参照文献として誰の論文を引用すべきでしょうか?

論文を書くためには、先行研究として書かれた論文を参照し、引用する必要があります。もし、あなたが参照した論文の信頼性に疑いの目が向けられるようなことがあると、それを参照したあなたの論文にまで疑惑の目が向けられてしまいます。このような不愉快な経験を避けるために、研究者のなかには、知らない研究者の論文をまったく参照せず、信頼できる研究仲間や師事した研究者の論文のみを参照文献として使いながら、自分の研究を進めていく者もいます。とくに、新しい分野の開拓者として何年も同じ分野の研究に従事してきた研究者には、この傾向が大きいようです。実際、自分の名前や自分を含む共著で発表した過去50本にものぼる論文だけを参照文献に使って書かれた論文もあります。それはそれで、「この人はこのテーマに対してここまで研究し尽くしているのだ」という感動に値するものでした。しかし、一瞬の感動が過ぎると、周囲の反応はかなり冷たいものだったといわざるをえません。
幅広い研究を自分の論文に参照文献として取り込むことは、あなたの研究者としての広い見識を読者へアピールすることなのです。
たとえば、あなたが自分とは異なる学説や研究方法を取る論文も参照文献としてあげていれば、あなたは数多くの選択肢の中から今回の研究方法を選び、さまざまな学説のなかから最も正当性のあるものにたどり着いたのだろう、という印象を読者に与えるでしょう。逆に、参照文献が1つの学説に偏っていれば、あなたがほかの学説を知らず、唯一自分が知っている学説のみを無心に信じ込んでいると思われかねません。研究方法においても同じことがいえます。
また、自分や自分の研究仲間の論文だけを参照していれば、どんなによい研究をしても、「この研究者は視野の狭い人だ」と笑われる危険性があります。参照文献には、自分の研究の是非を証明するという以外に、自分の研究者としての信頼性を読者へ訴える機能があるということを忘れないようにしてください。
いうまでもなく、一般読者用の科学雑誌に書かれたエッセイなどを研究論文のように取り扱ってしまうことも、あなたの研究者としての信頼性を損ねかねませんが、そのことは皆さんもよくご存じのことでしょう。幅広い研究分野において、信頼の置ける参照文献を探すことは骨が折れますが、ご自身の研究の深耕のためにも時間を割いて丁寧に取り組みましょう。

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