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第7回 学会発表に向け、自分の言葉にするために練習する

学会 発表に向け、スピーチの練習なんて野暮だと思っていませんか?そんなことはありません。プレゼンテーションの達人と言われる人々の多くが、しっかりと練習をして本番に臨んでいます。英語プレゼンならではの練習のポイントを紹介します。

    1. 原稿作成は必要か?

母国語でない英語でのスピーチにおいては一度原稿を書くのが無難です。文字量には個人差がありますが、慣れないうちは1分100ワードを目安に増減します。心がけるのは関係代名詞を多用しないシンプルな短文で書くことです。そして、ネイティブスピーカーにチェックを依頼し、ゆっくり音読してもらって録音をしましょう。学術英語は発音の難しい専門用語を多く含むので、研究分野に明るい人にお願いしたいところです。先の記事で指摘したように、英語はアクセントの位置が非常に重要ですので、録音を聞きながら原稿にアクセント記号を記入して、練習に役立てます。

    1. 「つなぎ」が肝心

原稿を作成する際には、「つなぎ(transition)」の言葉もしっかり作り込みます。聴衆の注意をそらさないでストーリーを語るためには、スライドとスライドの間を言葉でしっかりとつなぐことが非常に重要です。下記に例をお示しします。

悪いつなぎ:
“… The difference was significant in the experiment A.”
→(スライド転換)
“This is the results of the experiment B.”

良いつなぎ:
“… The difference was significant in the experiment A. However, when we have looked at the △△△ in the next experiment,”
→(ここでスライド転換)
“As you see, in the experiment B, …”

このように良いつなぎとは、次の展開への心構えを促すものです。つなぎが良ければ聞き手はゆりかごに乗せられたように話についてくることができます。

    1. スマートフォンをフル活用する

音読練習を行う際には、パソコンとスマートフォンを用意しましょう。ストップウォッチ機能を用いて、PowerPointのスライドをめくりながら、声に出して最初から最後まで通しで読み上げます。時間内に話せるスピードで暗記したら、そこからが本番です!

できれば立って、PowerPointを操作しながら本番さながらに自然に話します。ときには録音して、どんなふうに聞こえているかチェックします。ネイティブスピーカーによる録音があれば、アクセントの位置や発音のチェックもします。何十回も練習して、自分のことばとして自然に話せるようになるまで繰り返します。とくにオープニングは緊張すると忘れることがあるので、口をついて出てくるようになるまで何度も練習します。

また、あらゆる機会をとらえて人前で練習します。ネイティブスピーカーにも聞いてもらい、質問もしてもらえばよいリハーサルになります。


キャラクター紹介:久里 夢存(Muzon Kuri)
日本の大学で材料工学を学び地元企業に就職するも、“独立型・移動式住居”開発の夢をあきらめきれず、再び大学でエネルギー工学を専攻。工学、生物学、建築学など多分野の研究者からなるプロジェクトチームに所属し、エネルギー自給型インフラストラクチャーフリー移動式住居[Self-Sufficient Camper(S.S.Camper)]を開発中。この度、国際住環境学会(“架空”)において同住宅の自然災害時における有用性について口頭発表することに・・。口演タイトルは、“Energy self-sufficient, infrastructure-free mobile house called Self-Sufficient Camper (S.S.Camper) provides both remote and on-site sheltering at times of natural disaster.”

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