研究および論文出版におけるAIの歴史
人工知能(Artificial Intelligence)という言葉は、1956年にダートマス大学で開催された会議で科学者ジョン・マッカーシーが提唱したものです。現在では、自然言語処理、エキスパートシステム、ニューラルネットワーク、ロボット工学など、様々な領域のAI技術が、情報の抽出と検索、機械翻訳、音声認識などの精度や速度を向上させています。
AIの歴史を振り返ると、特にこの10年間で、AIと機械学習はいくつもの業界のあり方を根底から変えてきました。革新的技術により、プロセスの自動化が、容易に、そして迅速に行えるようになっているためです。
学術出版業界では、査読、出版内容の検索、盗用・剽窃の検出、データの捏造の有無の判定などに取り組む、著者と出版社の双方を支援するAIベースの技術が開発・実装されています。AIは科学的コミュニケーションの迅速化だけでなく、人間のバイアスの軽減にも役立つものと期待されます。
研究自体へのAIの導入ということでいえば、仮説を立てることから、実験を実施することに至るまで、研究プロセスの自動化において目覚ましい成長を遂げています。実際、研究者は現在、生物医学、薬の組み合わせ、病気の予測などの複雑な問題にAIを使って対処するようになっているのです。
以下のインフォグラフィックでは、AIの歴史のマイルストーンと、研究および学術出版におけるその応用について示しています。一部の技術は、いまだ開発段階にあり、ベータ版のみがリリースされているものです。
インフォグラフィックのサマリー
AIの歴史
・1956年 ジョン・マッカーシー「人工知能」という言葉を提唱
・1965年 初のエキスパートシステムDENDRALでの化学研究スタート
・1972年 MYCINでの血液感染症研究スタート
・2006年 Etzioni、Banko、Cafarellaが「Machine Reading(機械読書)」という言葉を提唱
・2009年 人の介入なしで研究を行うシステムAdamの開発
・2011年 スーパーコンピューターWatsonが2人のクイズ王を破る
・2017年 Alによる効果的な抗癌剤の組み合わせ実証
・日本に拠点を置くユニコーンスタートアップSakana AIが、研究アイデアの提案から仮想研究、論文の執筆までを行うAI「The AI Scientist」を開発(インフォグラフィックには含まれていません)
AI市場の成長率
・AIの市場価値の年平均成長率は62.9%(2016年~2022年)
・ヘルスケア分野の年平均成長率は40%(2021年)
・教育分野の年平均成長率は39%(2020年)
・世界5地域の年平均成長率は67%(2015~2020年)
・日本の年平均成長率は114.9%(2015~2020年)