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サイテーションインデックス(引用検索)SCIE

クラリベイトの提供するScience Citation Index(SCI)とScience Citation Index Expanded(SCIE)は同じなのか違うのか?何が違うのか?という疑問が寄せられたので、この2つについて見てみます。

SCIとSCIE

Science Citation Index(SCI)は、もともとInstitute for Scientific Information (ISI)によって作成され、現在はクラリベイト(旧トムソン・ロイター)によって管理されている科学技術分野のサイテーションインデックス(引用索引)で、学術界の実績評価基準として活用されてきました。
Science Citation Index Expanded(SCIE)はその拡張版としてリリースされ、SCIがCD-ROMで発行されていたものをオンラインでできるようにしたものです。


サイテーションインデックスには膨大な学術雑誌(ジャーナル)の情報が収録されているので、ユーザーはこれらのデータから文献間の引用・被引数など研究に必要な情報を収集することができます。世界の一流ジャーナルで掲載されている論文の数や引用数から、どのような研究論文がどのぐらい引用されているのか、どの著者の論文の引用率が高いのかなどが見えてきますし、分野毎にどのジャーナルにどのような論文が発表され、その論文が何回引用されているかを追跡することで、科学研究の傾向や進捗の把握にも役立ちます。サイテーションインデックスは研究者にとって貴重な情報源なのです。

研究者は、自分の論文をひとりでも多くの人に読んでもらいたいと思うでしょうし、名高いジャーナルに投稿し、SCIのようなより多くの研究者が利用しているデータベースに収録されることで引用されるチャンスを増やしたいと思うでしょう。論文の露出が高まれば、他の研究者から意見をもらえる機会が増え、さらには自分の評価を上げ、研究分野への貢献につなげることもできます。

サイテーションインデックスが作られた背景

SCIは、Eugene Garfield博士が設立したInstitute for Scientific Informationにより1964年に発表された最初の科学分野におけるサイテーションインデックスです。情報源であるデータベースは当初「Web of Knowledge」と称されていましたが、後に「Web of Science」となり、学術ジャーナルだけでなく論文も収録するようになりました。研究者の出版情報、研究で引用した論文へのリンクなどの情報まで幅広く収録しているので、論文と引用文献を簡単に紐づけて検索することが可能になり、該当研究がどのように進められたかも把握することができるようになったのです。

2006年にGarfield博士が発表した論文には、問題が指摘されている、あるいは議論となっているデータを論文著者が引用してしまうことの問題性と、意図しないものも含めた不適切な引用を防ぐことに役立つサイテーションインデックスの有用性が記されています。研究者が過去に出版された論文に対する評価を適切に認識でき、また論文に対する研究者の意見を見やすくすることで、不正や内容の古いデータを引用してしまうことを防ぎ、情報の質を向上させることができるということです。それにより、科学における議論を活性化することにつながるとしています。この論文には、1995年にThomasson PとStanley JCがScienceに投稿した論文からの引用も記述されています(以下)。

「意図的であろうとなかろうと、問題が指摘されているような不確実なデータを著者が引用してしまうことは重大な問題です。裏付けのない主張であると知りながらデータや記述を引用するのはもちろん許されない行為ですが、問題となっていることに気付くことなく引用された場合でも、多くの学生が事実に基づかない主張に振り回されてしまうことが懸念されます。学術ジャーナルは次々に発刊されるので、批判的な評価は時間の経過とともに見過ごされる可能性がますます高まるとはいえ、関連する研究がより広く発表されると、再び人目に付く傾向があります。」
出典:Thomasson P, Stanley JC. Science 1955;121:610. Thomasson and Stanley were commenting on C. Zirkle’s discussion of the use of fraudulent data [Science 120, 189 (1954)].

Web of Science のジャーナルの掲載基準

クラリベイトは、サイテーションインデックスが基にしている学術データベースであるWeb of Scienceに掲載するジャーナルの選択プロセスに独自の基準として、客観性、選択性、収集論文の活性化力(ダイナミクス)を基本原則に掲げています。これには、24の品質に関する基準と、それぞれの分野で最も影響力のあるジャーナル向けに設定された4つのインパクト(影響力)評価の基準の、計28の基準が定められています。これらの基準に準じた選択を行うことで、優良なジャーナルを選出し、それらのジャーナルを該当分野において最も評判の良い、影響力の高いジャーナルであるとのお墨付けを与えているのです。ジャーナルの選択は、出版社や研究機関とのつながりがないWeb of Scienceの編集者によって行われることで、偏見のないジャーナル選択が行われるように配慮するとともに、編集者らは各ジャーナルに対して定期的なモニタリングを行うことで質を確保しています。

SCIEとは―SCIとの違い

SCIEは、SCIと同じく、ジャーナルを検索することができるサイテーションインデックスです。研究者のSNSであるResearchGateに掲載された投稿で言及されているトムソン・ロイター(2010年当時)が研究者向けに発出したレターには、この2つには収録ジャーナルに若干の違いがあることと、SCIがCD/DVDのみで提供され、SCIEはオンラインで提供されるといった違いがあることが書かれていましたが、その後の投稿を見る範囲では基本的には収録ジャーナルに差はなくなっているようです。

現在、178の科学分野において影響力のある9,200以上ものジャーナルが収録されており、1900年から現在に至るデータは、5,300万件以上の記録と11億8,000万件を超える引用文献に及んでいます。提供媒体の違いに起因する収録数の違いに差があるために、SCIの方が「より選別されたジャーナル」といった印象を与えがちですが、基本的には同じものとなっています。SCIEと統合した結果、情報の一本化を図るため、クラリベイトのMaster Journal List からSCIが削除され、以下のように整理されています。

  • Science Citation Index Expanded(SCIE):臨床学、自然科学、応用科学分野
  • Social Sciences Citation Index (SSCI):社会科学分野
  • Arts & Humanities Citation Index (AHCI):人文学
  • Emerging Sources Citation Index (ESCI):SCIの掲載基準には達していないながら、国際的に評価されており、科学・社会科学・人文学の発展に影響を与えると目されるジャーナルや先端分野のジャーナルを収録。2015年に導入されたもの。IFは付与されないが、被引用回数の確認は可能。

データベースに収録されているジャーナルに投稿しよう

ここにあげたSCIEのようなサイテーションインデックスに収録されているジャーナルに論文を発表することは、研究者にとってとても大切です。今では、ほとんどの研究者が論文検索をオンラインで行っているので、インデックス付きの学術データベースに収録されているジャーナルに論文が掲載されることの意味はさらに大きくなっています。繰り返しになりますが、データベースで引用検索を行うことで、該当する情報が信頼でき、さらに科学的知見に関する記録の完全性も確認できます。結果、研究者は他者の発見や考えを基に新たな考えを構築し、研究の発展につなげることができるのです。

研究論文を投稿する際は、インデックス付きのデータベースに収録されているジャーナルへの掲載を目指してみてください。


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