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研究助成金情報と申請で抑えておきたいポイント

研究者にとって、学術研究を続けるためには資金(= 研究助成金 )の確保が切実な問題です。しかし、資金を獲得したい研究者はたくさんいるので、潤沢な資金の確保は容易ではありません。当然、卓越した研究、社会に役立つ研究でなければ資金獲得競争には勝ち抜けません。

多くの研究資金は、大学や研究機関、政府機関、または民間企業やファンド(資金提供者)のいずれかから提供されています。官民かかわらず公募によって募集し、選考を経て、資金提供対象者・研究を選ぶのが一般的ですが、民間企業の場合には、会社の利益につながる研究、社会に直接的に役立つ研究などが選出において優先される傾向が強いということはあるでしょう。研究資金を得るには、まず自分の研究にあった助成金を見つけてから申請書を作成します。いかに自分の研究を「売り込むか」が重要です。手始めに、どのようなところで助成金応募の情報が見つけられるかを紹介します。人文学、社会科学、自然科学まで全ての分野を対象とした研究費の助成を行うものや、分野に特化したものなどさまざまな助成金公募があるので、見比べてみてください。

助成金募集ニュースの紹介や助成金情報の検索ができるサイト

海外の研究機関で働きたい研究者を支援するための経済的なサポート制度(フェローシップ)

参考:海外の研究助成金情報(海外ではどのような研究にグラント募集があるのか、アメリカやEU圏の研究室で働くにはどのような支援があるのか)

ここに挙げたのは一例ですが、他にも大学や国内外の民間財団、地方自治体などによる研究助成金の募集もありますので、注意を払っておくとよいでしょう。

では次に、申請書を書くときに抑えておきたいポイントについてです。

まず、申請書を書き出す前に、自分の研究の概要(サマリー)、要旨、研究に必要な予算、研究に関わる組織および研究者の情報を揃えておきます。次に、提出方法を含めた書き方が提示されているガイドラインを確認しましょう。研究プロジェクトの重要性、研究の範囲、実験機材・材料・人件費なども含む研究に必要な予算などの情報を、申請ガイドラインに準じて記述します。ひとつの資金提供者に絞って申請を出すのではなく、可能性のある複数の提供者に申請を出すことも考えます。重要なのは、資金を得て研究あるいは実験を行って得られる成果を具体的に記載することです。例えば、フッ素化合物の新しい方法を開発することが、新しい医薬品の生成につながるかもしれないことまでは資金提供者は分かりません。しかし、その研究が新薬を作り出す新たな方法となる可能性があると分かれば、資金提供者も大きな関心を持つことでしょう。さらに、資金提供者は、あなたが資金を得た後にどれほどの熱意をもって時間と労力を費やし、何を達成しようとしているのかを知りたいはずです。あなたの研究に投資してもよいと思わせるために、申請書は積極的なトーンで書くことをお勧めします。

研究助成金申請を書くときに抑えておきたい4つのポイント

1. 自分の研究にあった研究助成金を見つける

助成金には対象者や研究領域/研究テーマを限定しているものもあります。申請者の性別や年齢に関する条件、優先して採択する研究テーマや分野が示されているはずですので、ガイドライン(作成要領)をしっかり読みましょう。自分の研究が応募要件を満たしているかを事前に確認します。また、助成機関・団体は、独自の助成金申請テンプレート(書式)を公開していることが多いので確認してください。

2.審査員の視覚に訴える工夫をする

助成金には多くの研究者が応募するので、審査員は、限られた時間の中で膨大な応募書類に目を通す必要に迫られます。細かい文章をじっくり読む時間がない場合、一目でわかる図があれば短時間で内容を理解するのに役立ちます。審査員の目を引き、内容を理解してもらうためにも、分かりやすく研究概要や研究デザインを伝えられる図などを用意しましょう。また、文章においても、効果的な見出しを付ける、箇条書きにする、強調したいことはハイライトを入れるなどの視覚的な工夫を凝らします。

3.所属機関のサイトなどで自分の研究を発信する

助成金の審査員は、申請書以外にも申請者が発信する情報や研究活動などを調べるでしょう。例えば、内容に甲乙付けがたい申請書のどちらを選ぶか考えている審査員が、両申請者の情報を検索したとします。ひとりの応募者がウェブサイトに申請書と同じ内容の研究テーマと業績リストしか掲載されていないのに対し、他方の応募者のサイトには、業績リストに加えて自分の研究成果について説明する動画や学術雑誌に掲載されたことを簡潔にまとめたプレスリリースなどが掲載されていたとすれば、どちらが印象に残りますか?研究を発信することに時間と手間をかけ、自分の研究を広く知ってもらうように努力することも熱意の表れと見られるでしょう。そして、熱意こそが研究の原動力になることを審査員はよく知っています。ウェブサイトやSNSを活用して積極的に自分の研究について発信しておきましょう。

4. アンテナをさらに広げ、国外の助成金への応募も検討する

先述の参考リストにも書き出しましたが、国外にも研究助成金を提供している機関・団体は多数存在しています。英語で申請書を書くのは面倒だと思うかもしれませんが、英語で助成金(グラント)の申請書を書くことは、より魅力的な論文を書き、国際会議で発表するためのトレーニングにもなります。さらに、審査をする海外の研究者に申請書を読んでもらえるというのは、あなたの研究および存在を世界にアピールする絶好のチャンスでもあります。英文の申請書の作成に不安があるときには、翻訳会社などの申請書作成支援サービスや英文校正添削を活用することもできますので、国外の助成金への応募も是非検討してみてください。

審査員は、申請された研究プロジェクトが研究助成金の要件を満たしているかだけでなく、資金提供団体・機関の目的とどの程度関連しているかを重要視しつつ、プロジェクトの重要性、申請者の適格性など多くの要因を評価して助成金の提供先を決定しています。助成団体・機関によっては、申請書作成のためのガイドラインや申請書の書き方講座についても掲載しているので、参考にすると良いでしょう。また、科学研究費助成事業のように該当年(年度)ごとに使用ルールを定めているものや、最近では、助成を受けた研究成果についてはオープンアクセスでの公開が義務化あるいは推奨されている助成金もあるので、さまざまな情報に注意を払う必要があります。慎重な予備調査の上に、的確な助成金に申請書を出すことで助成金獲得につなげてください。


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