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APAスタイルガイドの概要

研究論文を出版するプロセスは、複雑です。ひとつでも必要な要素の書き方を間違えると、書き直しや作業のやり直しで苦労したり、最悪の場合には投稿論文がリジェクト(却下)されたりという事態に陥りかねません。そうならないように、論文に特化した書き方に準じて論文原稿を作成する必要があるのです。APAスタイル(もしくはAPAフォーマット)は、研究者が英語で論文を執筆する際のガイドラインのひとつです。

この記事では、APAスタイルに準じた論文の書き方と、このフォーマットで論文を書くために理解しておくべき基本的なポイントを解説します。

APAスタイルとは

APAスタイルとは、APA(American Psychological Association:アメリカ心理学会)が定めた公式の書式で、心理学や教育学といった社会科学分野で標準的に使用されるフォーマットです。APAスタイルは、研究論文の出版業界でも広く使用されています。

研究論文の執筆の際に、スタイルやジャーナル出版社の執筆要項が分らなくなったりすることはよくある事ですので、論文を書き始める前にあらかじめジャーナルの執筆要項を確認し、そのガイドラインに従って執筆していくことが最良な方法です。

論文を書くにあたって、参考文献(リファレンス)の書き方は時代とともにスタイルが変わることもありますが、他の項目に関する書式については、APAスタイルを参照しておけば、模範的な研究論文を書くことが可能です。

APAスタイルガイド第7版

APAスタイルガイドは定期的に改訂されており、現在最新のものは、2020年に出版された第7版(7th edition)です。APAスタイルは、英語の学術論文を書くための書式であり、大学の期末レポート、クリエイティブ・ライティング、作文、あるいは研究の意味について自分の見解をまとめるレポートの書き方とは異なるものです。まず、APAスタイルの基本書式を以下に記します。

ページレイアウト

アメリカで規格化され、主に北米で使われている用紙(8½x11インチ)に1インチ(25.4 mm)の余白を取り、ダブルスペースで書きます。段落の書き出しにはすべて0.5インチインデント(字下げ)を付け、すべてのページにページ番号を挿入します。

フォント

Times New Roman(12pt)、Arial(11pt)、またはGeorgia(11pt)など、広く普及しているフォントを使用します。

APAスタイルの構成

APAスタイルは、タイトルページ、要旨(要約)、序論、方法、結果、考察、参照文献の7つの部分から構成されています。

1. タイトルページ

APAスタイルでは、タイトルは10~12ワード(語)で、論文の要点を反映した題名にします。タイトルに続いて、執筆者の名前と所属機関名を記します。マイクロソフトMS Wordの「ヘッダー」の機能を使い、ページヘッダーを作成し、タイトルページにランニングヘッド(論文が公開される際に、ページ左上に表示される短いタイトルと右側に表示されるページ番号)を挿入します。ランニングヘッドは、句読点とスペースを含めて50文字以内にします。ページ番号は「ツール」を利用して挿入し、各ページに自動的に表示されるようにしておきます。


APA Style – Student Paper in APA 7 Style

APA Style – Professional Paper in APA 7 Style

2.要旨(要約/アブストラクト)

要旨は、120ワード(語)以内、ダブルスペースで1パラグラフにまとめます。テーマについて1~2文で記述し、方法、結果、考察について言及します。

APA Style – Abstract in APA Style

3.序論

APAスタイルの書式の中でも序論部分は最も執筆が難しい部分です。良い序論には、関連分野の既存知識を批判的に評価し、未知の領域を定義し、研究目的と実施した理由がまとめられています。ただし、序論は、読者が論文に興味を持ち続け、本文を読むように促すものとなるように心がけます。

よく書かれた序論は、読者を論文に引きこみ続けます。読者に興味を持ってもらえる序論を書くために、研究の仮説へとつながるアイデアの論理的な流れを示す必要があります。さらに、序論では参考文献を紹介しつつも、すべての研究について詳細に説明することはしません。論文の主要な研究結果を要約するに留め、論文からの引用はせず、内容を言い替えて表します。

4.方法

APAスタイルの論文における方法の項目は分かりやすく記しますが、プロトコルと条件は正確に記載する必要があります。ここでは、結果の再現性に問題がなく、他の研究者がその研究方法を効果的に再現できるように、研究と実験について詳細を説明することが求められます。

このセクションには、使用した材料や装置、実験内容/手順/プロトコルを含めます。手順は簡潔かつ正確に記し、全体を読み返し、手順の記載に重複がないか、書き方が冗長でないかを確認します。

5.結果

結果には、データ分析の手法と、発見したことを説明します。データの分析が複雑な場合には、セクションをサブセクション(小区分)に分割します。それぞれの仮説ごとにサブセクションを分け、統計解析を行い、結果を視覚的に表現する表や図を含め、内容を詳しく説明するのが理想的です。最も重要なことは、ここで結果の解釈を共有しないことです。解釈の説明は、考察のセクションで行ってください。

6.考察

考察のセクションでは、得られた結果の解説と解釈を記します。研究の仮説をより深く理解するのを助け、その結果を該当分野のより広い文脈に位置付けるものです。考察では、序論とは逆に、研究テーマの詳細から入り、より広義に捉えた理解について説明していきます。

まず、主な発見について簡単な説明を行い、次に、自分の研究結果が仮説をどのように裏付けるかを説明します。加えて、研究結果がこのテーマに関する既存の文献をどのように強化するか、あるいは裏付けるかを説明します。自分の研究結果を、冒頭で挙げたいくつかの文献と結び付けて、全体の流れをまとめます。また、興味深い、あるいは驚くような結果が得られたかについても言及します。予想外な結果を正当化するのに役立つ他の理論についても論じるようにしましょう。

研究の限界についても説明し、研究を行ったことで追加的に出てきたすべての疑問にも言及してください。また、その研究テーマについて、どのような研究を追加的に行うべきか、現時点での研究における未知の領域がどのようなものかについて言及することもできます。そして最後に、自分の研究が人類のより大きな問題とどのように関連する可能性があるかについて述べ、読者に対して「全体像」を強調することができます。

7.参照文献

参照した文献をアルファベット順に一覧にします。論文で使用した全ての文献をダブルスペースで並べ、余分なスペースを入れないようにします。リストの2行目の頭を1行目より字下げ(インデント)します。参照の詳細な書き方は執筆物の種類によって異なるので、以下の説明を参考にしてください。

Ⅰ.ジャーナル論文

ジャーナルに投稿された論文のリストであれば、タイトルの最初の文字だけ大文字にし、ジャーナル名と巻番号はイタリックで表記します。ジャーナル名が複数の単語から成り立っている場合には、主要な単語のそれぞれの頭文字を大文字にします。

例:
Ebner-Priemer, U. W., & Trull, T. J. (2009). Ecological momentary assessment of mood disorders and mood dysregulation. Psychological Assessment, 21, 463-475. doi:10.1037/a0017075

Ⅱ.書籍の章

書籍のタイトルと章のタイトルの両方の最初の単語の頭の文字だけを大文字で書きます。

例:
Stephan, W. G. (1985). Intergroup relations. In G. Lindzey & E. Aronson (Eds.), The handbook of social psychology (3rd ed., Vol. 2, pp. 599-658). New York: Random House.

Ⅲ.書籍

例:
Gray, P. (2010). Psychology (6th ed.). New York: Worth

Ⅳ.表

表には明記したい情報によってさまざまな形式があります。そのため、表の番号とタイトルを記入するよう徹底しましょう。表タイトルはイタリックにします。表はシングルスペースまたはダブルスペースのいずれかで書き表します。

Ⅴ.図

必ず図のX軸とY軸を明確に記し、図の下に題と簡単なキャプション(説明)を付けます。図のキャプションには、変数と測定単位を示すのが一般的です。棒グラフにエラーバー(誤差棒)を付ける場合には、キャプションにバーが何を表しているのか、グラフデータの誤差の範囲を表していることを記載しておきます。

Ⅵ.本文中の引用

本文中に参考文献を引用する場合には以下のような点に注意します。

  1. 著者の名前と出版日(発表日)を記載する
  2. 文章の一部として複数の著者名を引用する場合には「and」(&記号ではなく)を使用する
    例:According to Jones and Smith (2003), the…”
  3. 引用を括弧で囲む場合には「&」を使用する
    例:Studies have shown that priming can affect actual motor behavior (Jones & Smith, 2003; Kiley, Bailey, & Hammer, 1999).
    この場合、カッコ内に記す論文の順番は、筆頭著者の名前のアルファベット順に並べ、それぞれの論文をセミコロンで区切ります。
  4. 直接引用は避けます。ただし、引用する場合には、名前と発表日とともにページ番号も記載します。
  5. 引用する文献の著者が3名以上の場合には、本文中に初出の引用時のみ全員の名前を記載し、後述の引用では筆頭著者のみを記載し、その他の共著者は「et al.」と省略することができます。
    例:“Klein et al. (1999) found that…”.
  6. 引用する文献の著者が6名以上の場合には、初出の時点から毎回、筆頭著者名の後に「et al.」と記載します。

Ⅶ.二次情報の引用

別の論文などで引用されている情報を二次情報のまま引用するのは避けます。どのような情報でも引用する場合には、事前に一次情報を探してください。ただし、二次情報に言及する必要がある場合には、次のようなAPAスタイルの記載例を参照してください。
例:Primary source author’s last name (as cited in secondary source author’s last name, year) argued that…
(仮訳:一次資料の著者名(二次資料の著者名と引用されている年)は次のように主張している…)

APAスタイルで論文を書く際の7つのポイント

  1. 一人称の使用を最小限に留める(例外あり)
  2. 個人的な発言やエピソード(個人の体験に基づく話)は避ける
  3. 基本は過去形で書く(例外あり)
  4. 縮約形を使用しない(誤:“it doesn’t follow”/正:“it does not follow”)
  5. バイアスととられる言葉の使用は避ける(性別/ジェンダー、人種、民族、性的指向などに関連する論文を書いている場合は特に適切な用語に注意)
  6. 引用情報の出どころを確認する
  7. 情報元の論文からの直接引用はせず、できる限り言い換える

ここで記したのは、APAスタイルの一部のみであり、他にもさまざまな決まり事があります。研究論文をAPAスタイルに準じて書く際には、書き出す前に投稿先のルールを確認しておくようにしてください。APAスタイルの詳細は変更されることがあるので、現時点で最新の第7版を参照し、それぞれの項目をスタイルに準じた形で書くことを徹底することをお勧めします。


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