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よく練られた研究論文のアウトラインの書き方

研究論文を書き出そうとしているところですか?研究結果を得るための実験に数ヶ月を費やした後、研究室主催者(PI : Principal Investigator)や指導教員から、学術雑誌(ジャーナル)に投稿するための論文を書き始めるように言われたかもしれません。研究論文の書き方について研究仲間や先輩と話して助言をもらっても、どう書き始めればよいのか、なかなか考えはまとまらないものです。

研究論文を書くことは、研究者の多くが頭を悩ませる、手間と時間を要する作業です。いずれは論文を書かなければならないと分っていながら、追い込まれるまで手を付けず、先延ばしにしがちです。そして、インターネットで書き方を検索したり、先輩にアドバイスをもらったりしながら、何度も書き直しつつ何とか論文を書きあげるのです。研究論文を書き上げて発表することは、研究者にとって自分の研究や結果を他者に伝え、理解してもらうためでもありますが、簡単ではありません。

今回は、論文を効率的に書くための助けとなるアウトライン(概要)の作成方法についてまとめてみました。

研究活動において論文を出版する目的は、学術研究を促進し、研究への支援(助成金)を獲得することでもありますが、論文執筆の主たる目的は、自分の仮説と研究データを科学コミュニティに示し、コミュニティが特定の分野における理解を深めるのに寄与することです。研究論文とは、研究の仮説から、プロトコル、方法、結果、結論、そして考察までを網羅する研究プロセスの正式な記録なのです。
だからこそ、しっかりとした構成に沿って書き進める必要があり、そのためにはアウトラインを作成することが重要です。

研究論文のアウトラインとは

研究論文のアウトライン(概要)は、学術研究論文を書く際の基礎になります。アウトラインは、IMRAD(Introduction, Methods, Results And Discussion)形式に準じて組み立てるのが一般的ですが、論文の種類によって異なることもあります。アウトラインは、読者に対して論文の内容を簡潔に伝えられるよう、以下の項目で組み立てます。

1. タイトルページ (Research Title)

タイトルページには、編集者・査読者・読者が該当論文と著者に関する大切な情報を一見で把握できるように記載します。研究論文の分野の概要についても書いておきます。タイトルは、的確かつ詳細さのバランスがとれたものにすべきです。その他、タイトルページには、著者の氏名、所属、検索に使われるキーワード、責任著者(corresponding author)に関する情報といった事項を記載するのが一般的です。

2. 要旨 (Abstract)

要旨(アブストラクト)は論文で最も重要な部分であり、アウトラインの作成にも通じるものがあります。論文の要旨とは、その研究を広く知らしめるための広告のようなものであり、投稿された論文を査読に進めるかどうかを編集者が判断するのに影響する部分でもあります。要旨を書くのは骨の折れる作業です。研究者は、書くべきことを注意深く選び、簡潔にまとめることで、上手な要旨を書くことができるでしょう。

3. 序論 (Introduction)

序論は研究の近年の背景と流れを述べるものであり、研究への取り組み方を示すものです。文献研究を手がかりに、研究課題について述べ、まだ知られていないことを明らかにするために必要なことを説明します。研究の仮説を立て、リサーチクエスチョンについて読者に伝えます。

4. 方法 (Methods)

学術ジャーナルによっては、方法はMethodsではなく、Materials and Methods(実験材料と方法)、あるいはExperiments(実験)、Patients and Methods (患者と方法)と称することもあります。いずれの名称であってもこの項目には、研究の手法に関する具体的な情報を記します。研究者は、実験材料と、それをどう使ったかについて明確に述べる必要があります。研究に用いた方法がすでに別の論文/出版物に公開されている場合には、そのことを短く説明した上で、参照元を記しておきます。元の方法に何らかの変更を行った場合には、変えた部分について言及し、自分が採用した方法の正確度・精度・再現性を検証する必要があります。

5. 結果 (Results)

結果は、可能な限り図表で示すのが効果的です。文章との重複は避け、文章には発見したことをまとめるようにします。適切な記述統計を用いて結果を報告しましょう。さらに、研究結果に影響し得る予期しなかった事態についても報告し、観察結果およびデータが欠測している場合にはそのことについて徹底的に説明します。

6. 考察 (Discussion)

考察では、研究の位置づけを定め、重要性を強調し、仮説を支持する必要があります。主な研究結果を1~2段落でまとめ、それらが研究全体の枠組みとどう論理的に合致するかを示します。研究結果をその研究分野における他の研究と比較し、違いを説明します。

7. 謝辞 (Acknowledgements)

謝辞では、共著者には該当しないながらも研究に貢献してくれた人の名前を挙げて感謝を示します。また、研究資金を提供してくれた助成機関や奨学金やフェローシップを授与してくれた大学への謝意を記載します。

8. 競合する利益の申告 (COI)

研究出版に特徴的な倫理規範に従うには、利益相反(Competing Interests、またはCOI: Conflicts Of Interest)の申告が不可欠です。著者が複数の役割を有し、利益が相反する状況につながる可能性がある場合には注意します。

研究論文のアウトラインを執筆する手順

  1. 研究論文について思い浮かんだすべての重要な考えを書き出します。
  2. この論文の主題は何か? その主題はなぜ重要か? 仮説をどのように系統立てて説明するか? 主な発見は何か?-といった質問への答えを考えておきます。
  3. 研究の背景と構成を加えます。項目(序論・方法・結果・考察/結論)ごとに考えをまとめます。
  4. 関連する質問を項目ごとに振り分けていきます。事前に質問を書き出しておくことが重要で、考えをまとめるのに役立つでしょう。
  5. 論文のアウトラインで思いついた質問に基づいて考えを広げていきます。
  6. 詳しいアウトラインを作成した後、指導教員や同僚らと議論します。
  7. 充分な意見をもらい、投稿先の学術ジャーナルを決めます。
  8. 実際に論文を書きはじめます。

アウトラインを作成する利点

ここまでに述べたように、研究論文の各項は、研究に必要とされる詳細のさまざまな側面の概要(アウトライン)と重なります。アウトラインを草案することが、論文を作成するためのブレインストーミングになるのです。アウトラインを作ることは、研究者の思考を組み立て、研究手順と結果を順序立てて説明する方法を明確にイメージすることです。研究者が論文に書くべき情報の流れをつかむだけでなく、個々の考えの関係付けにも役立ちます。

アウトラインを作成することで、主題を流れよく繋ぎ、研究の要点を忘れないようにすることができます。一方、読者は、研究論文のどこに何が書いてあるかを把握しやすくなるので、研究をよりよく理解することができます。読者はアウトラインを見ることで、論文全体から関連する情報と引用を見つけ出すことができるようになるのです。

アウトラインとは、研究論文を書くための設計図とも言えるものです。自分で考えた質問にキーワードを盛り込みつつ答えを考え、構成に沿って情報を埋め込んでいってください。全体の流れを踏まえた上で書き進めることにより、一貫性のある論文が書けるはずです。

アウトラインのテンプレート(項目)

研究論文のアウトラインのテンプレートを見ておくことは、実際に論文を書き出す前に、よく練られた研究論文を書くとはどのようなことかを理解し、論文の出版に向けて踏み出すのに役立ちます。さまざまなテンプレートがありますが、大抵は、最初に論文の供述と研究課題を示し、続いて考察や発見した事と、その意義を書き記します。以下にアウトラインのテンプレートの一例を示しますので、参考にしてみてください(PDFでダウンロードするにはこちらから)。

アウトライン

研究についての考えをまとめ、用いた方法、実施した実験、収集したデータ、結果を順序立てて整理し、論文の主題、主要な発見、読者に伝えたい結論をまとめるためには、明確でわかりやすい構成にしておくことが大切です。アウトラインの作成を論文の執筆に役立ててください。


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