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論文の ピアレビュー (査読)レポートとは?

昨今、研究論文の書き方を解説するガイドブックはたくさん出版されていますが、査読レポートの書き方に関しては、まだまだあまりよく知られていません。そこで今回は、査読レポートを書くときの注意点をまとめてみました。

まだ査読を依頼されたことのない人も、「自分には関係ない!」などといわずにご一読ください。ときとして査読者は、投稿論文とジャーナル編集部を結ぶ唯一の「点」となりえます。査読者からジャーナル掲載の推薦を得るためも、自分の論文がどのように評価されていくのかをよく理解するチャンスです。
1. 書き出しには必要事項を忘れずに
自分の名前およびメールアドレスとともに、査読をしている論文のタイトルと著者名も忘れずに明記してください。また、もし編集局より「manuscript number(原稿番号)」を教えられていたら、それも書きましょう。
2. レポートの目的を常に意識すること
査読レポートは、投稿された論文に対する査読者の見解を、その論文を読んでいないかもしれない編集者へくまなく簡潔に伝えることが第一の目的です。研究に欠陥はないか、分析が詳細に渡って行われているか、仮説から研究結果まで一貫性があるか、また論文が読みやすく書かれているか、広範囲に渡って評価をしましょう。その際、ただの感想文にならないようにするために、自分の意見を述べるときにはどうしてそう思うのか、論文から具体的な箇所を引用しながらまとめるようにしましょう。


3. 論文の質を高めるための査読を
査読に慣れない人は、どうしてもその研究の欠点や不足している点に注目しがちです。査読を依頼されたら、現実的な制限を考慮したうえで、その研究の斬新さと質、学会における重要性や問題性を評価しましょう。査読とは、いかに専門分野のことを熟知し、一論文内の不足点をいくつ見つけられるか、といった“査読者の実力テスト”ではないということをお忘れなく。
4. レポートの書き方
その論文の問題点(改善が必要な点)を簡潔にまとめてください。題名からアブストラクト(要約)、背景、方法、結論、ディスカッション(課題)に至るまで、すべての部分について問題点がないかどうかチェックしてください。書き方は箇条書きでかまいません。コメントすべき部分が書かれているページの番号を併記してまとめると、著者にも編集者にも読みやすい査読レポートができます。
その際、英語文法の間違いなど文章上の問題がある場合には、それも指摘してください。最後まで読み通せないほど文章上の問題が多い場合には、ネイティブによるチェックが必要であることを著者に指摘する必要があります。もっとも、その場合には査読に回されずに、編集部が自分たちの判断でリジェクト(却下)ないし再提出を著者に伝えることが多いはずですが。
5. 編集部への意見は論理的に
最後に、自分が査読した論文が、査読を依頼してきたジャーナルに掲載されるべきだと思うか−−受諾(アクセプト)するべきか、却下(リジェクト)するべきか−−を編集部へ簡潔に伝えます。掲載を推薦する場合は、修正の必要の有無も明記しましょう。修正が必要な場合は、変更個所とその内容、自分がなぜその変更が必要だと思うか、その理由の説明もお忘れなく。誤植やジャーナルの投稿規定に沿っていない書き方が見られた場合、そのことも指摘しましょう。
また掲載を推薦しない場合(リジェクトと判断した場合)も、推薦できない理由を簡単にまとめましょう。もし、もっと適したジャーナルに心当たりがあるようでしたら、その点に触れてもかまいません。

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