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オープンアクセス・メガジャーナルの魅力とリスク

インターネットを介してだれもが自由にアクセスすることのできる学術誌(ジャーナル)であるオープンアクセスジャーナルは、伝統的な購読型の学術ジャーナルに比較して、読み手には無料で研究成果にアクセスできるというメリットがあります。また、著者側にも、幅広い読者に研究成果に触れてもらうことができるというメリットがあることから、オープンアクセスジャーナルの果たす役割は大きいと考えられています。
このオープンアクセスジャーナルは、オンラインという特徴から、掲載論文数や刊行頻度に決まりがなく、掲載論文数が増大した結果、大量の論文を掲載する「オープンアクセス・メガジャーナル」の出現につながりました。このメガジャーナルとは、論文掲載においてどのような特徴があるのでしょうか。
■ オープンアクセス・メガジャーナルの特徴
メガジャーナルの特徴としては、主に以下の4点があげられます。
・査読の対象範囲が限定的
多くの場合、メガジャーナルでは科学的な妥当性の確認など最低限の査読を行います。研究内容が新しいか、重要か、といった評価は行いません。
・扱う分野が広範囲
メガジャーナルでは、伝統的な学術ジャーナルと異なり、特定の学問分野や領域に特化せず、広く掲載します。
・比較的安価なAPC
伝統的な学術雑誌と比べて、大量の論文を扱うため、論文掲載料(Article Processing Charges:APC)を低く抑えることができます。
・短期間での出版
査読範囲が限定的であることから、掲載までに必要な時間が短いとされています。


メガジャーナルに掲載されることは、著者にとって投稿してから短期間で掲載でき、かつ、多数の幅広い読者に見てもらえる可能性が広がるという点で魅力的といえるでしょう。
■ 投稿する前に留意すべき点
Nature社によるScientific Reports、BMJ社によるBMJ Open、米国化学会(American Chemical Society: ACS)によるJournal of the American Chemical Societyなど、特段の問題なく運営されているメガジャーナルはもちろんあります。一方で、メガジャーナルの元祖とされるPLOS ONEは、論文の多さからその質が玉石混交になり、徐々にインパクトファクターが下落し、投稿論文数自体も減少しつつあります。さらに、中には要件を満たさずにメガジャーナルを名乗っているだけの捕食ジャーナルもあるため、投稿する際には、投稿を検討しているメガジャーナルが実際どのようなものなのか、内部的な問題を抱えていないか、ねつ造されたデータを利用した論文を掲載後に取り消しているといった問題を起こしていないか、自身の論文の領域を専門としている査読者がいるかなどを確認する必要があります。
メガジャーナルに投稿することは、魅力もある反面、信頼性の低い学術雑誌に誤って投稿してしまうリスクもあります。詳しく知らない学術雑誌への投稿を検討している場合には、自身で十分に調べることが重要です。
最後に、補足になりますが、自身の論文に合ったオープンアクセスジャーナルを探す手段として、英文校正・校閲エナゴでは、「オープンアクセス・ジャーナルファインダー」という無料のツールを提供しています。このツールを利用すると、論文のアブストラクトをもとに、信頼性の高い、学術論文のオープンアクセスジャーナル・ディレクトリ(Directory of Open Access Journals: DOAJ)が提供する学術雑誌のリストから、最適なオンラインジャーナルの候補を選出することができます。候補として表示される学術雑誌の信頼度や論文掲載料を確認することも可能です。
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