間違いやすい用語や表現 -the one 

代名詞「one」は日本人学者の論文で過度に使用されると思われます。熟語「the one」における誤用は特によく見受けられます。

「the one」が表現として誤っているとは言えませんが、学術論では一般に(「one」が代名詞となっている)「the one」よりは「that」の方が適切です。私が今まで読んできた学術論文では、ほぼ例外なく「the one」(「the ones」)はそのまま「that」(「those」)に置き換えるべきものでした。

以下は典型的です。

[誤] (1) This method is similar to the one studied in Ref. [2].
[正] (1’) This method is similar to that studied in Ref. [2].

[誤] (2) These solutions are then compared with the ones derived above.
[正] (2’) These solutions are then compared with those derived above.

[誤] (3) The proof of Theorem 3 is similar to the one that we presented in Section 2 for the case of a strictly convex function.
[正] (3’) The proof of Theorem 3 is similar to that which we presented in Section 2 for the case of a strictly convex function.

「the one」の誤用に関する実用的な対策への提案は以下になります。
論文が書き終わったら、最終チェックとして「the one(s)」を検索し、「one(s)」が代名詞となっていることを確認したら、「the one(s)」を「that」(「those」)に置き換える、という単純な作業で十分です。(なお、(3)が例示するように、「that」が「the one(s)」の直後にくる場合には、それを「which」にすべきです。)

 


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グレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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