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Wiley:不確実な学術出版の未来を見据えて

今回、紹介するのは世界有数の学術出版社ワイリー(Wiley)の識者によるゲスト投稿です。ワイリーは、科学、医学、技術、物理学、社会科学、さらに人文科学まで広範な分野にわたり出版活動を展開しています。オンライン投稿・査読システムも取り入れながら、学術研究関係者を対象とした各種ソリューション、役立つ情報、教育マテリアル、などさまざまなサービスを提供しています。本記事では、学術出版業界で今まさに起こっていることと、今後の展望についてご紹介いただきました。

創造力の小さなひらめきこそが人生に何かをもたらすのである!常に未来を予想しておくことはできませんが、2つのことは分かっています。1つ目は、未来に到達するためには何かが必要であること。2つ目は、私たち(ワイリー)は研究コミュニティに遅れずに共に未来に向かって歩んでいきたいと思っていることです。この考えを実現するため、ワイリーは引き続き研究者の声に耳を傾け、試行錯誤し、新たな可能性を受け入れていきます。新しいことにチャレンジすることを恐れず、私たちのプラットフォームに積極的に新機能を追加し、研究者が学術出版をやりやすくするための新しいスタイルの関係性を構築しようとしています。実際に新しい試みを始めるのに最善の方法は、研究のプロセス同様に、質問し、仮説を立て、そして実験を行うことです。

未来の学術出版は論文公開の新しい形となっていくのか

現状では、インターネットの機能をフル活用しても、研究論文はPDFの形で公開されています。この点は、1900年代からあまり変わっていません。この公開形式、近い将来変わっていくのか、あるいは変わらざるを得ないのか?これは、私たちが可能性を探るために避けられない問いかけです。研究を行うこと自体は動的で多次元的ですが、その結果を論文として公開することは静的な作業です。論文が出版され、読者に届くことによって活気づくことは、とてもワクワクすることです。

どうやって論文を出版するか?そこは私たちにお任せください。ワイリーはいろいろな試みを行い、それらが受け入れられるかの分析を行っています。化学系の学術雑誌(ジャーナル)で試したことをに挙げてみましょう。この論文掲載の中は、研究成果(文章)とともに読者が画面上で操作できるグラフィック(動画)を埋め込んであります。これにより、読者はログインしてデータを処理し、自分なりの結論を導き出し、著者に質問することができるようになりました。このような試みは、公開された論文との関わり方を変える可能性を有しています。さらに、研究プロセスの深みと広がりを論文の評価につなげることに一歩近づけることができたかもしれません。

世界と研究を共有するための新しいパートナーはどこで見つかるのか

論文の公開方法をどう変えるのか模索することは、とても刺激的です。しかし、一方で私たちは、できるだけ多くの人が研究成果にアクセスし、利用し続けられる状態になっていることを確認したいと思っています。そのためには、発表された研究論文のインパクトを最大化するための新たな戦略の開発が必要です。学術出版で広がっているオープンアクセスに関連する話題を扱う「オープンアクセスウィーク(Open Access Week)」という学術情報流通イベントが年1回開催されています。このイベントは2020年に10周年を迎えました。

私たちにできることはまだまだあります。公開論文への公平なアクセスを確保し、一層ダイナミックに将来を見据え、オープンデータ化およびその方法などを考えるのは長い道のりです。この10年間に私たちが学んだことは、将来の可能性を信じ、私たち同様に新たな試みに挑戦するパートナーを探し続けることの必要性です。政府、大学、民間資金提供者、そして出版社は、論文開示の可能性の実現に向けて協力していかなければなりません。合わせて、意識を高めること、なぜ拡大し続けている研究コミュニティに開示性が必要なのかをすべての研究者が正しく認識しているのを確認することにも留意しておく必要があります。

研究コミュニティが協力的でありつつ多様性を保つにはどうすべきか

すべての人たちが関わることなく学術研究や学術出版の未来について考えることはできません。特に2020年、私たちはCOVID-19の研究において協力することの影響の大きさを目の当たりにしてきました。研究者は強いです。世界中から集まって研究を共有することで問題を解決し、新たな高みに到達してきました。そして、社会の流れから取り残された研究者や忘れられた読者や聴衆のために扉を開いたのです。

研究業界内にどんな人でも受け入れるコミュニティを構築することは、私たち全員に関わることです。一体性を促進し、公平性を支える報償金と奨励金のシステムを変えることは容易ではありません。私たちは、科学コミュニティのポッドキャスト「This Study Shows」でこの話題を取り上げました。さらに、ワイリーは研究論文や書籍のコンテンツ(章)を自由に入手できるように集約したRISE(Research in Support of Equity)を公開しています。RISEが質疑応答などを活発化させることを願っています。そしてRISEは、新しい視点で研究に対する理解を深め、社会的な公平性に関与し続けていくことでしょう。

私たちは、研究コミュニティのための未来がどのようなものであるべきか、あなたの研究生活をより良いものにするにはどうしたらよいのかを共に考えていきたいと思っています。是非あなたの考えをSNSで私たちに届けたり、ワイリーネットワーク(Wiley Network)に掲載している私たちのコンテンツを読んでコメントしたり、あるいはポッドキャストを聴いたフィードバックを共有したりしてみてください。私たちは皆さんの声を聞き、対話し、そして対策に取り組む準備ができています。

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