【千葉愛友会記念病院 整形外科】 倉茂 聡徳 先生インタビュー(後編)

研究者の方たちの英語力向上法などについてお伺いするインタビューシリーズ25回目の後編です。

前編のお話で「足の外科」が日本ではまだまだニッチな分野であることが分かってきました。後編では足の専門医として多数の論文を執筆されている倉茂先生の英語との付き合い方についてのお話です。


英語の論文はいつごろから書き始めたのですか。

書き始めてから、まだ10年もたっていません。私の場合、論文を書くより先に英語で発表をする機会があって、それが8,9年ぐらい前だったでしょうか?英語論文を初めて書いたのは遅かったですが、いろいろな本やネットから情報収集をして、参考にしました。少なくとも、専門分野の話は専門用語さえ覚えてしまえば、その他の単語や文法は割と簡単で、それほど難しくは感じません。

■ 研究発表が先ですか。年間どのぐらい発表されるのでしょう。また、研究発表以外で英語を使うことはありますか?

以前はだいたい年2回は海外の学会に出ていましたが、今は年1回ぐらいです。英語を使う(スピーキング)と言っても、もう発音矯正とかあまり気にしていません。自分はアメリカよりもヨーロッパの学会に行くことが多いのですが、ヨーロッパの人たちの英語は、(イギリス人以外は)割と聞きやすいです。難しい単語を使わなくてもなんとかなりますし、相手もネイティブでなければお互い様ですし。自分で話す時には、声を大きく出すとか、短い文を重ねたり、復唱して確認しながら話を進めたり、can’tなど省略形を使わずにcan notとするとか――相手が分かってくれやすいように心がけています。まあ懇親会などでの雑談は苦手ですが。それでも、日本人同士で固まらないようにして、なるべく他国の人に自分から話しかけるようにしています。外国人にも顔見知りがいるので、そこで話しているとだんだん仲間が集まってきたり、他の仲間に入れてもらったりしてますね。発表の場以外としては、たまに外国人の患者さんが来ることがあり、その時は可能なら英語を使うようにしています。

■ 英語に抵抗を感じたりはしないと。

もともと英語に抵抗がなかったわけではありませんが、以前に比べたら敷居が低くなった感はあります。論文を書いて、英文校正をお願いするとしても、その前にいろいろな文献を読むので、使えそうな表現や言い回しを引っ張ってきたりとか、英語の雑誌を検察して同じような論文を見てみると、こっちの表現よりこっちの表現を使っている人が多いなとかがわかるので、それを採用(借用)したり。Googleとか便利ですよね。この言葉とこの言葉で、どっちがヒット数多いかわかるから、こっちにしておこうとか。昔に比べたら簡単に検索できるようになっているので、かなり便利です。

■ 英語の学習に関して何かされていますか。

やっている方も多いと思いますが、パソコンやスマホなどの環境を英語に変えているのと、数年前から英語で日記を書くようにしています。3行日記くらいですが。
学会の直前には、スピーキングの練習で、昔やった英語学習用CDを引っ張り出してきて、空港や飛行機の中で聞いています。中学から英語を始めた世代ですが、スピーキングの練習を始めたのはここ数年です。得意とは言えませんが、学会などでどうしても話さなければならないので。
特別な学習法というわけではありませんが、以前からのご縁で、筑波大学の足の外科グループの勉強会に入れていただいているので、月1回、英語の雑誌を読んできたものをまとめて発表して、発表は日本語ですが、内容を英語でちゃんと読まないとできませんので、英語の勉強にもなります。多くの経験豊富な先生方と、英語の論文を元にいろいろな話をする機会となっています。東大でも月1回、英語の雑誌の勉強会があるので、最近、参加できる時には行くようにしています。
他には、オンラインで英語の専門誌に登録しておくと、無料で新しいタイトルが自動的に送られてくるので、それに目を通して、面白そうなものは本文を読んだりしていますね。昔に比べると便利になりました。最近の機械の進歩はすごいですから、情報に関することだけでなく、整形外科の分野でもそのうちにロボット手術が出てくるのではないでしょうか?

■ 足の外科にも機械による手術が入ってくると?

整形外科で主にやっていること、特に骨を切ったり固定したりという手術については、機械にとってはやりやすいのではないかと思います。実際、自分も手術前にレントゲン写真などをいろいろ見て、こう切ったらこうなるとか、ここをこう固定すればいいんじゃないか、とやっているわけですから、やがて機械に置き換え可能ではないかと思います。AIに実際の手術を見せてディープラーニングさせて、臨機応変に対応する必要がある部分はセンサーとかうまく使えれば、将来は何とかなるんじゃないでしょうか?

■ そんなご時世に医者を目指す学生や若手研究者にアドバイスをお願いします。

医療も日進月歩というか、結構変わってきています。私が医者になってからもう四半世紀以上になりますけど、IT技術や材料工学などがどんどん進歩して、診断や治療法に影響しています。患者さんの疾患なども、少しずつ変わってきていたり。他の科も同じだと思いますが、整形外科もどんどん変わっていくので、日々勉強して吸収していかないと、時代に置いていかれてしまいます。なので、日々の勉強、情報収集を欠かさないことと、あとは興味を持っていれば、昔に比べて格段便利に調べ物ができるようになっているので、それを活用して――というところでしょうか。うちの科の他の先生方も、みんながんばって勉強していますよ。

■ 英語についてのアドバイスはありますか。

中学から英語の勉強をしてきましたが、実際に使うようになったのは仕事をし始めてからです。情報収集やコミュニケーションのために英語が必要になってきて――そうでなければ、英語を使う機会はあまりありませんでした。これからの時代は、全然英語と無縁というわけにもいかないとは思うものの、機械翻訳などもどんどん普及すると思います。そうなると、英語を使えることも大事ですが、自分で何を発信できるかが、より大事になると思います。そのためには、少なくとも自分の専門分野に関しては、日本語でもいいので、日々、発信できるように勉強しておいたほうがいいと思います。読む・話すは機械がうまくやってくれるかもしれませんが、自分の頭を使ってインプット・アウトプットできるようにしておかないと。
かつてIT後進国だった国が今や日本に追いつき、さらには追い越されつつある状況なので、テクノロジーも大事だし、それと無縁ではいられない。でも、グローバル言語である英語が全くわからないのも困る。もはや英語は分かって当たり前ですよね。パソコンが使えないと仕事ができなくなったのと同じように、英語もある程度、機械を使わなくてもよい程度に読んだり話したりできないと、やっていけません。

■ 要は発信力ということでしょうか。日本人研究者は自ら発信するのに恥じらいを感じてしまう人が多いようですが。

そうですね。関東の人より関西の人の方が発信することが得意だと聞いたことがあります。もともとのコミュニケーション力が高いのでしょうね。確かにこの業界でも関西の先生は発信力が高い気がします。

■ 最後にエナゴに関して、使い勝手へのご感想やご要望はありますか。

やはり校正が早いのはいいですね。最近はネット翻訳やネット校正の精度も上がっているのでしょうけど、まだまだ英文雑誌では、英語ネイティブが論文提出前にチェックすることが前提ですし。校正の内容については、前に日本の別の会社に頼んだことがあるのですが、整形外科、さらにその中にもいろいろな分野があるせいか、単語の選択すら合わなくて、結局依頼を止めてしまったことがあります。その点、貴社でネイティブの整形外科担当の人に見てもらえるのは、こちらとしては心強いです。大学病院だと留学生がいたりするかもしれませんが、今の病院はそういう環境ではないし、お金を払ってでも見てもらえるのは助かります。料金も安いほうだと思いますしね(笑)。あとは、足の外科分野専門の方がいると非常に助かります。なかなか全分野のスペシャリストを揃えるのは大変だとは思いますが、整形外科の中のサブスペシャリティの項目を増やしていっていただけるとうれしいです。

■ 内容にマッチする人が見つかってお役に立てるようにと願っておりますので、今後とも宜しくお願いします。インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。

前編はこちらからお読みいただけます。

 

【プロフィール】
倉茂 聡徳(くらしげ としのり)先生
千葉愛友会記念病院
整形外科 部長
平成4年 新潟大学卒
平成4年4月~27年3月 東大の医局に入局し、以来、東大関連病院の整形外科に勤務
平成27年4月 千葉愛友会病院 整形外科に就任し現在に至る
日本整形外科認定整形外科専門医、日本足の外科学会評議員、関東足の外科研究会世話人などとして整形外科に貢献する傍ら、AOFAS(アメリカ足の外科学会)、EFAS(ヨーロッパ足の外科学会)、GRECMIP(国際最小侵襲足の外科学会)など海外の学会にも所属する。
専門は、外反母趾、強剛母趾、リウマチによる足部変形、扁平足障害、アキレス腱症、足関節・踵骨骨折後の変形性関節症など、足の外科全般。

 

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