JP
AIを使って論文執筆を効率化・迅速化している研究者や学生が増えています。しかし、AIの安易な使用は、研究不正の疑義や論文リジェクトにもつながるリスクをはらみます。
本記事では、論文作成にAIを活用する際のリスクや、倫理的に投稿するためのポイントを解説します。
論文作成・論文執筆でのAI活用の動き
文章生成や翻訳、要約、校正など、論文原稿の作成にかかわる場面でのAI活用は、もはや一般的となりました。
論文執筆の際のAI活用のメリット
生成AIは、文献検索、文献レビュー、文章の下書き、英文校正、表現の言い換えなど、執筆作業の一部を効率化する上で有用です。特に英語論文における文法チェックや言い回しの改善には高い効果を発揮します。
学術界での急速な普及背景
論文執筆には多大な時間がかかるため、書き手の独自性や著者性(オーサーシップ)を損なわない形で、作業を効率化することは常に求められてきました。
こうした背景で、汎用ツールの活用や、学術に特化したツールの開発・普及が世界の学術界で急速に進んできたのです。これを受け、多くの学術ジャーナルがAI利用に関するガイドラインを整備しアップデートしています。
AIを論文作成に使用することのリスク
便利な一方で、AI利用にはいくつかの重大なリスクも伴います。
誤情報・ハルシネーションのリスク
生成AIは事実と異なる情報や、存在しない参考文献をもっともらしく生成することがあります。この「ハルシネーション」をそのまま引用してしまえば、論文全体の信頼性が損なわれます。
盗用・剽窃のリスク
AIが生成した文章には、既存の文献の表現が使われている場合もあり、そのまま使用すると、盗用・剽窃と判断されるリスクがあります。特に考察やアイデアの核心をAI任せにすることは避けるべきです。
論文作成におけるAI利用の倫理的問題
多くの学術雑誌や学会は、AI利用に関する倫理的指針を作成し公表しています。
著者性(オーサーシップ)の問題
AIは責任能力を持ちません。研究および論文の真実性についての責任を負えないAIを共著者として記載することを、多くのジャーナルは禁止しています。あくまで執筆の補助ツールとしての位置づけです。
データ機密の問題
生成AIツールは(特に無課金プランでは)、利用者のデータからも学習を行うとされています。
未公開の研究データや共同研究者の情報を外部の生成AIツールに入力することは、情報漏洩のリスクにつながるため、ツールのポリシーなどを確認した上で安全性が確認されたツールのみを利用するよう心掛けましょう。
AIを使った論文原稿を投稿するために
投稿論文の作成にAIを利用する場合、そのリスクを把握した上で、倫理的な利用と情報開示を行うことが必要です。
投稿先のAI利用規定の確認
ジャーナルごとに、AI利用が可能な範囲や、AI利用事実の記載ルールは異なります。また、変化の激しいAIについては、同じジャーナルであってもポリシーの更新頻度も高いと考えておく必要があるでしょう。ですから、投稿前の著者ガイドラインの確認は必須です。
AI使用事実の開示と自身の言葉での推敲
多くのジャーナルでは、AIの利用について、利用した箇所や目的を「謝辞」や「方法」欄に明記することが求められます。
文章を生成した場合は、そのまま使うのではなく、自身で事実確認を行い、自身の言葉に改めた上で使用することが重要です。
人の目による最終チェック
AIツールを使用した内容に関して、最も重要なのは人の目による最終確認です。
著者自身によるチェックが必要なのは言うまでもありませんが、例えば英語力に不安を持つ著者がAIによる英文校正を行った場合、英語やその分野の英語論文の専門家によるファクトチェック、英文校正を受けることが推奨されます。
AIで整えた英文も、専門家の英文校正で最終確認を
AIによる英文チェックは便利な一方、分野特有の表現や文脈の誤りを見落とすこともあります。Enago(エナゴ)の英文校正では、研究分野に精通した専門家が投稿前の原稿を確認し、AI利用後の最終チェックをサポートします。
まとめ
論文作成へのAI活用は執筆効率を大きく高める一方、誤情報、盗用・剽窃、オーサーシップといった倫理面のリスクも伴います。
投稿先ジャーナルの規定を確認し、AIの使用状況を適切に開示した上で、最終的な内容を必ず人の目で検証し改訂することが、研究インテグリティの維持につながります。
こんな記事もどうぞ
- エナゴ「英語校正【論文編】AI時代に人による校正は必要か」
- エナゴ学術英語アカデミー「論文のAI翻訳:無料ツールと留意点」
- エナゴ学術英語アカデミー「AIによる研究不正とデータ操作のリスク」




request@enago.com年中無休・24時間営業