ジャーナル投稿前の英文校正は、投稿規程で求められている場合を除けば、必ず依頼しなければならないものではありません。原稿の状態と投稿先の要件によって、判断は変わります。
この記事では、依頼するかどうかを決めるための視点を5つに整理しました。ご自身のケースに当てはめながら読み進めてみてください。
視点1|投稿規程で英文校正証明書を求められていないか
投稿規程に英文校正証明書の提出が定められている場合は、依頼が前提になります。
多くの英文学術ジャーナルでは、英語を母語としない著者に対して、英語ネイティブによる校正を義務づけたり推奨したりしています。そのうえで、校正を受けたことを示す証明書の提出を求めるジャーナルも少なくありません。
英文校正に関する規程は著者ガイドラインの中の、Language Editing、English Language Requirements といった項目に記載されていることが一般的です。投稿先が決まった段階で確認しておき、英文校正が要件に挙げられている場合はそれにかかる時間やコストを勘案しなければなりません。
証明書の提出が求められていないジャーナルでも、英語の質を理由に一度差し戻された原稿を再投稿する際に、証明書が判断材料となることがあります。証明書そのものについては「英文校正証明書とは?ジャーナル投稿で必要な理由と取得方法」で詳しく解説しています。
視点2|規程のフォーマット調整を自分で効率的にできるか
学術ジャーナルでは、英語が正しく書けていることとは別に、原稿のフォーマットが規程に合っているかも問われます。この点への対応に要する時間や労力とコストのバランスも、サービス利用の判断材料となるでしょう。
| 項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 単語数 | 本文、要旨、参考文献それぞれの上限 |
| 体裁 | 行番号、頁番号、行間、フォント、余白 |
| 図表 | キャプションの表記、本文中での参照の仕方 |
| 引用スタイル | APA、MLA、CMoSなど、指定スタイルへの準拠 |
これらは英語表現の修正とは別の作業です。自分で対応する場合、原稿を書き終えたあとにまとまった時間が必要になります。
英文校正サービスによっては、投稿規程に沿った体裁の調整や、語数超過時の削減に対応している場合があります。依頼を検討する際は、こうした対応が含まれるかどうかも確認しておくとよいでしょう。
視点3|英語を理由に差し戻されるリスクをどう見るか
研究内容が評価される前の段階で、英語の質がジャーナルの判断に影響することがあります。
投稿された原稿は、査読に回る前に編集部で確認されますが、この段階で、体裁の不備や英語の読みにくさを理由に差し戻されることがあるのです。いわゆるデスクリジェクトです。
査読に回った場合でも、読みにくい英文は評価に影響しうるとされています。文法として誤りがなくても、主張の輪郭がぼやけていれば、意図したとおりに読まれない可能性があります。
差し戻された場合は、修正して再投稿するまでに時間がかかり、出版のスケジュールも遅れます。この時間的な損失をどう見積もるかも、判断の基準となるでしょう。
視点4|AIツールを活用した校正で事足りるか
セルフチェックやAIツールで対応できる範囲と、そうでない範囲があります。どこまで自力で仕上げられるかを見極めることが、依頼の要否を判断する基準になります。
| AIツールでの対応が容易なこと | 対応できないこと |
|---|---|
|
|
自分で書いた原稿は、内容を把握しているぶん誤りに気づきにくくなります。また、章ごとに時間を空けて書いた論文では、用語や表記が全体でそろっていないこともあり、客観的な視点での俯瞰的なチェックは自身やAIでは得られない指摘をもたらしてくれることがあります。
AIツールを使う場合も、対応できる範囲には違いがあります。詳しくは「英語校正【論文編】AI時代に人による校正は必要か」をご覧ください。
視点5|英語が得意な共著者の確認で十分か
共著者の中に英語に長じた人物がいる場合であっても、英語ネイティブの第三者と同じ作業を任せられるとは限りません。
共著者は研究内容を把握しているため、原稿に書かれていない情報を補って読んでしまうことがあります。一方、先入観のない目で原稿を読む査読者は書かれていることだけを手がかりに判断します。
同じ研究室や同じニッチな分野の共著者とは、用語の使い方や言い回しの癖が共有されていることも多く、第三者から見て分かりにくい表現が残る場合があります。
また、英語を母語としていることと、学術論文の書き方に習熟していることは別です。学術的な文章に必要な観点については「ネイティブチェックとは?英語論文におけるネイティブチェックの必要性」で解説しています。
まとめ|まずは投稿規程を確認
まず投稿規程を確認し、英文校正証明書の要件があれば校正サービスの利用を前提に予定を組みましょう。要件がない場合は、原稿の状態と、自身でのフォーマット調整やチェック、そして差し戻された場合の時間と労力の損失と、サービス利用のコストなど様々な要素をもとに、投稿までのスケジュールと照らして判断するとよいでしょう。




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