建設的な査読者になるためのポイント5選

査読は論文と学術雑誌(ジャーナル)の質を保証するためのきわめて重要なプロセスです。査読の目的は、著者に対して論文の採択可否とその根拠をコメント・論評の形式で提供することにあります。慎重に考察し、明解で建設的、かつ親しみやすいフィードバックができると、著者の研究の質を高め、独自性を保証する手助けになり、何よりも著者のキャリアアップにもつながります。ここでは、著者にとって有益なフィードバックをするためのポイントを5つご紹介します。

Peer Review 5 Smart Tip 21. 丁寧に伝える

まず、査読を行う上での大前提として、著者には論文を意欲的に執筆してもらう必要があります。研究者は、自分の書いた論文に対する有益なフィードバックと適正な評価を望んでいます。よって、査読者からのコメントは、前向きで、研究者が意欲的に論文を修正し、研究を推進させるために役立つものであるべきです。まずその原稿の良い点を見つけ、その後に不十分な点を丁寧に指摘するのがよいでしょう。研究者がフィードバックを読むことで、修正するために必要なステップがわかる書き方が望まれます。

2. 具体的なアドバイスを行う

次に、研究者へのフィードバックは具体的であるべきです。コメントには、根拠や具体例、改善のための提案を含めるようにしてください。査読には、専門家としての明解な分析が求められます。論文をじっくりと読みこみ、研究成果の強み、重要性、論文の簡潔さ、一貫性を検証してください。そして、検証の結果、必要と判断した改善点を一覧化し、具体的なアドバイスに落とし込んでください。

3. 推測で行動しない

査読依頼を受けたら、プロフェッショナルとして、研究者に論文を改善してもらうための建設的な論評を行うことが求められます。初めて査読を行う若手の研究者の場合、自分の指導者や抄読会の仲間、オンラインのガイドラインから査読の審査方法を学ぼうとするケースが見られます。それらが悪いということではありませんが、まずは査読依頼状をしっかり読み、納期と指示を細部まで確認するようにしてください。これから査読を行う研究者に向けたガイドラインも入手可能ですので、それらを参照するのもよいでしょう。
査読のプロセスは、論文を精読することと適切なコメントを書くことに分けられます。両方が終わったら対象の学術雑誌などが提供している査読チェックリスト(PLOS Peer Review Checklistなど)を参照し、求められている一般的な基準を満たしているかを確認します。

4. 論文の詳細にまで目を向ける

査読は多くの場合、特定の分野における専門家が依頼されます。しかし、時に査読を行う対象は幅広く、自分が精通していない内容の論文を見る場合もあるでしょう。どんな場合でも、依頼を受けた以上は研究者として厳格に、じっくりと論文を読み、精査するようにしましょう。もし論文に不正確な記述が見つかった場合には、編集委員にそれを伝え、論文をアクセプトすべきかリジェクトすべきかを示唆します。過度の修正の要求はしないように注意しましょう。また、採択の可否に関わるコメントかそれ以外のコメントかを、できる限り明示するようにしましょう。

5. 納期を守る

学術雑誌が出版されるまでには、数多くのプロセスがあります。もちろんこの中には査読も含まれるため、査読者として依頼を受けた場合は、決められた納期を守り、全体のスケジュールに支障をきたさないよう配慮しましょう。査読を引き受けると決めたら、責任感をもって査読に当たるようにしてください。

いかがでしたか。研究者の中には、査読というプロセスをいぶかしがる人もいます。査読のプロセスが不透明ゆえ、論文の不採択率を高めることにつながっている、との声があるのは確かです。しかし査読者が上記のポイントを押さえ、論文の科学的根拠を正確に検証することで、査読の信頼性を高めることもできると言えます。
査読は難しい任務ですが、学術論文の出版において公平性と整合性を保つための重要なプロセスです。生命科学分野のオープンアクセスジャーナル『F1000Research』は実際の査読コメントを公開していますし、査読のプロセスの重要性について取り上げているウェブサイトもあります。PLOSのREVIEWER CENTERには、査読のガイドラインなど参考資料が掲載されています。興味がある方はぜひこれらを参照して、査読にチャレンジしてみてください。

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