詞の“find”は“present”や“propose”などに変更される必要があります。このとき、主語によっては使えない動詞(この例の場合“tell”や“speak”)もあるので注意が必要となります。
2. 受動態(受身文)が多用される
学術英語では受動態(受身文)が好んで使われます。前述の“We had 200 subjects.”を例にあげて考えると、“Two hundreds subjects were participated in the experiment.”となります。この場合、本当の主語である‘we’はまったく表現されませんので、他の人の論文を読むさいには、全体の流れを踏まえ、気をつけて判断する必要があります。
「一人称を使わず、無生物主語構文や受身文を使う」と書くと、さほど難しくは感じられません。しかし、どのようなときに無生物主語構文を使い、どのようなときに受動態を使い、それらの主語は何にするかなど具体的に考えていくと、なかなか一筋縄にはいかないものです。
また、学術英語とはいっても、生きている言語の1つです。時代とともに使われる表現は変わっていきます。たとえば前述の「一人称の回避」ですが、この数年、言語学や人類学の分野では、使ってもよいという風潮も見られ始めています。いつかその影響が、生物学や物理学などいわゆるサイエンスの分野にも現れるかもしれません。
学術英語を習得するには、こうした要点を踏まえながら、最近出版された論文で、英語を母国語とする研究者が書いたものを、声に出して読むことをお勧めします。英語のリズムを体で感じ、文の構造を全体の流れの中で理解する手助けになるからです。

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