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論文を書き上げた後にチェックしたいこと

一通り論文を書き終わったら、ジャーナル(学術誌)に投稿する前に、必ず英語を母国語とする人で、かつ、その論文の主旨をある程度理解できる人に校正をお願いしたいものです。しかし、20ページ前後にも及ぶ論文を1回で完璧に校正することは、理想の校正者にとっても難しく、実際には複数回に渡って見てもらうのが現実的だといえるでしょう。もちろんこのことには、友人に頼むにせよ、校正会社に依頼するにせよ、時間も労力もかかります。そこでお勧めしたいのは、誰かに見てもらう前に、自分で校正に半日を費やすということです。
論文をやっと書き終えたら、すぐに校正を依頼し、ジャーナルへ投稿したいという気持ちはよくわかります。加えて、あまり英語に自信がない場合には、自分で英語のチェックをしても意味がないように思えるかもしれません。しかし、ここで半日を英語の校正に費やし、日本人にとっては些細に見える間違いでも、 英語を母国語とする人にとってはまぎらわしい、日本人特有の英語のミスを最小限に減らすことで、最終的には論文の品質も向上し、投稿可能なレベルにする作業を迅速に進めることができます。
今回は、とくに日本人に多く見られるミス2種類を考えてみたいと思います。
a、an、theのような冠詞の誤用
日本語にはないため、ちょっと気を緩めると注意を怠りがちになるのが冠詞です。しかし英語では、冠詞の有無およびその種類によって意味が通じなくなるだけでなく、意味がまったく変わってしまう場合があります。そのため冠詞の誤用が多いと、英語の校正作業に時間がかかるわりには、とりあえず前後の意味が通るようにする作業に終われて、洗練された英語にする作業がおろそかになりがちです。
急がば回れといわれますが、より効率よく英語のチェックをしてもらうためには、論文を書き終えた後、すべての名詞に対して適切な冠詞が使われているか、自分でも2〜3回確認し、それから校正を依頼したいものです。
接続詞の多用
英語で書かれる論文では、短い文章が好まれます。目安としては、論文を書き終えたあと、1センテンスが3行以上に渡るセンテンスを探し、2センテンス以上に分割できないかを検討することをお勧めします。
また1センテンスが長すぎないことを確認した後に気をつけたいのが、接続詞の乱用です。日本語の文章では、各文の最初に「そのため」とか「しかし」などの接続詞を用いて、文のつながりを明確にする必要が多々ありますが、英文では、すべての文を接続詞で始めると、かえって目障りになります。接続詞は、文の流れがわかりづらいとき、その接点を接続詞で補うためのみに使いましょう。特に「on the other hand(一方)」や「consequently(その結果)」など、理論の流れを示す言葉を乱用すると、本当に焦点を当てたい理論の展開や解釈がぼやけてしまいますので、気をつけてください。
単数系と複数形
たとえば「研究」という言葉を、「research」と単数形にした場合と「researches」と複数形にした場合とでは意味が変わってきます。「results」と複数形で書いたにもかかわらず、結果が1つしか書かれていなければ、読者が混乱します。名詞をひとつずつ、単数形にすべきか複数形にすべきかを確認してください。
前置詞
たとえば「〜の下で」と書きたい場合、「below」か、「under」か、あるいは「underneath」か、それぞれに微妙な違いがあり、英語の非ネイティブにとって、前置詞はなかなかやっかいなものです。まずは辞書で確認する習慣をつけましょう。また、googleなど検索エンジンも有用です。たとえば、「シートの下で」と書きたいのであれば、「“below the seat”」と「“under the seat”」と「“underneath the seat”」をそれぞれ検索エンジンにかけてみて、英語ネイティブの人たちがどのように使い分けているのかを探ってみればいいでしょう。そのときのコツとして、ダブルクオーテーション「“”」で囲めば、一語一句同じ表現を見つけることができます。
なお、自分の書いた文章の一部を検索エンジンにかけることは、前置詞以外をチェックするときにも有効です。ただし、まったく同じ表現で書かれた英文を見つけたからといって、すぐに喜ばないでください。その英文が日本人によって書かれたものであるか否かを必ずチェックしてください。日本人だったら注意が必要です。日本人がしがちな文法ミスを、その著者もしている可能性があるからです。

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