「フェイク・カンファレンス」を見極める9のポイント

Eメールアドレスを持つ研究者であれば誰もが、さまざまなカンファレンス(会議)への招待状を受け取っていることでしょう。しかし、すべてのカンファレンスがきちんとした組織によって運営されているとは限りません。招待状の多くは、掲載料さえ払えば査読なしで論文を掲載する捕食出版社(predatory publishers)などが主催する、いわゆる「フェイク・カンファレンス」への誘いかもしれないのです。
■ フェイク・カンファレンスはいかにして成り立っているのか
フェイク・カンファレンスとは、通常、「営利目的」で開催される会議を指します。自身をアピールしたい、研究を発表する機会を得たいという研究者の要望に付け込み、開催数を増やしています。最近のデータによると、今やフェイク・カンファレンスの数は、いわゆる正式なカンファレンスの数を凌いでいることがわかっています。
フェイク・カンファレンスの主な収入源は、研究者からの参加費です。研究者が高額な費用を払う見返りに自身をアピールする機会を与えられる、巧妙に仕組まれたイベントです。できるだけ多くの発表者・参加者を動員するため、内容や分野すら異なるテーマの会議を一度に詰め込んで開催することもあります(フェイク・カンファレンスの有名な運営会社の一つであるBIT Life Sciencesは、さまざまな分野の研究者宛に招待Eメールを一斉配信しています)。科学研究のための実績を積みたい、論文を発表したいという研究者、とりわけ発展途上国の若手研究者の純粋な野心を食い物にして、大きな収益を得ていると言えます。
■ フェイク・カンファレンスを見分けるポイント
研究や学術出版に従事する者にとって、フェイク・カンファレンスを見分けることは重要です。着目すべきポイントを紹介します。
1. 参加を検討している会議の運営者が、捕食出版社リスト(後述)に含まれていないか。
2. 専門団体や信頼できる組織が会議を運営しているか。
あまりにも一般的な名前を冠する組織によって運営される会議や、さまざまな分野を一つの会場にまとめた極端に大規模な会議への参加は避ける。
3. 主催者と連絡をとる手段が複数あるか。
ほとんどの正当な組織は、無料のEメールアカウントを使用せず、「.edu」を含むアドレスを有する。
4. 論文のアクセプトまでに要する日数。
ほとんどのフェイク・カンファレンスは、疑うことを知らない研究者を誘いこむため、短期間で論文をアクセプトすると約束する。
5. カンファレンスで研究者や論文への賞を出すことが企画されているか。
多くの褒賞が約束されている会議は注意。
6. 主催者が論文の出版を約束しているか。
正当な会議主催者が出版の保証をすることはない。
7. 編集委員会の委員たちに地域的多様性があるか。
編集委員の全員が同じ場所から来ている場合、フェイク・カンファレンスの可能性がある。
8. 編集委員は、自身の学術的情報を公開しているか。
9. 査読者や編集委員は、査読を行うにあたり学術的に適任か
どのような人物が査読をするかを事前に調べ、適任ではないことを示す根拠があれば注意。
■ 対策の方法は他にも
フェイク・カンファレンスを避けるための対策は、他にもあります。
研究者が信頼できる会議へ参加することをサポートするウェブサイト「Think Check Attend」は、がフェイク・カンファレンスを見分けるためのガイドラインを提供しています。フェイク・カンファレンスは、捕食ジャーナルを出版する捕食出版社によって開催されることが多いため、チェックポイントで記したように捕食ジャーナルのリストを確認することも役に立ちます。コロラド大学の図書館員で研究者でもあるJeffrey Beallが発表した捕食ジャーナル・捕食出版社リスト*が最もよく知られています(Beallは捕食ジャーナル判別の先駆者であり、詳細なリストを作成するために多大な時間と努力を費やしてきました)。
*Beallが作成したオリジナルのリスト(Beall’s List)」は2017年1月以降に閉鎖されており、Beallの趣旨を引き継いだ別サイトにリストが掲載されています。
参照:
Beall’s List of Predatory Journals and Publishers
Exploring the Evidence Base, Beall’s List of Predatory Publishers
■ 学術界への悪影響
フェイク・カンファレンスが学術界に与える影響は計り知れません。根本的に虚偽であるとの問題を横に置いたとしても、ほとんどのフェイク・カンファレンスの主催者や捕食出版社は、査読を行っていません。さらに悪いことに、標準レベル以下の研究論文であってもリジェクトしません。学術的価値がないジャーナルが出回ることによって、正当に評価されるべき研究を見つけ出すことが困難になってしまうのです。
研究者はフェイク・カンファレンスを避けるべきですが、多くの研究者が、甘い言葉と魅力的なパッケージの罠にかかっているのが現状です。経験を積んだ研究者ですら参加していることがあるので、侮れません。フェイク・カンファレンスや捕食ジャーナルの手口が巧妙化する中、より強固な対策が必要です。まずは研究者一人ひとりがフェイク・カンファレンスを見分ける力を持ち、参加しないことが重要です。


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