論文タイトル作成で抑えておくべき4つのポイント!

特定の主題に関する論文を探している際、内容を興味深く説明したタイトルに目を引かれたことはありませんか?一方でタイトルから内容が分かりにくい論文は、なかなか目に留まりません。興味深い内容の優れた論文かもしれないのに、見過ごされてしまうのです。読者を引きつけて論文を読んでもらうには、タイトルで引き込まなければなりません。ここでは、タイトルを作る際に抑えておくべき重要なポイントを4つ紹介します。
論文の表題はなぜ重要なのか
論文のタイトルの作り方について述べる前に、タイトルによってどのように印象が異なるのか、なぜタイトルが重要なのかを考えてみましょう。
例えば、「瞑想と看護」についての研究をしているとします。瞑想によって看護師間のコミュニケーション力が向上する、ということを示す研究があるかどうかを見つけるために、「nursing」(看護)、「communication」(コミュニケーション)、「meditation」(瞑想) というキーワードを使って検索を行った結果、以下のような論文タイトルが出てきました。
- Benefits of Meditation for the Nursing Profession: A Quantitative Investigation (仮訳>看護職にとっての瞑想の利益: 量的調査)
- Why Mindful Nurses Make the Best Communicators(仮訳>なぜ気配りのできる看護師が最善のコミュニケーションを実現できるのか)
- Meditation Gurus (仮訳>瞑想の達人たち)
- Nurses on the Move: A Quantitative Report on How Meditation Can Improve Nurse Performance (仮訳>活動的な看護師: 瞑想が看護師のパフォーマンスを改善し得る方法に関する量的研究)
これら4つのタイトルが示す論文の研究は、非常に似かよった研究に関するものかもしれませんが、同じ研究について述べている可能性も捨てきれません。とはいえ、これらのタイトルは非常に異なる印象を読者に与えるでしょう。
- タイトル1は、研究の主題と方法を述べたものですが、特に人を惹きつけるものではありません。
- タイトル2は、主題の一部について述べていますが、研究方法に関する情報はまったくありません。理論的な研究なのか、意見を述べたものなのかタイトルからは内容が分かりません。
- タイトル3は、前の2つよりは人を惹きつける感じがするものの、論文についてはほとんど情報を与えてくれません。
- タイトル4は、人を惹きつける語句で始まり、研究の内容と方法に関する情報を与える副題がついています。
こうして比較してみると、タイトル4が、論文タイトルとして良い特徴のすべてを備えていることが分かります。では次に、良いタイトルの特徴とは何かを見てみましょう。
良い論文タイトルの特徴
修辞学の研究者であるHairstonとKeeneによると、良い論文タイトルは、以下の4つの点を満たしていることが必要とされています。
1. 論文の内容を予測させるものであること
2. 読者にとって興味深いものであること
3. 論調を反映したものであること
4. キーワード検索の際に見つけられやすい有意なキーワードを含むものであること
前述の4つのタイトル例がこれら4つの項目を満たしているかどうかを見比べてみましょう。
タイトル | 内容を予測させるか? | 興味深いか? | 論調を反映しているか? | 有意なキーワードを含んでいるか? |
1.看護職にとっての瞑想の利益: 量的調査 | ○ | × | × | ○ |
2.なぜ気配りのできる看護師が最善のコミュニケーションを実現できるのか | × | ○ | ○ | × |
3.瞑想の達人たち | × | ○ | × | × |
4.活動的な看護師: 瞑想が看護師のパフォーマンスを改善し得る方法に関する量的研究 | ○ | ○ | ○ | ○ |
こうして比較してみると、4つのタイトル例のうち、すべての項目を満たしているのがタイトル4のみであることが分かります。
論文タイトルをより効果的なものにするために
論文タイトルを作る際には、上の4つの項目を満たすことを目指しましょう。その上で、より効果的な論文タイトルを作るために留意しておくべくことをいくつか紹介しておきます。
- タイトルには、論文の (a) 主題、(b) 方法、(c) 研究対象、 (d) 結果を含める。
[結果]: A [方法] study of [主題] among [研究対象]例: Meditation makes nurses perform better: a qualitative study of mindfulness meditation among German nursing students (仮訳>瞑想は看護師のパフォーマンスを改善する: ドイツの看護学生の意識的な瞑想に関する質的研究)
- タイトルに不必要な単語・専門用語を入れ込むことは避ける。タイトルはできるだけ簡潔にしておき、該当論文の分野を専門としない読者にも理解できるタイトルにする。
- 英語のタイトルの長さは5~15語の範囲にまとめる。
- 大学の課題や、特定の学術雑誌(ジャーナル)に提出する論文のタイトルを作る場合、提出先の規定・指示に従っていることを確認する。例えば、多くのジャーナルは、タイトルに字数制限(空白を含む文字数の上限) を設けているので、投稿規定を確認しておく。また、大学によっては、特定のタイトル形式に従うことが求められるので、独創的なタイトルは付けられないことに注意する。
- 研究目的を効率的に説明できる語句を使う。
- 論文検索で見つけられやすくするように、有意なキーワードを入れ込む。
大切なのは、明確で、興味深く、読者の注意を引きつけるタイトルにすることです。宣言的な表現にすると伝わりやすいでしょう。英語のタイトルでは10~15語程度の中にキーワードを入れ込み、研究において重要なことを強調するようにします。語数が限られるので、不必要な単語・専門用語の挿入は避け、投稿規定などに従った適切な書式となっているかを確認しておきます。
参考情報
この記事で述べた4つのポイントと6つの留意点の他にも、インターネット上には、タイトル作りに役立つ情報が多数掲載されています。以下にリストを付けておきますので参考にしてみてください。
- 南カリフォルニア大学が提供している社会科学分野の論文に特化したガイドライン(USC Libraries, Research Guides)。http://libguides.usc.edu/writingguide/title
- Journal of European Psychology Studentsの公式ブログ「HOW TO WRITE A GOOD TITLE FOR JOURNAL ARTICLES」 は、米国心理学会の形式に従ったタイトルの作り方について書かれています。http://blog.efpsa.org/2012/09/01/how-to-write-a-good-title-for-journal-articles/
- メイン大学の非常勤講師でもあるフリー編集者のKristen Hamlinによる投稿記事「How to Choose a Title for Your Research Paper」は、タイトルの作成方法を9つの段階に分けて説明しています。 http://classroom.synonym.com/choose-title-research-paper-4332.html
こんな記事もどうぞ
- エナゴ学術英語アカデミー 魅力的なタイトルを付けるコツTOP10
- エナゴ学術英語アカデミー パケット道場~初級アカデミック英語講座~ タイトル