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新しいタイプの査読

一般的な査読誌(査読のあるジャーナル)では、編集委員会が事前に選出した功績のある研究者たちから、投稿されてきた論文1つひとつに適した研究者が数名ずつ選ばれ、論文の査読(ピアレビュー、Peer-Review)が行われます。この方法は、ジャーナルに掲載される論文の品質向上や品質管理に欠かせないものと考えられてきました。しかし、これまで行われてきたこの査読という制度について、その過程に費やされる時間やコストの上昇、また出版後に研究者間で意見の交換をする場がないことなど、さまざまな欠点が指摘されており、新しい方法を開拓しようという動きが見られます。そこでこの記事では、新しい査読方法をいくつか取り上げて紹介してみます。
投稿前レビュー(プレ査読)
研究者が投稿前に、何らかの形で自分の論文の査読を誰かに依頼することです。その研究分野で功績のある研究者が、若い研究者から頼まれて、まだ草稿段階の論文を読んで意見を寄せることはよくあることです。この投稿前レビューは、本を出版するときにもよく行われることです(「あとがき」にそのことが書かれていることがしばしばあります)。最近では、この方法をジャーナルにも取り入れようという動きがあります。コーネル大学のarXivなどがそのいい例ですが、正式に投稿する前の論文をインターネットで掲載し、そのサイトを見た人たちから意見を求めるのです。また、投稿前のレビュー(プレ査読)をサービスとして提供する会社も出て来ました。
掲載後の読者による意見交換
ジャーナルの編集部が主導する査読を割愛し、読者にゆだねる方法です。ここでは編集部によってある程度の品質管理は行われるものの、基本的には誰でもジャーナルのウェブサイトに論文を投稿できます。査読は、ウェブサイトを訪れた誰もがコメントを残すという形式で行うことができます。
読者による意見交換後の掲載
読者による査読を経て、編集部が掲載を決定する方法です。投稿された論文は、編集部が主導する査読を経ずに、まずジャーナルのウェブサイトに公開されます。それを読んだ読者は、自分の名前を明記すれば誰でも、その論文に対する意見や評価を書き込むことができます。編集局はこれらの読者の反応を考慮して、どの論文を実際の学会誌に掲載するかを検討します。
掲載直前の一般公開による意見交換
ジャーナルの編集委員会による選抜を経たうえで、オンラインで不特定多数の人からの査読を受けてから、掲載を決める方法です。編集委員会の選抜を通過した論文は、まずジャーナルのウェブサイトに掲載されます。ここでは一定期間、インターネットを通して、無記名で不特定多数の読者が査読者として、論文を書いた研究者と意見交換をすることができます。この期間が終了次第、研究者はもう一度論文の推敲を行い、その語、ジャーナルでの掲載にいたります。
投稿前および後の査読
従来通りの編集委員会による査読を経て、読者の意見を聞くことができる形式で掲載される方法です。従来の「掲載されてしまったらそれでおしまい」といった形式から、「掲載された後がおもしろい!」といった形式に進化したものだといえるでしょう。査読過程を経て掲載された論文は、オンライン上のフォーラムで、意見交換の場が提供されることになります。『PLoS One』がそのよい例です。
以上のほかに、「Pubpeer」などジャーナルとは独立したウェブサイトで、読者による意見交換(掲載後査読)が行われることがあることも、研究者なら知っておきたいところですね。

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