文献レビューのコツ

序論・考察に文献レビューを書き込むときの注意

特定の分野の特定のテーマ(主題)に関して過去に行われた研究を網羅的にまとめたものは、 文献レビュー(literature revies) と呼ばれます。文献レビューでは、焦点を絞ることが重要なので、研究テーマとの関連の薄い論文を幅広く集めるより、そのテーマに関連する論文を中心に厳選すべきです。この記事では、文献レビューの特徴と、序論・考察に文献レビューを書くときの注意を紹介します。 まず、文献レビューは、次のような点で役立ちます。 • 過去に行われた研究を評価する 特定のテーマに関連する文献を集めることで、過去にどのような研究が行われたかを理解し、重複した研究を行うのを避けることができます。 • その分野・テーマの専門家を知る 研究で行き詰まってしまった場合に助言を求められるように、その分野の知識があり信頼できる研究者を知っておくことは重要です。 • 鍵となる課題を明らかにする 文献レビューを行うことの最終的な目標は、何か新しいものを議論の俎上にのせることです。文献を集めると、取り組むべき重要な課題を見定めるのに役立ちます。 •…

レビュー論文(文献レビュー)の目的と書き方

レビュー論文(文献レビュー、総説論文)は、様々な研究成果の概要を一度に知ることのできる貴重なツールです。レビュー論文とは、特定のテーマに関する研究論文などの著作物の概要や評価をまとめて記述するもので、優れたレビュー論文は、該当分野の研究についての偏りのない情報や、有効な研究結果と無効な研究結果を理由とともに提示することで学術研究に貢献しています。また、研究資金を助成する機関では、さらなる研究が必要かどうかを判断するためにレビュー論文を利用する傾向があります。レビュー論文で重視するのは、研究の目的が達成されたか、さらにその結果がどのように伝えられたかです。 レビューの目的は、「選択したテーマに関する過去の研究を収集、統合し、最新の既存の知識体系に新たな知見を蓄積させ、統合することを促進する」ことです。端的に言えば、過去に行われた研究結果を集めて再検討・評価することで概観をまとめることです。重要なのは結果を明確かつ正確に提示することであり、優れた文章であるだけでなく、厳格なルールに従ったものでなければなりません。 1996年、科学者、臨床医、統計学者の国際研究グループが参加した会議で、ランダム化比較試験のメタ分析(メタアナリシス)に焦点を当てたQUOROM(Quality of Reporting of Meta-analyses:メタアナリシス報告の質)声明が作成されました。この声明は、チェックリストとフローチャートから構成され、研究者たちが必要な基準に従った分かりやすいレビューを行うために利用されてきました。その後の継続的な検討を経て、2009年に新しいPRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)声明が発表されました。この声明には文献検索の方法から内容の統合、要約プロセスまで詳細が示されており、システマティックレビューおよびメタ分析の国際的規範とされています。 https://youtu.be/Mp_bddA4LRo…

科学的な文献レビュー(Literature Review)の書き方

昨今、論文の文献レビュー(Literature Review)の需要が高まっています。文献レビューとは、論文のテーマに関連する先行研究や関連する資料や文献の要約、分析を含めた見解を記したもので、特に学生や研究者が研究提案書を作成する際などに参考となります。情報を探し出すこと自体はそれほど難しくないのですが、膨大な論文を識別するにあたって、どの論文あるいは出版物が参考文献として十分な質を有しているか見極めることが最大の課題です。文献レビューは、特定分野におけるその時点での知識に絞り込み、最新の出版物の強みと弱みを調べるのに有用なのです。文献レビューは、研究を始めようとする人に限らず、新しい出版物に興味を持っているすべての人にとって価値ある情報ツールと言えるでしょう。逆を言えば、明快な構成で専門家らしい書き方をされていない文献レビューは有用な情報源とはなり得ません。科学的な文献レビューを書く場合、作業方法が良くないと執筆に要する作業が圧倒的に増えてしまうので、作業を始める前によく考えておく必要があります。 文献レビューを書くための3ステップ 文献レビューを書くには、関連する学術コンテンツや執筆物を調査することが不可欠とはいえ、明確な目的を定めずに書き出してしまうというミスに陥る人をよく見かけます。時として、状況を検討し、作業の進め方を決めることはとても重要で、最終的な結果を書くのに要するのと同じぐらいの時間がかかることもあります。文献レビューを書くためには3つのステップで進めましょう。 目的と構成を決める まず、目的と分野の絞り込みについて考えます。特定のテーマ(題材)を選択しない場合は、広範囲のテーマとそれらに関連する多くの出版物を取り上げることもできます。ただし、研究者は通常、非常に特化した研究分野について論じているということを頭に入れておいてください。 文献の調査・分析をする 次は、さまざまなデータベースを使って調査し、適切な出版物を絞り込み、その文献の批評をします。遡ったとしても3年前までに書かれた出版物を調べましょう。先行研究を網羅的に読みつつ、次のステップに役立つように、文献ごとに記録し、要約を作成しておきます。 文献レビューを書き始める どうやって文献レビューを書き始めるか――よい文献レビューを書くには、書き始める際に過去に書かれた文献レビューがどのように書かれているかを参考にすると良いでしょう。研究者たちの文献レビューを書くための情報交換チャットなどを見てみるのも一案です。準備が整ったら、全体がバラバラにならないように、論理的に書き進めます。どのようなことを結論として書き表したいのか、目的を見失わないように気をつけましょう。文献レビューを書くための注意点を挙げておきます。 綿密な文献調査を行ったか 研究課題は明確になっているか 文献レビューに通常書かれている、タイトル、アブストラクト(要約)、インデックス(索引)、イントロダクション(序論)、コーパス(集積された資料)、文献目録、さらに必要に応じて付属書類などが書き込まれているか 研究方法、分析、該当研究に利用された機器などの書き忘れはないか 引用は正確か、バイアスは抑えられているか、該当研究の強みと弱みは要約されているか…

文献レビューを書く時に重要な10のポイント

*本記事は、2018年5月に掲載された「文献レビューを書く時に重要な10のポイント」の内容を更新してお届けするものです。 文献レビューとは、特定のテーマに関する研究論文などの著作物の概要や評価をまとめて記述するものです。論文の一形式として知られており、いかなる分野の学術研究においても、研究者が特定の研究テーマに関する先行研究の論文を把握したり、研究分野に関する知識を収集したりするのに役立つものです。 文献レビューは、それ自体で単独の論文として公表することも可能です。序論、方法、本論、考察と結論、最後に引用(参考)文献リスト(Reference)といった章立てで構成され、ほぼ論文と同じ要素を盛り込む必要がありますが、よりよい文献レビューを書くには、構成の他にも留意すべき点がいくつかあります。該当分野の研究を広く網羅しつつ、執筆者の独創性(オリジナリティ)があり、かつ、わかりやすく書かれた文章であることが求められるのです。 ここでは、研究者が文献レビューを論文形式で書くときに押さえておくべき重要な10のポイントを紹介します。 1. 対象テーマの学術論文の調査を行い、先行研究を広く網羅する。 文献レビューは特定の分野における文献を評価するものです。対象とするテーマについての研究の進展状況を把握したり、先行研究の傾向と内容をつかみ問題を解決する、あるいは、まだ解決していない問題、明らかになっていないことなどを指摘したりするため、先行研究を広く網羅しておく必要があります。 近年は分野を跨いだ研究も活発化していることら、直接的に関係しないように見える他分野に対象テーマに関連する文献が潜んでいる可能性もありますので、範囲を限定せずに広く網羅することも大切です。 2. 参考文献管理ツール(Mendeley Desktopなど)を用いて出版済み論文の調査時間を節減する。 対象とする研究テーマに関する先行研究を徹底的に調べて分析することが必要です。先行研究を探す際には、Mendeley Reference Manager for…

文献解題 (annotated bibliographies) という名の家宝

「文献解題」とは、基本的には、通常の参考文献一覧に、その文献のまとめと自分の評価を加えたもののことを意味します。とくに決まった書式があるというわけではありません。効果的に数々の研究を出版し続けていくためには、使い回しができる文献解題の作成が必須になってきます。 アメリカの大学院では、「文献解題」の作成方法を教えられます。そのためアメリカで勉強したことがある人のなかには、その後も、ほかの研究者の論文を読みながら文献解題をつくる習慣がある人もいます。こうしてどんどん増えていく文献解題は、新しい研究をするときの足がかりになったり、いろいろな論文で再利用されたりしながらその熟成度を高めてきました。研究者にとって、このような文献解題は「家宝」です。 出版年や出版元の書き方は、一般的に「APA」や「MLA」、「Chicago」、「Turabian」などのスタイルがよく使われますが、書き方は一貫性さえあれば、どのようなスタイルを使ってもあまり問題はありません。 ただしAPA式で書くと、著者のファーストネームをイニシャルだけ書くことになり(たとえば、「Jones, A」と)、投稿するジャーナルが参照文献の著者名をフルネームで書くように要求した場合、著者名を調べ直さなくてはいけなくなりますのでご注意ください。このような場合を考慮して、念のためにISBNなどの書籍番号を控えておくと、あとで確認したいことが出てきた場合、即座に対応できます。 文献の要約としては、論文の研究領域、論旨、研究方法、結果とまんべんなくカバーすると、将来ほかの論文を書くときにも役に立ちます。また、新しい専門用語が定義されていたら、そのページ番号と行番号を書き留めておくか、定義を書き写しておくとよいでしょう。引用したくなるような文がどこにあるかを書いておくのも便利です。 最後に、論文の見解に何か偏りがないか、どのような点が興味深いと思ったかなど、自分の意見を書き加えていきます。このさい、自分がどこを読んでいてそう思ったのかがわかるようにしておけば、将来、新しい研究をする際にも参照しやすいでしょう。

科学論文における文献レビューの書き方

現在、研究者が研究のプロポーザルを行う際に、科学論文の文献レビューの需要が高まりを見せています。近年、情報収集が容易になった反面、質の良い論文や出版物を見分けることが非常に難しくなってきています。文献レビューは、専門分野の情報を整理し、最新の論文の善し悪しを検証するために非常に有用なツールです。これから研究に着手する人たちだけでなく、最近の出版物に興味がある人にとっても役立つものと言えます。 文献レビューは、明確な構成で書かれなければなりません。また、作業量が膨大なものとなってしまう可能性があるため、執筆を始める前にレビューの執筆にかかる作業量を考慮しなければなりません。 科学論文における文献レビューの書き方ガイド 1.ゴールと構成の設定 ターゲットを定め、必要なトピックに集中しましょう。最近の興味深い研究が取り上げているトピックは何か、研究者が興味を抱いていることは何か……など。トピックが定まっていないと、膨大な分野と文献をあたらなければなりません。専門分野を絞って研究に取り組むことが肝要です。 2.研究 批評家の眼で、ふさわしいジャーナルを選定しましょう。最長でも3年以内に書かれた論文を出版できるよう、投稿の日程を考慮し研究を進めるのが賢明です。研究と情報整理のため、PapersやEndnoteなどのソフトウェアを使用すれば、大量のコンテンツを整理するために役立ちます。ノートを取り、論文ごとにコンテンツをまとめていくことで、次のステップでの作業がスムーズになります。 3.執筆開始 他の文献レビューを参考にし、自分のレビューをどのように執筆するか決定します。ゴールと構成が固まれば、執筆をスタート。執筆時にはターゲットを常に意識し、忘れないようにしましょう。 執筆時に気をつけるべき点: 構成を決定:通常、科学分野の文献レビューは、タイトル、アブストラクト、インデックス、序論、集成資料、文献目録、付録(必要であれば)で構成されます。 研究技法・方法、分析、実験器具等に必ず触れましょう。 事例掲載:文献レビューの事例を挿入することで、論旨を明確にしましょう。 研究者としての経験は、研究のプロポーザルを書く際や膨大な学術文献の中から必要な情報を探し出す際に非常に重要なものとなります。それらはレビュー執筆に大いに役立つということを常に意識してください。さらに学術・科学分野の研究に対して常にアンテナを張りめぐらし、門戸を開けておくことも心に留めておいていただきたい重要なポイントです。