【日本医科大学】 根岸靖幸講師インタビュー(後編)

各大学の研究室に訪問し、研究者たちにおける英語力向上の可能性を探るインタビューシリーズ。20回目は、日本医科大学の微生物学免疫学教室で生殖免疫学の研究を進めている 根岸靖幸 先生です。

前編は、ご研究の内容と、英語への取り組み方についてのお話でした。後編は、学会での発表、後進の指導、研究のこれからに関するお話です。


■ 学会に参加される機会は多いのでしょうか?

海外は年に1回か2回です。毎年行われる米国生殖免疫学会と、3年に1度開催される国際免疫学会に参加しています。国内の学会の方が多いですね。僕の場合、産婦人科と免疫の両方の学会に参加する必要があるので、数が結構多くなります。日本生殖免疫学会、日本免疫学会、日本産婦人科学会、日本胎盤学会、米国生殖免疫学会。今出ているのは4-5つぐらいです。最近は国内の学会でも英語での抄録作成、発表が増えてきましたのでさらに英語のスキルが必要とされます。

■ 学会での英語発表で印象的な出来事はありますか?

米国生殖免疫学会で、口頭発表できたことでしょうか。口頭採択されない時期が長かったので。10分弱の短い時間ですが、つたない英語でしゃべって、質疑応答もぼろぼろでしたが、発表後、米国生殖免疫学会のご高名な先生に肩をぽーんと叩かれて、”Good presentation”と言ってもらえたのが嬉しかったですね。他に、国際生殖免疫学会でも、発表後に大御所の先生から評価をいただいたことがあって。そういう風に評価してもらえるのは嬉しいです。

ただ質疑応答にはいつも窮します。もう全然。リスニングが苦手なので、何となく単語を拾って、こうかな?と推測しながらにやっと笑う(笑)。学会に参加する外国人は、相手が日本人だと見ると「ああ、こいつは英語ができないな」って分かってくれて、ゆっくりしゃべってくれます。なので、あまり気にしないようにしています。プレッシャーはありますけど、楽しむ(笑)。

■ 質疑応答にご苦労される研究者の方は少なくありません。

質疑応答に限らず、英語ですべてを賄うのはネイティブでないので難しいです。それでも英語は不可欠になっている。日本で開催する学会でもプレゼンテーションを全部、英語で行うところがでてきました。でも、それが果たしていいのかどうか……。日本人同士が不十分な英語でしゃべらなければならない状況では、みんなが手を挙げなくなっているかもしれないし、理解できていないことがあるかもしれない。英語に慣れるのには役立つとしても、痛し痒しだと思います。

■ 若手の研究者への英語指導についてもお聞かせください。

研究室全体では、大学院生が4人います。スタッフは助教が3人、私を含め講師が3人。そこに准教授が1人、教授が1人。僕についている大学院生は現在この中にはいないのですが、産婦人科、整形外科で学位を取りたい先生がそれぞれ1名ずついて、一緒に研究をしています。

ただ英語の指導については本当に今、一番悩んでいることです。論文を読め、学会に行けというのは簡単ですが、具体的にはどう指導しようかと。この秋か冬ぐらいから、抄録を書いたり発表したり、論文を書いたりしてもらいながら、指導していこうと思っています。あとは、学会や発表に臨む姿勢は伝えたいなと。僕は学会に行ったら必ず、1日1回は英語でも日本語でも質問しようと自分に課しています。最初は何を聞いたり話したりしていいか分からなかったので、相手のプレゼンテーションをほめることから始めました。絶対質問しなきゃいけないっていうのを課すことで、抄録を読んであらかじめ質問を準備したりもしました。発表を聞いて質問内容をちょっと変えるとか、そうした努力はしてきました。その場で考えるのはハードルが高いので、抄録を読んで、自分の研究に近いものをピックアップして質問を考えておきます。絶対に質問すると追い込むことで、準備をして、じっくり聞いて考える。そうすることで発表の内容が、より入ってくるので、とにかく質問しようとすることは大切です。これについては、後進にぜひ伝えていこうと思っています。

■ 若手研究者へのメッセージをお願いできますか。

難しいですね……まだ自分が若手のつもりなので(笑)。

■ では研究に対する意気込みをお願いします(笑)。

去年は嬉しいことが重なりました。研究費取得や日本の中でいくつか賞もいただけて。すごく励みになりました。下積みが長かったし、新しい概念はなかなか受け入れてもらえなかったですから。この研究室で産婦人科は僕だけで、他のメンバーは腫瘍免疫、感染、粘膜免疫、漢方医学などをテーマにしています。様々な研究分野に携わる研究者が同じ教室にいるということは、それぞれの分野では思いもよらなかった考え方、最新の知見をただですぐに情報交換することが出来ます。メンバー達と刺激しあって研究を行っています。

免疫って面白いもので、今まで免疫の関与など知られていなかった多くの科の治療や研究に絡んでいることがあります。ごく最近、整形外科の先生と、整形外科学を免疫学的アプローチで解析するというコラボを始めたばかりです。他の科でも免疫学的な見地を探せばいくらでもあると思えるほど、未開拓なところが数多くあると思います。何とかその分野でもパイオニアになれたらと目論んでいます。

■ 最後に英語校正・添削などのサービスで「こんなサービスが役に立つ」といったご意見はありますか?

論文のリバイスをする際、サービス期間に幅(1年間)があるのが非常にありがたいです(あんしん保証)。論文を投稿して膨大な追加実験を要求された時は最悪の気分でした。またマウスを購入(輸入)するところから始めなきゃいけないという指摘を受けたときに、本当にこれ、できんのかなと……。結局、半年ぐらいかかりました。その苦労を考えれば、文章を書くのって楽だな、って思ったぐらいです。この最近の論文では、論文の初回投稿から2ヶ月で返却・リバイスをうけ、追加実験に約半年間、さらに再審査に1-2ヶ月かかり全部で10ヶ月ほど受理まで時間がかかりました。1年という長い保証期間に助けられ、何とか安心保証のサービス期間内に終わることができました。最近では日本の学会でも英語抄録になってきたので、(英語の)ブラッシュアップをしてもらえるのが、時間の節約にもなるので助かります。

■ 今後も少しでも研究を進めるお手伝いができれば何よりです。ありがとうございました。

根岸靖幸先生のインタビュー(前編)はこちら

 


【プロフィール】
根岸 靖幸(ねぎし やすゆき)
日本医科大学 微生物学免疫学教室 講師
1995年3月:東京都立大学(現、首都大学東京)にて修士を取得(物理学)
1996年4月:日本医科大学医学部入学
2002年5月:日本医科大学医学部卒業、産婦人科学教室入局
2006年9月:日本医科大学大学院医学研究科入学(微生物学免疫学)
以降生殖免疫学の研究に従事
2012年3月:日本医科大学大学院医学研究科修了(微生物学免疫学)
2012年9月:日本医科大学助教 医学部 基礎医学微生物学免疫学
2018年4月:日本医科大学講師 医学部 基礎医学微生物学免疫学
受賞
2010年度:第25回日本生殖免疫学会学会賞
2012年度:American Society for Reproductive Immunology, European Society for Reproductive Immunology(米欧合同開催)、Best Poster Award
2012年度:第27回日本生殖免疫学会学会賞
2017年度:日本医科大学 同窓会医学研究助成金受賞
2017年度:第25回日本胎盤学会学会賞(相馬賞)
2017年度:第32回日本生殖免疫学会学会賞

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