Sciencescapeは最新の文献収集に役立つか?

学術論文の発表が急増することにより、自身の研究分野において常に最新の研究成果を得ようとすることがますます難しくなっています。いくら優秀な研究者であろうと、特定の分野で発表されたすべての論文をくまなくチェックすることは不可能です。それでは大量の文献を、必要なものと不要なものとに効率よく仕分けるにはどうすれば良いのでしょうか? そうした悩みを持つ研究者の皆様に役立つのが、この新しいツールSciencescapeなのです。
文献の検索以外の機能も備えるSciencescape

Sciencescapeではバイオメディカル分野において古い文献から最新の文献にいたるまで、約2,200万本もの論文を取り扱っています。利用者は遺伝や薬学等、関心のある分野を選択し、文献のデータベースを検索します。このような検索機能以外にも、Sciencescapeには文献をライブラリに保存するツールや、他の研究者と論文を共有できるツールも備わっています。Sciencescapeに対する専門家の意見を聞いてみましょう。


 日々発表される大量の論文を効率的に整理し、把握することができる画期的なツール。

Sciencescapeは、研究者が最新かつ関連性のある論文をキャッチアップするのに役立つ優れたツールです。Sciencescapeを利用することによって、毎日発表される大量の論文を整理し、内容を簡単に把握することができます。Sciencescapeはリアルタイムで文献を分類するアルゴリズムを使用し、研究者それぞれが関心を持っている分野の文献を整理することで、関連研究分野の調査・研究結果について研究者たちに常に最先端の情報を提供します。
新しい文献の検索が容易になるほか、データ可視化機能も備えていますので独自のプロジェクトのアイデアをまとめるのにも便利です。また、自身の論文を特定ライブラリごとに分類して整理し、同じ研究グループ内の人びとと重要な情報を共有することも可能にします。

修士(学際的分野)
アメリカでの研究・校正歴6年以上


 急を要する研究の場合でも、論文の内容を容易に把握することができる。

これまでの文献検索では、関連のある情報が存在しそうなデータベースを、特定のキーワードでできる限りたくさん検索していました。さらに几帳面な研究者であれば、対象となるキーワードの幅を広げ、主要な類義語や一般的ではない用語をデータベース検索に活用していたかもしれません。文献のデータベースは現在も急速に拡大しています。こうしたデータベースの拡大に対応するため、Sciencescapeは特別な指標や関数を用いてこうした検索のプロセスを自動化することができます。それにより検索の時間も大幅に短縮されることになるでしょう。グラフィカル・インタフェースの採用により必要な情報を一目で閲覧することが可能になり、特に重要性の高い情報を見逃すこともなくなります。
このツールを使用することで、急を要する研究の場合でも素早く文献の内容を把握することができます。郵送による購読など、かつてのシステムを懐かしがる方も存在することでしょう。しかし特定の研究分野の最新の情報を効率的に提供してくれるこのツールの有用性を疑う人はいないはずです。一方で、独断的な考えや影響力の高い研究に使用が偏りがちになるため、一般市民や商業的な関心に迎合してしまう可能性があるという、このツールの特性もまた理解しておく必要があります。

博士(腫瘍学)
オーストラリアでの科学分野・医療分野に関する執筆歴12年以上


 将来私たちの世界により広く浸透してゆくだろう。

このツールはユーザーたちの行動や関心によって作られた「知的」アルゴリズムを使って個別の検索環境を都度改善し、利用者それぞれに最適な文献を紹介してくれます。まるで、私たちが閲覧したり購入したりした書籍から、さらにお薦めの書籍を紹介してくれるAmazonのサービスのようだと感じます。提案される文献が私の関心から外れている場合もありますが、ぴったり一致する場合も多いのでこのアイデアには将来性があると思います。
試しにSciencescape.org のウェブサイトに登録してみたのですが、5分後には無料の個人アカウントが立ち上がりました。簡単に文献を検索し、抜粋を読み、ライブラリに保存することができます。「PDFを取得」ボタンをクリックすると、文献の引用や参考文献が表示されます。しかし無料で閲覧できるのは要約までです。文献全体の閲覧は有料です。たとえば 科学論文の場合は40年前の論文のコピーで20ドル、応用微生物学およびバイオテクノロジーの場合は最近の論文のコピーで40ドルです。
このサービスは近い将来一般的になると思います。現時点では私の研究分野ではないバイオメディカル分野のみカバーされていますので個人的な使用頻度は高くはありませんが、この分野の研究者にとっては試す価値があります。Sciencescapeのさらなる展開に期待しています。もしこのサービスが広まれば、他の研究分野もカバーするようになるでしょうし、類似サービスの出現も期待されるからです。

博士(有機化学)
アメリカでの科学および医学論文執筆経験6年以上


正しく活用すれば、現在のPubMed以上に便利な検索機能となるだろう。

Sciencescapeは、ある学術分野における最近の研究成果を知るために最新のアルゴリズムを使用して、学術論文の検索をするためのツールです。正しく活用すれば、PubMedで現在使用されているものより非常に使いやすくなった検索機能を利用することができます。たとえば、現在のPubMedでは興味のある原稿を保存することができませんがSciencescapeではそれが可能です。
しかしこれまで個人的に使用した経験から、Sciencescapeにも、まだ発展途上の部分があるように思われます。上位にリストアップされる研究には古いものが多く見られますし、検索語句が文献の中心的な論点になっておらず、文献のタイトルにも含まれていない時があります。この点ではPubMedの検索の方がまだ新しく、関連性の高い分野の文献を表示することができます。Sciencescapeの技術がこれからどのように発展し改善されていくかが鍵となるでしょうし、きちんと改善されれば、Sciencescapeは最高のツールとなるでしょう。

博士(分子細胞生物学)
アメリカでの科学研究・編集歴10年以上


Sciencescapeのメタ分析機能はとても使える機能のひとつ。

SciencescapeにはSciencescapeジャーナルクラブなど、研究者に最新の科学的発見を提供するのに役立つ多くの機能が秘められています。検索時にキーワードを効果的に選択することで、Google Scholarやその他既存の文献検索アプリケーションにおいてこれまで見られた「問題点」が改善されることになります。中でもSciencescapeのメタ分析機能はとても使える機能のひとつです。また、特定の分野における重要な学術論文のタイムラインやマップの機能も非常に興味深いものです。これらのツールがより細かい学術分野に対して柔軟に適用されるようになれば重要な論文を即座に見つけることができるようになり、研究者はかなりの時間を節約できるようになります。
しかし、動作が遅かったり使いやすさを考慮していなかったりすれば、このツールを使うこと自体が時間の無駄になってしまう恐れがあります。Sciencescapeの成功は、ひとえに今後の機能改善に依るところが大きいように思われます。

修士(理学)
日本での英日翻訳歴11年以上


特定の著者やジャーナル、内容をフォローすることができ、さらに組み合わせて検索できる点がおもしろい。

SciencescapeではFacebookやTwitterといったソーシャルメディアのプラットフォームで使用されている「ストリームフィード」というモデルを採用し、特定の著者やジャーナル、内容のライブフィードを追ってそれらの情報を得ることができます。さらに、特定のストリーム上で著者やジャーナルといったさまざまな要素を組み合わせてフォローすることができるので、たとえば「ガストン教授」の論文を、ジャーナル「Diversity and Distributions」で発表されたものも、「Biodiversity and Conservation」で発表されたものも、「保全生態学」に特化したストリーム上ですべてフォローすることができます。私の知る限りでは、Sciencescapeは個々のジャーナルや学術ライブラリの最新の文献を自動的にアップデートしてくれる初めてのツールです。
ただし改善の余地もあります。たとえばジャーナルNature Communicationsで発表された「生態学」に関する記事のみを検索しようとしても、Sciencescapeではこのようなタイプの検索ができません。このツールが特定のジャーナルの特定の記事を選択できるようになればさらに便利になることでしょう。

博士(生物学)
イギリスでの科学研究・編集歴12年以上

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