論文引用の仕方で絶対に抑えておくべきポイント

論文の著者にとって、自分の書いた論文が他の研究者の論文に引用されることは、論文の影響力が上がるという意味で喜ばしいことです。反対に、自分の論文の中に他者の論文を引用することも多々ありますが、この時に注意しなければならないのが、引用の仕方です。これを間違うと盗用・剽窃として、訴訟にも発展しかねません。そうならないために、正しい引用の仕方を抑えておく必要があります。今回は参考文献の記載の仕方と、よく用いられる引用方法についてまとめます。
■ どうやって記載するか-参考文献の記載方法(3種類)
論文中に他人の著作物から得た情報を記す場合は、該当する情報が引用・参照であることを本文中に示し、かつ論文の最後に参考文献としてリスト化する必要があります。
1.本文中に記載する
論文の本文中に、引用文献があることを示す数字か、または引用文献の情報を括弧で記載します。学会や学術ジャーナルによっては数字や著者名、出版年数などの記載方法を示したスタイルガイドがあるので、これを参照しましょう。参考文献のリストは、論文末尾に、数字順またはアルファベット順に掲載します。
例:
・タイリクオオカミは、かつては北米大陸中で見られた肉食動物であった。5(本文中には数字のみ記載する)
・タイリクオオカミは、かつては北米大陸中で見られた肉食動物であった(Smith,1970)。(本文中に著者名と発表年まで記載する)
最初の例は、アメリカ医師会(のスタイルガイドによるものであり、2番目の例は、アメリカ心理学会(によるものです。
2.文末脚注(エンドノート)に記載する
「本文中に記載する」と似ていますが、注釈をつける個所の本文中に数字を括弧書きで記載する方法です。この数字を、論文末尾の参考文献リストの番号と対応させます。
3.脚注(フットノート)に記載する
エンドノートと同様に本文中に数字を記載する方法ですが、参考文献リストを論文末尾にまとめるのではなく、個々の引用を記入したページの下段に記載される点が異なります。
学術ジャーナルに論文を掲載する場合、各誌が著者のためのガイドラインを発表しているので参照できます。また、AMA(アメリカ医師会)、APA(アメリカ心理学会)、MLA(アメリカ現代語学文学協会)、などの学会も、論文執筆者向けに書き方のスタイル(シカゴスタイル<Chicago Manual of Style>など)を提供しています。
■ 引用のルール
参考文献を記載することは、研究の経緯と論拠を示すことでもあります。参考文献を明記することによって、読者は情報が正当なものであることを確認でき、結果として該当論文への信頼の構築につながります。
とはいえ、論文執筆に利用したすべての情報を参考文献に記載する必要はありません。すべてやろうと思えば、途方もない時間がかかります。しかし、どんな場合に参考文献を記載すべきか――は知っておく必要があります。対象には、ニュース番組やウェブサイト、TVやラジオ番組を含め、すべての情報源が当てはまります。
1.直接引用
直接引用とは、一言一句そのまま他人の文章を写すことです。これに参考文献の掲示が必要なことに異論はないでしょう。たとえ単語であっても、引用した語句であれば引用符を付けなければなりません。数行にわたる引用の場合、本文とは明確に区別できる形で書いておきます。
2.間接引用
間接引用とは、他者の考えを自分の言葉に置き換えて書くことです。この場合でも、他者の考えから着想した以上は、参考文献の掲示が必要です。また、引用するにあたっては、専門用語を読者にとってわかりやすい言葉に置き換えることも大切です。
3.要約
要約は間接引用の一種ですが、違いは、主要点のみを短く述べることです。もちろん、これにも参考文献を表示する必要があります。
4.常識
広く一般に知られていることは、それが統計上の情報または研究上の情報でない限り、参考文献を示す必要はありません。
例:
・不要な例――「セントポールはミネソタ州の州都です」
・必要な例――「セントポールは、ミネソタ州の州都で、米国で最も多くの多発性硬化症が発生する都市です」
セントポールが州都であることは一般常識ですが、多発性硬化症が米国で最も多く発生する都市であることは、統計上の情報です。この事実には参考文献を付すべきです。
5.追加情報
結論部分や他の部分で、それ以前に同じ参考文献から同じ内容の記述を引用した旨を一度でも記載したのであれば、再び記載する必要はありません。しかし前述の引用記載とは異なる情報を紹介したり、別の内容を追加したりする場合には、あらためて記載しなければなりません。
■ 間違った引用は身を滅ぼす
盗用・剽窃は重大な不正行為です。発覚すれば、論文を掲載したジャーナルが出版された後であっても撤回を余儀なくされます。著者の所属機関によっては懲戒処分となることもありますし、研究者としての評価は確実に下がってしまいます。
学術機関・学会・出版社によって、参考文献の表示ルールが異なっている場合があるため、注意が必要です。論文を書く際は、まず自身の属する機関のルールを習得しておくこと、さらに論文投稿先のスタイルガイドを厳守することが必要です。
エナゴ学術英語アカデミーではこれまでにも、盗用・剽窃を防ぐ方法について取りあげてきました(「こんな記事もどうぞ」をご参照ください)。ぜひお役立てください。

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論文の盗用・剽窃を避けるコツ-前編
論文の盗用・剽窃を避けるコツ-後編
研究論文での盗用を未然に防ぐには?

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