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査読者になるために編集者に売り込む8つの方法

査読者になることは、簡単ではありません。学術界でのキャリアアップにつなげようと、査読者の役割を担う機会をつかもうとしている新人研究者や若手研究者もいることでしょう。査読者になるには、モチベーションと意志と戦術が必要です。学術雑誌(ジャーナル)の編集者たちに手当たり次第にメールを送ることは良策とは言えません。もっと効果的な方法を考えてみましょう。

査読を担うことで得られるものとは?

学術論文の査読は、研究者にしかできません。研究者は、査読を引き受けることによって最先端の研究を知ることができ、他者の論文の評価を行うことで自らの執筆スキルの向上にも役立てられます。査読を行うことで、論文に関する批判的思考が育成されます。一般的によく見られる誤りをかなり容易に見つけられるようになるだけでなく、査読の経験を反映させて改善することができるので、自らの論文や発表の価値を高めることができます。これらのことが、自らの論文を出版できる機会を増やすことにもつながるでしょう。査読者一覧を公開しているジャーナルに名前が掲載されたり、査読者表彰/査読者証明書(reviewer certificate)を受賞したりすることによって研究者としての認知度を高めることもできます。査読を研究者としての業績と認める動きも出てきています。さらに、査読委員になることで、自分の研究分野の研究者たちと新しい人間関係を構築でき、今後の共同研究につなげることもできます。

どのようにジャーナル編集者にアプローチするか

定評のあるジャーナルに質の高い論文を掲載する

研究者としての認知度を高める最善の方法は、高評価なジャーナルに論文を掲載することです。学術誌の編集者たちは、よい論文を多数書いている研究者を探しています。同じ分野で仕事をしている研究者たちも、自身の論文の査読者候補としてあなたを推薦してくれるかもしれません。論文には、適切かつ分野に特有のキーワードを盛り込みましょう。ジャーナルの編集者がデータベースから査読を依頼できる研究者を探す際に、あなたの論文を見つけやすくすることは重要です。

ジャーナル編集者に直接連絡する

ジャーナルの編集者に向けて、査読者となることに関心があることを直接伝えるメールを送ることもアピールになります。自分の専門分野に言及し、編集者が目を通せるよういくつかの業績を書き出しておくとよいでしょう。より印象づけるために、出版履歴を共有することもできます。

ジャーナル編集者と連絡を取り続ける

編集長(Editor-in-Chief)よりも、編集者 (Associate Editor) に連絡するようにしましょう。査読者を選ぶ一次審査に携わっている可能性が高いのは、編集者のほうだからです。査読経験(査読者として初心者なのか、すでに経験を積んでいるのか)、専門性、共通の関心事について率直に伝えましょう。新人研究者や若手研究者の場合、前述のことに加えて、査読者としての経験を積みたいという熱意を強調しましょう。さらに、ジャーナル編集者は提出期限順守を重要視しているので、期日をきちんと守ることも書き添えておきましょう。あなたの技能が編集者の求めるものと一致しない場合、すぐに返事が来ないかもしれませんが、3~4ヶ月に1度程度はあなたが査読を引き受ける準備があることを編集者に伝えるとよいでしょう。

研究者のネットワークに参加する

ResearchGateやORCiDといったインターネット上の研究者ネットワークを通して、自分の分野を専門とするジャーナル編集者を見つけてつながることができます。プロフィールには、現在研究している分野について充分詳細な情報を記入しておきましょう。出版履歴(投稿論文や書籍のリスト) へのリンクを追加することも検討しましょう。こうした情報は、専門性を有する査読者としてのプロフィールを構築する助けとなるだけでなく、主要ジャーナルの編集者があなたのプロフィールをより見つけやすくするのです。

自分の分野の研究者たちと積極的につながる

ジャーナル編集者は、査読者への推薦を求めることがよくあります。あなた自身を他の研究者たちに知ってもらうことで、査読者として推薦される機会を増やすことができます。同じ分野の研究者に、ジャーナル編集者に査読者として自分を推薦してくれないか頼んでみるのも良いかもしれません。学会などに出席する際には、できるだけ多くの研究者仲間やジャーナル編集者と話をして、積極的につながりを作りましょう。

一部のジャーナルは査読者からの連絡を求める特別な案内を出すこともあります。一般的には、対象を広げ、異なる分野に参入しようとしている新しいジャーナルが、こうした案内を出しているのを見かけます。

同僚や先輩、トレーニングから学ぶ

同僚や先輩研究者と仕事をすることで、査読プロセスの細かな点を学び取ります。仕事を通じて先達から学ぶことは、正式なトレーニングを受けなくても査読の技術を高められる優れた方法のひとつです。
もちろん、査読に関するトレーニングを受講することも有用です。良い査読報告書を作成しようとすることは、若手研究者だけでなく、経験を積んだ研究者にとっても簡単ではありません。認定された査読講習を受講することで、査読において必要不可欠なスキルを身につけ、査読の能力を高めることも査読スキルの向上に役立ちます。さらに、こうした講習の受講証明や査読証明書は、自分が査読者として信頼できるということをジャーナル編集者にはっきりと示すことにも使えます。

プラットフォームを活用する

PubMedとF1000Researchは、論文掲載後の査読(出版後査読)を導入しています。これは、登録している利用者が、掲載された論文に対する意見を残せるしくみです。こうしたプラットフォームを活用し、投稿論文に対して建設的、専門的、かつ客観的な意見を書き込んでみましょう。批判的な評価を行うスキルの向上に役立つはずです。また、研究者のプラットフォームを介して、幅広い研究者たちとつながることもできます。

また、出版社が査読者向けに提供する情報も参考になります。エルゼビアは、同社のジャーナルの査読を行うための情報サポートとしてReviewers Hub(査読者ハブ)を提供しており(かつてReviewer Recognition Platformと呼ばれていたものが2021年に一新された)、研究者はこのプラットフォーム上で興味のあるジャーナルの査読に参加表明することや、査読の履歴を管理できるだけでなく、査読証明書をダウンロードすることもできます。

ジャーナルのデータベースに登録する

ジャーナルのデータベースにアカウントを作成し、魅力的な経歴と適切なキーワードを掲載しておきましょう。そこで、「査読依頼可能」と表示しておくことも忘れないようにします。ジャーナル編集者が査読者候補を探す可能性が最も高い場所は、ジャーナルのデータベースです。他に、自分の専門知識が役立つと思われるジャーナルが査読への参加表明を求めているのを見つけたら、申し込んでみると良いでしょう。ただし、査読は重要な任務ですので、慎重に検討しましょう。

最後に、決してあきらめないことです。根気が大切です! ジャーナルから査読の依頼が来たら見落とさないように注意しましょう。そして、依頼を注意してよく読んでから依頼を積極的に受け、良質な査読結果を速やかに提出できるようにします。査読の依頼にきちんと対応することで、あなたの能力と倫理感をジャーナル編集者に示し、信頼を得ることにつながるのです。

ここで示したことを参考に、機会があれば是非、査読に挑戦してみてください。


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