英語の大文字の使い方のルール

大文字にする意味

英語で文章を読み書きしている際、「この単語の頭はなぜ大文字になっているのだろう?」「これは大文字にすべき?」と疑問に思った経験があることでしょう。

文頭が大文字になることは理解しているものの、文中で特定の単語を強調したい場合、太字にする、下線を引く、斜体にする、大文字にするという選択肢の中から、どれを採用すべきか迷むかもしれません。文章の最初の文字だけ大文字にしておけば良さそうですが、 残念ながら、その判断は間違っています。ここでは、大文字と小文字の使い分けを見てみましょう。

まず、英語の文章では、新しい文の始まり(文頭)の文字は必ず大文字になります。他には、固有名詞(人名、都市名、ブランド名、言語、会社名など)と固有名詞が形容詞となった固有形容詞日にち(曜日、月、日)を表す単語も必ず大文字を使います。大文字・小文字のルールに反して文中の単語をランダムに大文字にしてしまうと、それがどんなに意図的なものであったとしても、文法上の誤りが生じ、読者を混乱させ、文章を読みづらくすることになってしまいます。

件名やタイトル、見出しなどは、一般的に冠詞や前置詞以外の単語の頭が大文字になっていますが、出版社などによっては異なるルールを設けている場合もあるので、違う表記を目にすることがあるかもしれません。見出しの単語の頭を大文字にするのは見やすくするのが目的です。一方で、論文タイトルのように長いものは普通の文章と同様に表記されることが多いようです。

ライティングの目的に応じて、類似の事例をもとにシンプルなチェックリストを作っておいたり、大文字・小文字のルールに準じたより具体的なチェックリストを作っておいて、参照することも有用です。

また、昨今は多くの方が何らかの英文チェッカーを使用されていると思いますが、その様なツールの多くには、特定の単語を登録する辞書機能がついています。専門分野特有の用語や略称を誤りなく表記し、表現に一貫性を与えるためにも、その様な辞書機能の活用は有効でしょう。

事例から学ぶ(類推)

大文字にするかどうかは、ブランド名なのか一般的な名前を指しているのかで変わります。書籍名や映画のタイトルのような「題名」も固有名詞と考えられるので、単語の1文字目が大文字表記になりますが、申請書などのフォーム名のように全て大文字で書かれているものもあります。

大文字のルール

以下の単語では、最初の文字は大文字になります。

  1. 固有名詞:人名、地名、商号、会社名など
  2. 敬称:名前の前に来る肩書きや敬称(Dr.、Mr.、Mrs.、Miss.など) 。ただし、名前の後に役職が来る場合は小文字(Barack Obama is the president)
  3. 人種や言語(Hindu, Russian, Spanish, Vietnamese)
  4. 曜日、月、祝祭日(Monday, February, Valentine’s Day)ただし、季節は小文字(spring, summer, autumn, winter)
  5. 時代の名前や歴史的な出来事(the Middle Ages, the Renaissance, the Edo period, the Great Depression, the Industrial Revolutionなど)
  6. 固有名詞の頭字語・略称:機関名などとその頭字語や略称(国連-United Nations-UN, アメリカ合衆国- United State of America-USA, 国土安全保障省- Department of Homeland Security, 経済産業省- Ministry of Economy, Trade and Industry-METI)
  7. IT用語などの略称(Social Security Number-SSNなど)
  8. 元の単語が固有名詞であれば基本的に全て大文字で表記されるが、固有名詞ではなく表現を略した形で示すときに大文字で記載するといった例外もある(生命・生活の質/クオリティ・オブ・ライフ- quality of life-QOL)
  9. 特殊な固有名詞として扱われる場合の親族の肩書き(mother, fatherなど)は大文字(マザー・テレサ- Mother Theresa)

こうしたルールに準じた表記の他に、警告文のように注意喚起を促したい場合などですべてを大文字で書くこともあります(CAUTION! など)。

ソフトウェアが混乱を生むことも

大文字を使いすぎたり、間違った使い方をしたりすると、「見た目がうるさい」文章になってしまったり、読みづらくなったりしますし、固有名詞かと誤解を招くことも考えられます。

一方で、ソフトウェアが余計な混乱を招くこともあります。一般的なワードソフトは、リターンキーを押すたびに改行し、自動で大文字にしてしまうので、余計なところに大文字が入ってしまうこともあれば、執筆者の意図に反して「タイトル」と判断した単語や語句の冒頭文字を大文字にしてしまうこともあります。逆に、固有名詞でも一般的ではないものや辞書にないと小文字になってしまったりします。

また、大文字と小文字の使い分けを状況に応じて判断する必要もあります。

  • 論文の見出しやタイトルでは、最初の単語、そして主要な単語の頭をすべて大文字にする(ただし長いタイトルは文章と同様の記載にすることもあるので、投稿先ジャーナルの投稿規程を確認する)。
  • コロンの後の単語や文章の頭を大文字にするか小文字にするかは米語・英語によって異なる。コロンの後の文章が固有名詞や頭文字以外の場合、英語では小文字とする。米語では一般的に認められている慣習として大文字を使用するが、小文字から書き始めても良いとすることもある。スタイルガイドによって多少の差があるので、この点もスタイルガイドを確認する。

大文字と小文字の使い分け

最後に、大文字にすべきかどうかは注意しても、大文字を使う必要のないところで大文字を使ってしまった場合は見落としがちです。大文字と小文字の使い分けは、コツをつかんでしまえば難しいものではありません。ここで紹介したルールを参考に、正しく使い分けられるようにしてください。基本的なルールを覚えておけば、文章を読んだり書いたりする際に役立ちます。ソフトウェアでチェックをかけるときには、うっかり改行したり、意図しないところで大文字に変換したりしないようにも注意しましょう。読者にとって読みやすく、分かりやすい英文になることを目指してください。

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