研究における剽窃を回避するためのクイックガイド

優れた研究論文を書くには、他の研究者の研究成果を基礎に据えることが不可欠です。そのため、研究者であれば研究論文の剽窃を回避する方法の学習が大切なスキルとなります。剽窃にはさまざまな形態があり、研究論文の剽窃の回避に引用符を必ず使うといったような単純なものではありません。ではこれから、確実に研究キャリアを成功させるために、いくつか異なるタイプの剽窃と研究論文の剽窃の回避策を見てみましょう。

 

研究における剽窃とは

剽窃とは、他人の言葉やアイデアをその人のものであると明確に示さずに用いることです。これが重大な犯罪であるにはそれなりの理由があります。もしも自分が一生懸命に取り組んだ仕事や研究を、あなたに何の謝意も示さず許可を得ずに他人が利用したとしたら、どう感じるかを想像してみてください。多くの学術機関で剽窃は懲戒の対象であり、退学処分になることさえあります。剽窃が発覚し公となったアカデミアの著者は、論文を撤回され、職や名声を失う可能性があります。

研究論文の剽窃には、直接剽窃、言い換えによる剽窃、モザイク剽窃、自己剽窃など、さまざまな形態があります。研究論文の剽窃には、別のソースからテキストをコピーして論文に貼り付けるといった単純なものもあれば、複数のソースから文章を抜き出し、実質的な変更や適切な帰属を示さずそれらを織り交ぜたといった形のものまであります。研究論文の剽窃の最も一般的なタイプは次のとおりです。

 

  • 直接剽窃:引用や引用符を用いず、ほかのソースから文章をそのまま自分の論文にコピーすること。

 

  • 言い換え剽窃:自分のアイデアでないことを示さず、ほかのソースからのアイデアを言い換えること。

 

  • モザイク剽窃:複数のソースからアイデアをコピーしたり言い換えたりし、元のソースへの適切な引用もしくは帰属表示なしにそれらを一緒に織り交ぜること。この類の研究論文の剽窃を行なう著者の多くは、原文から一字一句コピーしていないだけで同義語を少し変えるか文章を再編成しています。しかし、これはやはり剽窃です!

 

  • 自己剽窃:以前に出版または投稿した自分の著作物を、出典を明示せずに再利用すること。研究論文の剽窃を避けるためには、研究論文に自分自身の著作を出典として引用する必要があります。

 

研究論文の剽窃を避けるには

では、どうすれば論文の剽窃を避けることができるのでしょうか? 他のソースからの情報を一切使わないほうがいいのでしょうか? 心配しないでください。論文を書くときにほかのソースを参照することができますし、そうすべきです。剽窃を避けるには、次の 4つのことを行なうだけでいいのです。

 

  1. 出典を把握する
  2. 正しい引用の仕方で引用する
  3. 正しい言い換えかたを学ぶ
  4. 剽窃チェッカーを使う

 

出典を記録する

論文の基礎研究を行なう際には、出典と出典先で見つけた有用な情報を注意深く記録しておく必要があります。これには複数の方法があります。書誌情報や引用を物理的なインデックスカードに書き留める研究者もいれば、Works Cited[和美1] ファイル(引用文献ファイル)を作成し、定期的に更新する研究者もいます。EndNoteやMendeleyのようなリファレンス管理ツールも情報源を簡単に辿るのに役立つでしょう。著者、日付、タイトル、出版社、オンラインの場合はURLなどの情報をすべて記録する必要があります。ソース情報をメモとともに記録することで、アイデアの出所を把握して研究論文に適切に引用することができ、論文の剽窃を避けることができます。

 

適切な引用形式を使用して適切に引用する

執筆する研究論文によっては、引用の厳しいガイドラインが存在する場合があります。Chicago、MLA、APA、Bluebookなどの引用スタイルには、論文の本文や参考文献のセクションで源典を引用する方法について独自のルールがあります。さまざまな引用スタイルに慣れれば、論文を読む第三者がそれら文献を簡単にチェックしたり見つけたりすることができるようになります。しかし、引用を最後にまとめてやらないでください。書きながら引用をすることが研究論文において剽窃を避ける最善の方法です。

 

正しい言い換えを学ぶ

前述したように、言い換えには単に元の文章を並べ替えたり、同義語を組み込んだりして元の表現を変えるのではなく、自分の言葉を使わなければなりません。正しく言い換えるには、単語と文の構造の両方を変える必要があります。以下、例を示します。
 

原文(著者Grant, 2015):多国家は、医薬品に特許要件が導入されると、救命医薬品や安価なジェネリック医薬品への入手が阻害され、公衆衛生政策に悪影響が及ぶことを懸念していた。

 

誤った言い換え:多くの国は、医薬品の特許要件の導入が必要不可欠な医薬品や安価なジェネリック医薬品への入手を妨害し、公衆衛生政策におそろしい影響を及ぼすことを心配していた。

 

正しい言い換え:Grant(2015)は医薬品に知的財産保護が導入されれば、必要不可欠な医薬品や安価なジェネリック医薬品を入手する可能性が下がり、公衆衛生政策に悪影響を及ぼすという国際的な懸念が広がっていたと指摘している。

 

最初に挙げた言い換えの例では、ただ単語の一部を同義語に変え、元の文構造はそのままになっています。また原典の引用も一切していません。2つ目の例では、アイディアを言い換え、文の順序を変えつつ同内容を伝えていますが、しかし著者自身の言葉になっています。元となる原典も明記されています。

 

剽窃チェッカーを使う

論文を書き終えたら、エナゴが提供しているような剽窃チェッカーを使用して、剽窃にあたるかもしれない箇所の有無をチェックします。研究論文の剽窃はそれが意図的なものであれ偶発的なものであれ、問題であることを思い出してください。剽窃チェックツールはAIを利用して、あなたの文章をウェブサイトや膨大なオンラインデータベースと比較照合して剽窃を特定、問題のある文章をハイライトで表示します。エナゴの剽窃チェッカーはTurnitinとの提携により、91億以上の現在およびアーカイブされたWebページに対して、最も洗練されたアルゴリズムで剽窃を検出します。また、Academic Articles check学術論文チェック機能を含めることで、1,700以上の出版社から提供される8200万件以上のオープンソースおよび有料学術論文と簡単に比較照合することができます。そして、文章の質を向上させるため、変更履歴内の文書の自動文法チェックを行ないます。これにより研究論文を提出するより前に、誤って剽窃になることを防ぎます。

 

研究論文を書くのは大変な作業です。自分の努力を他の人に認めてもらいたいと願うのと同じように、他の研究者の功績も認めなければなりません。この記事を参考に、剽窃が起こらないよう気をつけましょう。