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研究者プロフィールの書き方(パート2)

研究者として自分のプロフィールを書くことも学術活動のひとつです。論文が学術雑誌(ジャーナル)に受理(アクセプト)された場合や、カンファレンスで研究結果を発表するような場合にプロフィールの提出が求められます。ところが、どこから何を書けばいいのか悩むことも―ここでは『研究者プロフィールの書き方(パート1)』に続き、プロフィールの書き方に踏み込んでみます。

プロフィールの構成

プロフィールは、短く、数行あるいは短いパラグラフに収めるという制約があります。自分自身の基本的な情報に絞りこむことが大切です。プロフィールの主な目的の1つは、自分の功績をしっかり伝えることです。簡潔にまとめたプロフィールで、自分の背景を大まかに伝えます。あまり細かく書く必要はありません。また、プロフィールは、「三人称」で書きます。つまり、「私(I)」を主語にするのではなく、他人からの目線で書くのです。適切なプロフィールはどのような情報から書き始めるべきでしょうか。

自分に関する基本情報には以下の事項を含めます。

  • 氏名:文章中に自分のフルネームを書くことは少ないとしても、同じ名前の人と区別できるようにプロフィールにはフルネームを記載します。
  • 身分:学術機関における身分(地位)は、あなたの背景や関心を読者に伝える大事な情報です。大学院生であれば、プロフィールを提示することで研究発表を依頼されたことや、論文などが発表されていること自体を印象付けることができるでしょう。
  • 所属大学・研究機関:所属する大学、組織・機関に言及しておくことは大切です。

こうした情報を実際のプロフィールに書く際は、ここに示したような箇条書きではなく、散文体で書きます。例をあげてみましょう。

「ジョセフ・タイベリアス・シュモーは、ミネソタ大学の博士号取得課程に所属する学生です。」

この序文に続いて、主な研究に関する情報を続けます。

「シュモーは、中央アフリカのコンゴ盆地で、ボノボ(Pan paniscus)の社会構造に関する研究を行いました。」

この後に、対象動物をどのくらいの期間研究していたかなど、より詳しい情報を追加するとよいでしょう。自分の仮説を提示し、他の仮説とどう異なっているのかを説明することもできますし、研究における重要な意味などについて記載することも可能です。

プロフィールは、約35~30語(ワード)で書くのが一般的ですが、100~400語になるものもあります。その場合、記載される内容はより詳細になり、書き方も変わってきます。例えば、長いプロフィールには、以下のような情報を含めることができます。

• 取得学位
• 具体的な研究プロジェクトの内容
• 受賞歴・表彰歴など
• 発表済みの論文情報
• 個人的関心事
• 趣味
• 経歴・背景

長いプロフィールは、個人のウェブサイトや仕事の応募書類の一部として使うことができますが、カンファレンスやセミナーでは一般的に短いプロフィールが使われます。

読者に合わせて調整する

プロフィールは、限られた字数で簡潔に書く必要がありますが、読者・聴衆に向けて調整することはできます。以下の3つの点に留意してください。

  • 読者・聴衆:プロフィールを誰に向けて書くのか、誰が読むのか?カンファレンスの出席者なのか、研究資金の出資者が読むのかで書き方を変える必要があります。
  • 掲載される状況:プロフィールが掲載されるのはジャーナルか、カンファレンスのプロシーディング(講演要旨集)か、大学や企業のウェブサイトなのか、あるいは専門分野の学会などの会合で共有されるものなのかによって考慮する必要があります。同僚の書いたプロフィールを読んで参考にしてみましょう。
  • 目的:同じ分野の研究者に向けての書くのか、顧客や研究費の出資者に向けて書くのか、プロフィールの提出を求められている理由を踏まえて書きます。

主にこの3点を踏まえ、読み手に最も適した情報を選んでプロフィールを作成するようにします。また、この3点は、論調(トーン)やスタイルを調整する際にも役立つでしょう。

プロフィール作成でやってはならないこと

自分自身についてはあまり書けないので、以下の点に注意して、簡潔に関連する情報にしぼりこみ、しっかりと伝えたいことをまとめましょう。

  • ユーモアは不要:短いプロフィールにユーモア(冗談)を入れ込む余裕はありませんし、長いプロフィールであっても注意が必要です。自分のウェブサイトに掲載するプロフィールであれば、経歴とは別にユーモラスな話を入れても構いません。
  • 個人的な情報は避ける:特にカンファレンスに提出するプロフィールでは重要です。第一印象は大切ですし、カンファレンス出席者には、自分の業績を覚えておいてもらいたいものです。個人的な情報は書かず、研究者としての業績や研究について書きましょう。
  • 情報を入れすぎない:現在の身分(地位)、研究内容、または雇用状況に関する情報を記載します。自分の過去の情報は不要です。

全体としては、ある程度フォーマルな書き方をするように心がけましょう。

プロフィールの提出を求められたとして、何を書くか考えてみてください。複数の大学で学び、多くの調査研究を行ってきたとしても、限られた字数の中にすべてを書くことはできません。素晴らしい経歴を持っていたとしてもプロフィールの読み手に対して期待しているほどの印象を与えられないかもしれませんし、多数書きすぎて強調したい経歴がぼやけてしまう可能性もあります。どの情報を残すべきか取捨選択し、簡潔ながらより強い印象を残せるプロフィールを作成してください。

ウェブには、プロフィールの書き方に関する情報も多数掲載されているので、そうしたものも参考にしてみてください。
HOW TO WRITE A PROFESSIONAL BIO (外部リンク
What To Do When You Need A Bio, Rather Than A Résumé(外部リンク

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