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論文共同執筆者の探し方

分野にもよりますが、学術論文を共同で執筆することが増えています。多くの研究者がチームとなって研究を行うことで知識の共有を広げているのです。他の研究者と共同研究をしたり、共著で論文を執筆したりすることにはいくつかのメリットがあります。さまざまな論文共同執筆者(論文共著者)が自身の知識や経験を持ち寄ることで、研究活動自体をより効率的に、生産的に行うことができるようになるのです。さらに、異文化間、部門間をまたいだチームが協力することで、さらなる創造力や推察力を研究活動にもたらす可能性もあります。たくさんの研究者が協業すれば、研究作業を共有して進めるとともに、チーム内で特定の役割を分担することが可能です。それぞれ異なる研究グループがひとつの研究プロジェクトで助け合うことは、より多くの研究成果を得る助けとなります。そして、実務的なことだけでなく、研究チームに共著者として参加する研究者が増えれば、性別や人種の多様性も増し、さまざまな視点で研究に豊かさをもたらすこともできるでしょう。

もちろん、研究者が協力して科学研究を行うことには責任も伴います。共著者と共に研究を行うことは、多面的な点でやりがいのある仕事です。しかし、共著者は、研究デザインや作業の流れについて異なる見解を持っているかもしれませんし、それぞれの課題に対する取り組み方もさまざまです。論文執筆について相反する意見を持っている可能性もあります。協業がうまくいかなければ、研究プロジェクトが遅延したり、もっと悪ければ失敗したりする可能性も捨てきれません。共同研究で最善の結果を得るためには、戦略的なアプローチが不可欠なのです。

論文共著者に求めること

思い通りの、かつ満足できる協力体制を構築するためには、まず自分自身の強みと弱みに真摯に向き合うことから始めます。自分に不足している部分・スキルが何か分かっていれば、どのような部分で自分をサポートしてくれる共著者が必要なのか分かるはずです。

スキルを相補う論文共著者を探す

例えば、自分が統計ツールを使うことがうまいのであれば、実験作業を概念化したりデザインしたりするのが得意な共著者がいればいいと思いませんか?研究分野で豊かな経験があり、問題解決を助けてくれそうな共同研究者は?補完的な強みを持つ共著者がいれば、作業と分野専門的な作業を分けることによって、より大きく進展させることができます。共著者がいることで、新しい考え方が生まれ、さまざまな手助けを得ることができるでしょう。

研究倫理の理解も含めて気になること

共著者は研究倫理をきちんと把握していますか?メールでのコミュニケーションはタイムリーに行えていますか?約束は守る人ですか?研究について構想し、デザインを構築して分析を行うことなどに時間と労力を惜しまない人ですか?そして、もうひとつ共著者を選ぶときに考慮すべきことは、その共著者は、あなたが最善を尽くすための意欲をかき立ててくれるような人かどうかという点です。

候補者のキャリアと分野

さまざまな段階のキャリアにいる研究者や、異なる分野の研究者を引き込むことで、共著者の多様性が得られます。多様性は、研究全体の質を高めるのに不可欠な要素です。経験レベルの異なる研究者には、それぞれ異なる強みがありますし、異なる分野の研究者は、あなたの研究分野に「異分野からの視点」を持ち込んでくれるでしょう。さらに、読者の幅を自分の研究分野以外に広げることにもつながります。計量書誌学的分析には、著者の人種的多様性が高い出版論文は、より多く引用されていることが示されています。

執筆スキルのある論文共著者

執筆スキルの高い著者を見つけたいものです。共著者と諸条件の交渉をする前に、その候補者が共同研究者として適任かを検討するために、研究業務を例示してもらうか、過去の出版物を聞いておきましょう。

論文共著者の選考

共著者の選考には、その人の知識と経験が不可欠な要素とは言え、もっと重要なことは、あなた自身がその共著者候補と楽しんで研究を進められるかどうかです。共著者になるからには、やる気と共に、研究プ

  • プロジェクトのガイドラインに従って時間と労力を費やす覚悟が必要です。そして、学術分野における評価が悪くないことも大切な要素です。科学研究に対する貢献度合いが高く評価され、評判もよく、名声もある研究者を共著者に迎えることはどんな時でも素晴らしいことです。彼らは、あなたの研究の信頼性と信憑性を高めることに一役を担ってくれるでしょう。

論文共著者をどうやって見つけるか

では、実際にどうやって多様性に富んだ共著者を探せばよいのか。幾つかの方法をあげてみます。

  • 指導員(メンター)や指導教官に共著者になってくれないか聞いてみる
  • 学会などで会った研究者にメールを送信して考えを伝えてみて、共同研究に興味がありそうなら引き続き連絡をとってみる
  • ORCiD、LinkedIn、Twitter、ResearchGateといったソーシャルメディアを通して共著者になってくれそうな研究者に連絡してみる
  • 検索エンジンやデータベースを使って、頻繁に情報を発信している研究者、自分の研究分野で引用数の高い著者を探し出す
    引用率と影響力の高い科学者を共著者にすることは、若手研究者にとっては特に素晴らしい経験となるでしょう。

共同研究を行う際の注意

共同研究を行って論文を共著とする場合、論文著者としての掲載(クレジット)方法、個々の働き方/作業スタイルの承認、コミュニケーション方法など、いくつか注意すべきことがあります。どのような研究プロジェクトであっても、複数の著者が関わる場合には、見解を一致させておくことが成功を左右します。研究業務を楽しく、やりがいの持てるものにするためには、忍耐、共感、知的好奇心、開示性といった価値観の重要性をしっかりと認識しておくことが重要です。研究倫理についての考えが不適切な研究者、あるいは気の合わない共同研究者を選んでしまうと、研究プロジェクトの遅延や早期終了を引き起こしかねません。研究プロジェクトを予定通りに、かつ満足のいく形で確実に完了させるには、慎重さが必要です。共同研究をうまく進めるための注意すべき点について見てみましょう。

各論文著者の役割(オーサーシップ)

  • 各自の目標や興味、役割、責任そして必要性を率直に隠し立てせずに議論する
  • 研究プロジェクトの早い段階で著者が目指すところを決めておく
  • 共同で著者の基準を決めておくとともに、オーサーシップ/貢献度合いに求められるタスクを明確にしておく。こうしておけば、論文を出版する時期に著者に対する見解の相違が生じる可能性を低くすることができます。
  • すべての共著者の作業目標を明確にし、各自の作業が実質的かつ先入観のない形で割り当てられていることを確認しておく

違いを認める

  • 研究成果を出すために、人種、年齢、性別さらに知識レベルの多様性を最大限に生かす
  • 共著者が期待していること、文化基準、倫理的価値を認識しておく。特に研究グループが多様な民族から構成されている場合には、留意しておきましょう。

コミュニケーションが鍵

  • 共同作業のどの段階であっても、対立や誤解を避けるためには率直で、隠し事をしない話し合いが必須
  • 共著者全員が各自の作業の進捗と同様、問題点についても共有する
  • 研究スケジュールについて話し合い、現実的な計画を立てる
  • すべての議論、合意したことについて記録を残す。共同研究契約を紙面にしておけば、対立問題の解決は容易になります。

貢献に対する評価(クレジット)を明示する

  • 貢献内容を公平で公正に明示することを保障する
  • 研究者の性別、職位、人種、キャリア段階などに関わらず公平な貢献評価を行う

よい論文共著者が見つかったら、各人の役割などを確認するだけでなく、共著者全員と論文をどのように公開するかについても話し合っておきましょう。学術雑誌(ジャーナル)に発表するのか、オープンアクセスに投稿するのかなどは重要です。大学のリポジトリに掲載するのに、共著者全員の許諾を得ておく必要があることもあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。

さまざまな研究者と共同研究を行い、共著者の知識と経験を生かしてより素晴らしい成果が得られることを願っています。


参考情報

エナゴウェビナー:誰を論文の著者や貢献者とするか ― 研究者のためのオーサーシップ基礎知識

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