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学会発表を研究活動に活用するためのポイント

※この記事は「学会参加を最大限に活用するために心がけること」というタイトルで2019年1月28日に公開した記事ですが、リライトにあたり情報を追記、修正して2021年7月26日に再度公開しました。

学生や研究者にとって、学会参加・学会発表は、研究成果を相互に提供し新しい情報を得るとともに、同じ分野の研究者と知り合いネットワークを構築するなど、メリットがたくさんあります。近年はコロナの影響により学会のオンライン化が進みましたが、開催方法が変わっても、学会参加や学会発表の好機を研究活動に活かすことは可能です。今回は、最近主流となっているオンライン学会の実情と、実開催・オンライン開催共に学会発表を研究活動に活用するためのポイントを紹介します。

オンライン学会の実情

既にオンライン学会に参加された経験のある方も多くなっていることでしょう。オンライン学会は、ZoomやMicrosoft TeamsなどWeb会議ツールを利用して開催されますが、その開催形式は、抄録・発表スライドなどを公開するものや、発表動画のライブ配信・オンデマンド配信を行うものなど学会によって異なります。

開催にあたっては、本会議に加えて、複数のテーマ毎の発表を同時進行させたり、特定の発表者が自分の研究内容や成果を発表するポスターセッションを行ったりしています。また、チャット機能や質問、投票機能などを利用すれば、発表者と質疑応答を行う双方向コミュニケーションも可能です。
昨年から渡航禁止処置などが続く中、数多くの学会がオンライン形式で開催され、さらに、学会によっては学会発表のみならず懇親会もオンラインで開催するなど、オンラインの機能を最大限に活用して研究者間のコミュニケーションの維持が図られています。
実際に研究者同士が会えないというデメリットがある反面、渡航費用や時間が削減できるというメリットもあり、コロナ後にも実開催とオンラインのハイブリッドが主流になるのではとの声も出ているようです。

学会がオンラインで開催される場合、発表者と視聴者双方に言語面のメリットもあります。
英語で行われる会議は大抵の日本人には敷居が高いものです。発表後の質疑応答で質問をしたり、交流イベントで積極的に話しかけて人脈を作ったりするのは、とりわけ難しいのが実情でしょう。多くの聴衆の前で、壇上の発表者に英語で質問することは、英語が相当堪能な人にとっても難しいことです。英語に今一つ自信がなければなおさらでしょう。

しかし、オンラインでの学会発表には事前録音というパターンがあります。発表スライドを事前に録音してウェブサイトにアップロードする場合、実開催の場合と違って、発表者は何度でもやり直すことができ、視聴者は繰り返し聞き直すことができます。アップロードされた動画は期間中(学会によって期間外にも)何度でも視聴できるので、内容をしっかり理解できるまで繰り返し聞くことができるのです。
しかも、現地開催だと同じ時間帯に気になるセッションが重複していたり、自分の講演とかぶっていたりすることも起こりますが、オンライン学会であれば気になるセッションを後から都合の良い時間に視聴することも可能なので効率的です。そして、質疑応答や参加者との交流については、英語で質問するのが苦手でも、チャット機能を利用して質問を書き込むことが可能です。

この様なオンライン学会の昨今の実情を踏まえ、学会参加で得られることと、学会発表を研究活動に役立てるためのポイントを改めて洗い出してみます。

学会参加で得られること

研究者としての知見が広がる

学会が実開催の場合、開催地や開催場所によっては高額な渡航費用や現地滞在費用、移動のための時間が必要となることから参加できる数は限られますが、オンライン開催であれば興味のある分野の学会に気軽に参加することができます。
主催者としては開催費用が削減できるだけでなく、会場の広さの制限がないので大量の参加者を受け入れることができますし、参加者としては実開催では予算的にも時間的にも参加できなかった学会に参加することができるようになることは大きなメリットです。
さまざまな学会発表を見聞きすること、自分の研究テーマと異なる分野のパネルやプレゼンテーションに接することは、研究者としての知見を広げる良い機会です。また、幅広い分野の研究者と知り合うことは、自分の研究に役立つ新たなアイデアの獲得につながるかもしれませんし、思わぬ共同研究の機会へと発展するかもしれません。

人脈づくりのチャンスをつかめる

学会は、該当分野の先端的な研究を牽引している研究者に会い、話を交わすチャンスでもあります。
こうした機会は、研究者、特に学生や若手研究者にとっては学びの機会であるとともに、人脈を広げる好機です。研究発表を視聴するだけに留まらず、発表を行った研究者と交流を図る機会も最大限に利用しましょう。実開催の際はもちろん、オンラインでも懇親会が開催されたりするようなので、出来るだけ人とつながる機会を逃さず、他にも参加者同士の交流を促す対策が講じられている場合にはそれも活用し、後で連絡をとれるような関係を積極的に築くことが大切です。

プレゼンスキルの向上

学会で自分の研究について発表(プレゼン)することは、プレゼンスキルの向上につながります。
プレゼンスキルは、学生としても、研究者として研究活動を続けるとしても必須のスキルです。実際の会場で列席する観客を前に発表するよりオンラインの方がやりやすいという人もいる一方で、相手(視聴者)の反応が見えないのでやりづらいと思う発表者もいるようです。
先に述べたように、オンライン開催で事前録音の形式を取る場合は何度もやり直しがきくというメリットがあります。これを生かし、学会発表に慣れていくとよいでしょう。いずれにしてもひるむ気持ちを克服し、自分の研究内容をまとめて分かりやすく発表するスキルの向上に努めてください。

学会参加を研究活動に役立てるためのポイント

次に、どのような形の学会に参加するのであっても、参加するチャンスを最大限研究活動に役立てるために抑えておくべきポイントを挙げます。

参加・発表の目的を明確にし、スケジュールを組む

その学会で何を得たいのか、発表するのか、情報収集したいのか――参加する目的を明確にしておくことが大切です。

視聴したい発表、参加したいワークショップなど、学会ごとのプログラムを把握した上でスケジュールを立て、参加する目的に合わせた優先順位を付けておきます。
自分で発表するなら、申込みから発表準備まで含めた綿密なスケジュールを作る必要があります。参加する学会がどのような形式で開催されるのか、資料はどのような形式で提出するべきか、配布方法は学会開催中に参加者がダウンロードできるようにするのか、カラー、あるいは白黒で印刷されるのかなどを事前に確認し、発表の目的に沿った最適な資料を準備しましょう。

積極的に質問する

主体的に参加し、視聴した発表内容をより深く理解するためには、質問することです。
発表者は多くの場合、プレゼンテーションの最後に質疑応答の時間をとっています。質問をするつもりで視聴する心がけが大切です。参加人数の多い会場では質問や発言のチャンスが限られる上、広い会場で挙手して質問するには勇気がいるものです。一方、オンライン形式では、チャット機能やコメント機能などで質問・発言しやすい環境でもあります。このメリットを生かして積極的に質問を投げかけてみて下さい。

研究者同士の交流イベントに参加する

学会での交流イベントは他の学生や研究者と知り合うチャンスです。実開催であれば、夕食会や観光、屋外活動などさまざまな企画を通して交流を深めることができます。
さらに、学会の場は、博士課程の学生や若手研究者にとっては研究をアピールし、将来のポストを得るための情報収集や種まきの場にもなっている側面があることも留意しておくべきでしょう。これは、オンライン開催ではカバーできない学会の役割のひとつです。

学会の開催期間中にディスカッションイベントが開催される場合には、積極的に参加するようにするとよいでしょう。また、学会に参加した際には、発表資料や会議のプロシーディング(講演要旨集)の中に発表者のメールアドレスが掲載されていないか確認し、学会終了後に時間を置かずにメールで質問したり、さまざまなコミュニケーションツールを活用したりして研究者間の交流を図っていくとよいでしょう。

研究者が自由に移動して学会に参加できる日がいつになるのか不明ですが、今後、益々オンライン上の環境が整備されていくこと、オンライン学会開催にはそれなりのメリットがあることなどを踏まえると、オンライン学会の意義は高まると考えられます。

とはいえ、実際に現地に集って議論し、交流を深めることも学会の重要な役割ですので、実地開催の学会がすべて無くなってしまうことはないと思われます。実開催とオンラインのハイブリッド開催の仕組みが充実するなど、これまでにはなかった学会参加の方法も増えていくことでしょう。どのような開催形式でも、学会に参加するのであれば、発表を視聴して見聞を広げるだけでなく、多角的な面から機会を最大限活用するようにしてみてください。


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