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【2021年7月更新】研究者に役立つオンラインツール

*本記事は、2018年11月に掲載された「研究者に役立つオンラインツール 10選」の内容を更新してお届けするものです。

研究者とは、得てして多忙なものです。そんな研究者に役立つオンラインツールは年々進化し続けています。特にコロナ禍で物理的距離を取りながら研究を行い、研究者間での情報共有を維持する必要性に迫られた今、学会などの会合もオンラインで開催されるようになっており、オンラインツールの活用がますます浸透してきています。

ここでは研究活動の効率化に役立つツールを5つの機能に分けて紹介します。

文献管理

論文を執筆する際、文献情報を収集し、整理・管理を行うのは手間暇がかかるものです。多くの文献管理ツールには、収集した論文の全文を保存するだけでなく、参考文献リストを作成、保存し、メモや注釈を付けたりする機能があります。文献管理ツールによっては、引用文献リストをカスタマイズして簡単に出力するだけでなく、グループを設定してその中で情報共有することが可能なネットワーク機能も有しており、これらの機能は、論文やレポートを作成する際に役立つことでしょう。

文献管理ツールには、個人で登録しなくても契約のある所属機関の構成員であれば使えるものもあるので、自分の所属機関がどのツールの法人登録を持っているかを確認してみると良いでしょう。また、分野によって多少差がある場合もあるので、同じ分野の研究者の意見も聞きながらツールを選ぶことをお勧めします。

文献検索・索引リソース

大量の学術論文を検索するには、入力されたキーワードの検索結果を関連度の高い順にリストアップしてくれる検索エンジンの利用が不可欠です。誰でも無料で使えるものもあれば、登録が求められるもの、有料のものなどもあります。

  • Google Scholar:http://scholar.google.com/
    Googleが提供している無料の学術論文検索用エンジン。入手可能な文献を検索し、引用数やh指数などの情報を調べるのに便利です。キーワードを入力して検索すると、関連度の高い順に結果をリストアップしてくれるので、有用な論文を見つけることができます。
  • arXiv:https://arxiv.org/
    分野別のプレプリント(査読前論文)論文を含む様々な論文を保存・公開しているウェブサイト。
  • Scopus:https://www.elsevier.com/ja-jp/solutions/scopus
    学術出版社エルゼビアが提供する、査読済論文の抄録・引用文献データベース
  • エナゴ・リサーチハブ:https://www.enago.jp/researcher-hub/
    ジャーナル検索ツール、コロナウイルス関連論文検索ツール、ライティング・英語の改善ツール、原稿・論文評価ツールなど、研究支援エナゴが提供する論文出版活動に便利な無料ツールを紹介。

情報共有・コミュニケーション

LinkedInやFacebookのような従来のソーシャルメディアや、ResearchGateのような研究者・科学者向けのソーシャル・ネットワークを使ったコミュニケーションに加えて、日常的な情報伝達用にチャットツールの利用も急増しています。チャットツールによってはテーマやグループ毎に分けてメッセージをやり取りしたり、ファイル添付で共有したりすることも可能です。アプリによっては日程調整が連携しているので、スケジュール管理にも役立ちます。また、以前から使われていたSkypeのようなビデオ通話においても、同時に複数の人とつないだり、画面を共有しての会合を開いたりするのに対応しているZoomのようなビデオ会議システムの利用が普及してきました。事前に会合を設定してスケジュール帳に連動させたり、会合をレコーディングしたりする機能はとても役立ちます。同様のシステムにMicrosoft TeamsやCisco Webexが挙げられます。

また、共同研究を行う場合には、研究データや論文原稿などさまざまなファイルを組織内外の共同研究者間で共有する必要が出てくるので、GoogleドライブDropboxのようなクラウド型のファイル共有サービス(オンラインストレージ)を利用すると便利です。オンラインストレージは、フォルダーやファイルを保存し、アクセスを限定しつつメンバーと共有することが可能です。自分の組織外の共同研究者でも簡単にファイルを共有、編集することができるのは効率的です。他にも、研究者の協働プラットフォーム「PaperHive」は、研究者がオンライン上で同僚や広く学術コミュニティーと共同して研究結果を議論したり、論文に注釈やコメントを付けて共有したりする場を提供しています。

さらに、オープンサイエンスが進む中、複数のオンラインストレージを横断的に共有できるツールも登場しています。そうしたツールをプロジェクト管理に活用すれば、研究の計画段階から論文発表までの流れを一括して記録し、かつ研究全体のオープン化を簡単かつ無料で行うことも可能です。

  • OSF(Open Science Framework):https://osf.io/
    研究プロセスを補助するためのさまざまなツールやサービスをサポートしており、研究プロジェクトの規模や、個人の研究か共同研究かにかかわらず、用途に応じたカスタマイズが可能。研究計画書、データや分析結果、出力結果(図表ファイルなど)、論文に入れ込まなかった付録や補足情報なども保存しておくことができる。

ただし、どのオンラインストレージ/ツールにおいても言えることですが、セキュリティ対策には留意する必要があります。特に個人情報が書かれているものや、研究プロジェクトにおいて収集した個人情報などを含むファイルの取り扱いには十分注意してください。

編集作業

研究によっては、ファイルを共有するだけでなく、画像作成・編集が必要になるかもしれません。

また、動画の作成や共有も変わってきました。以前は、撮影や録画にはデジタルカメラなどの機材が必要だった上、配信をするのも一苦労でした。今では、Zoomなどのビデオ会議システムには、簡単にレコーディングしてMP4形式の動画ファイルで保存することができる機能が付いています。学会やシンポジウムの主催者がMP4ファイルをYouTubeにアップロードして公開することも容易ですし、参加できなかった視聴者が該当する会合を後日視聴することも可能です。YouTube、Streamには字幕を生成する機能もあるので、研究紹介ビデオや発言録の作成にも役立ちます。便利なツールとして動画を利用する研究者も増えていくことでしょう。

  • Canva:https://www.canva.com/ja_jp/
    無料画像編集ソフト。プレゼンに入れ込む画像や、簡単なグラフや図表を作成したりすることが可能。
  • Trinka:https://www.trinka.ai/jp/
    学術論文・テクニカルライティングに最適なAIを活用した艇分校正ツール。文法ミスから専門用語のスペル、文章のトーンまで自動で添削可能。

アンケート収集

最後に研究分野にもよりますが、調査用にアンケートの作成が必要になった場合に便利なツールを紹介しておきます。アンケートフォームを作成し、それを他のユーザーと共有して編集することもできる無料のツールを使えば、簡単にアンケートを作成することができます。しかも、アプリによってはアンケート集計結果をまとめ、グラフ化することも可能です。

さまざまなツールやアプリをうまく活用すれば研究活動を効率化することができるでしょう。多くのツールの基本機能は、完全に無料か、アカウント登録をすれば無料で使えるようになっているので、自分にとって便利なツールを組み合わせて使ってみると良いでしょう。基本機能で間に合わなくなったときには、有料版にアップグレードすれば高機能を利用することも可能です。

オンラインツールは、研究活動の助けとなるだけでなく、今やコミュニケーションには欠かせないものとなっていますので、是非活用してみてください。

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