2019年版QS世界大学ランキングが発表

イギリスの高等教育機関の調査会社クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds,QS)が2018年6月7日、「QS World University Rankings第15版」を発表しました。いくつか存在する世界のトップ大学ランキングの中でも随一の注目度を誇るQSの同ランキング。果たして今回の内容は――。 

■ クアクアレリ・シモンズ(QS)のランキング 

クアクアレリ・シモンズ(QS)は、同社の創始者でありCEOであるNunzio Quacquarelli氏が、ペンシルベニア大学のウォートン・スクール在学時に考案したことを発端に、2004年から世界の大学ランキング付けを開始しました。複数ある世界の大学ランキングの中で、唯一、国際ランキング専門家グループ(International Ranking Expert Group, IREG)の承認を得ているランキングで、これから高等教育を受けるために大学を選ぼうとする学生やその保護者、さらには産学連携を図る企業にとっても、たいへん役に立つデータとなっています。グローバル・イノベーション・インデックス(Global Innovation Index)やBank of Communications Sea Turtle Indexといった、他の国際的なデータベースの作成にも活用されています。QS世界大学ランキングリスト2019年版では85か国1000以上の大学が、次の6つの評価指標によりランク付けされます。一つ目はAcademic Reputation(学術関係者からの評価)。全体のうち40%と最も比率が大きく、Faculty/Student Ratio(学生1人当たりの教員比率)とCitations Per Faculty(教員1人当たりの被引用数)が各20%とそれに続きます。次いでEmployer Reputation(雇用者からの評価)が10%、International Faculty Ratio(外国人教員比率)とInternational Student Ratio(留学生比率)が各5%となります。

■ 最新の世界上位10校は

最新のQSリストで世界の大学第1位に輝いたのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)でした。MITは7年連続で1位という、自身が持つ最長記録を更新しました。MITはAcademic Reputation(学術関係者からの評価)、 International Faculty Ratio(外国人教員比率)、 Faculty/Student Ratio(学生1人当たりの教員比率)などのカテゴリー別でも1位となっています。

QS世界ランキング上位10校は、以下の通りです。

1. マサチューセッツ工科大学(MIT・米国)
2. スタンフォード大学(米国)
3. ハーバード大学(米国)
4. カリフォルニア工科大学(Caltech・米国)
5.オックスフォード大学(英国)
6.ケンブリッジ大学(英国)
7.ETHチューリッヒ(スイス連邦工科大学・スイス)
8.インペリアル・カレッジ・ロンドン(英国)
9.シカゴ大学(米国)
10.ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL・英国)

■ 日本の大学のランクは

では日本の大学のランクはどうだったのでしょうか。世界ランキング上位1,000校に入った国内大学は44校。上位100位に入ったのは、東京大学(23位)、京都大学(35位)、東京工業大学(58位)、大阪大学(67位)、東北大学(77位)の5校でした。日本の大学としては最高位の東京大学の評価は、Academic Reputation(学術関係者からの評価)で世界第7位、Employer Reputation(雇用者からの評価)で世界第13位、その結果、総合して23位でした。昨年と比較して順位を上げた大学もあれば落ちた大学もありますが、アジアの他の国々と比べると、以前と比べて日本の大学の相対的な威信低下が懸念される結果となっています。

ちなみに、アジアで上位100に入った大学が一番多かったのは中国の6校で、中でも昨年25位から17位に急上昇した精華大学は特筆に値します。韓国も日本と同数の5校が上位100校入りしており、日本の大学としては、これ以上ランクを下げるのは避けたいところでしょう。

■ ランキングをいかに活用する?

発表の前後にはかなりの話題を呼ぶツールとなったQS世界大学ランキングですが、もっとも、それが絶対的かつ普遍的なランキングかと問われると、異論が出てくることでしょう。別の評価方法を用いて異なる結果のランキングを発表している団体も存在するからです。イギリスのタイムズが発行する高等教育情報誌ザ・タイムズ・ハイアー・エデュケーション(The Times Higher Education)や、中国の上海交通大学の大学研究センターによる世界大学学術ランキングなどがその例です。

各大学ランキングは、異なる評価指標のもとで作られています。QSであれば、大学の資金力よりも教授や学生の質に重点が置かれているように、評価の軸が何になるかで順位は変動しやすいと言えるでしょう。

ここから、大学ランキングの上手な活用のされ方が見えてきます。一つのランキングのみを見て各大学の評価を下すのではなく、他のランキングも読み、それらを比較することで初めて、大学を総合的に評価することができるのではないかということです。

例えば学生が、ある大学ランキングをもとに豊富な研究資金を持つ大学に進学したとして、教授や学生の質が著しく低くて予算を持て余してしまうことにでもなったら、悲劇です。各大学が、異なった指標のもとでどこにランク付けされているのか、長所と短所を見た上で進学先を決めることで、希望に沿った学術研究の内容も手にできるのではないでしょうか。

インターネットを使えば、ありとあらゆる情報が手に入る時代です。こんな時代だからこそ、大学ランキングのような信頼性のある情報の価値が増しています。将来の進路や共同研究の相手を見極める上での重要なツールとして、各社が発表する大学ランキングを比較・検討しつつ活用してみてはいかがでしょうか。

 


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