研究をPRする

動画を使って研究を広めよう

研究者が自分のアイデアを広めるためには広報(PR)が重要です。それには、いろいろな方法があります。学術関係者によく読まれている学術誌に研究論文を発表すれば、成果に関する議論を通じて研究者の考えが広まり、新しい研究にもつながるでしょう。別な方法として、ブログも使えます。これは自分の研究や関連するテーマに関心を持つ人々が意見を交わす場となりえるので、自分の研究を知ってもらう効果があります。また大学に属する研究者であれば、授業、セミナー、発表会、その他の諸活動を通じて、自分の研究を人に伝えることができます。 しかし、これらの従来の方法とは異なる方法を利用する研究者がめだって増えています。それはインターネット上に動画を公開して研究を広めることです。 https://www.youtube.com/watch?v=50_45b-5S3U&list=PLSEcBUIQgVpvU0tvcfUWdn1vv1JhwmHNI&index=30   動画の強み 他の人たちに自分の研究成果に触れてもらうのがとても難しいことを、研究者はよく知っています。ノース・カロライナ自然史博物館の昆虫学者であるAdrian A. Smithは「自分の論文の読者の多くは、専門用語と記述スタイルに馴染めずにいる」として、研究成果を専門家以外にも広めて研究の意義を社会に知ってもらうために「研究成果をYouTubeで紹介しよう」と提唱しています。 2015年にSmith氏は同僚研究者と共同で、蟻が分泌する化学物質の個体間の情報伝達機能と性行動様式に関する研究の論文をまとめました。その要点を一般の人にも分かりやすく伝えるため、一般的な読者の代表として、研究論文など読んだこともなければ専門用語もまったく分からない自分の母親に研究内容を説明する動画を作成しました。そして、この動画を論文の記者発表に合わせて個人のYouTubeに公開し、プレスリリースにURLを書き込んでおきました。すると、ワシントン・ポストをはじめとした数紙の一般紙で研究が紹介され、さらには各紙のオンライン版やナショナル・ジオグラフィック・ニュースなどでもオンライン動画として公開された結果で、より多くの人に視聴される結果となりました。 動画の主な強みをまとめると次の通りです ■広範な人たちに知ってもらえる SNSなどインターネット上で動画を公開することで、世界中の人々が直接アクセスすることができます。研究者同士の意見交換や研究協力にもつながることもあるでしょう。 ■親しみを感じてもらえる 動画は、教室で先生が学生に語りかけるのと同じように、研究者が視聴者に直接語りかけているように説明することができます。そのため、論文を読むより親しみを感じてもらえます。また、文章(論文)では伝えにくい自分の考えも、動画ではあますことなく伝えられるでしょう。 ■発表した論文の広報(PR)になる…

優れた科学コミュニケーターになって研究を広めよう

科学とは無縁の友人に、自分の科学研究について話をしてみたことがありますか?どれほど科学的な概念が重要で、動かぬ証拠に基づいているか、そして、いかに多くの人たちに認識されていないかに気づいて驚くことでしょう。COVID-19のパンデミックは、科学が人々の生活に及ぼす効力と影響を過小評価すべきではないとの教訓となりました。自分で科学的発見について理解すると同時に、周囲の人にも理解してもらうことの必要性はますます高まっています。 この記事では、驚くべき科学の謎を理解したいと心から願っている科学とは縁のない人たちに、科学研究を説明することの大切さと、科学コミュニケーターとして科学を説明する際に注意すべきポイントをまとめてみました。 なぜ科学に縁のない人たちに科学を説明する必要があるのか 今日、科学研究の成果は、科学分野の学術雑誌(ジャーナル)を介して世の中に伝えられています。科学分野で評価の高い学術ジャーナルは、専門用語で複雑に書かれているため、その分野の専門家だけしか理解出来ないと言われていますが、科学における発見や発明は、科学研究者だけのものではありません。最終体に、科学研究の成果は、科学者かどうかに関わらず、直接的あるいは間接的にあまねく人に影響を及ぼすものです。 科学および科学的発見を理解することはきわめて重要なので、科学的な研究論文や発見には説明が必要です。さらに、研究目的と広く世界の人に及ぼす影響をより深く理解してもらうためには、研究論文の構成要素の考察と結論という2つが鍵となります。研究成果を科学者以外にも届けるために、科学を万人にも分りやすいように説明する努力が求められています。 科学コミュニケーターとその役割 科学コミュニケーター(もしくはサイエンスコミュニケーター)とは、科学研究に関する知識を持ち、わかりやすく簡潔な方法で科学的知識を広めることを目的とした活動を行う人のことで、科学の普及において重要な役割を担っています。科学コミュニケーターは、科学に関する知識と効果的なコミュニケーションスキルを使い、科学とは縁遠い人たちの科学的理解の溝を埋め、研究成果や発見を理解する手助けをします。 科学をわかりやすく伝えるということは、研究者にとって、非常に優れた演説をしたり、教員を補佐(ティーチングアシスタント)したり、研究論文・学位論文を執筆したり、複数の実験を管理したり、結果を分析したり、革新的な研究成果の結論づけを行ったりするのと同様に、途方もない作業であるかのように思えるかもしれません。しかし、特定のポイントを抑えた説明の仕方をすれば、科学研究を簡潔にし、科学コミュニケーターとして自らの研究業績を世界に広めるのを促すことができます。 出典: 英国王立化学会 科学コミュニケーションによる恩恵 研究者が評価の高い学術ジャーナルに論文を発表すれば、その特定の研究分野の研究者の目には触れるようになりますが、研究が目指す最終ゴールではありません。この研究の重要性や研究全体における持続可能性にどう影響するかを、科学者以外の人にも説明する必要があります。 科学コミュニケーションがどのように研究者に役立つかを書き出してみます。 より幅広い人々とその研究を共有できる 研究者の世界的な存在感を高める…

研究活動におけるソーシャルメディアの活用

LinkedIn、ResearchGate、Twitter、Facebook、Mendeley、YouTubeなどのソーシャルメディアは、自分の研究を多くの人々に知ってもらい、情報を拡散する上で恰好のツールです。と同時に、自分の専門分野の最新情報の収集や、仲間の研究者たちとの連絡、さまざまなテーマについての意見交換にも役立ちます。 自分の研究に注目してもらい、研究者コミュニティと交流する上でソーシャルメディアが素晴らしいツールであることを多くの研究者は知っています。しかし、ソーシャルメディアを最大限に活用するには、ちょっとしたコツが必要です。 継続は力なり、でも・・・ 研究者たちがソーシャルメディアの活用で苦労することの一つは、効果的なネットワーク構築に時間と労力を要することです。FacebookやTwitter、YouTubeなどを使って人々と交流するには、文章を読み書きする、動画やスライドを作成する、写真を撮る、プラットフォームにファイルをアップロードするなどの作業が必要になります。そして、ネットワークを作り、人々の関心を維持するには、そうした作業を継続することが必要です。ツイートや投稿をほとんどせず、プロフィールの更新も怠っていたのでは、フォロワー数は増えません。継続的に更新できないアカウントは、むしろない方がマシという場合もあります。ですから、まずソーシャルメディアに手を出す前に、それに費やすだけの時間があるかを自分自身に問いかけるべきでしょう。 適切なプラットフォームを選ぶ ソーシャルメディア・プラットフォームを全て利用する必要はありません。自分の研究分野や実績、費やせる時間などにより、適しているメディアが絞り込めるはずです。「どのプラットフォームが自分にとって最適なのか?」を考えて見て下さい。 時間が限られているのであれば、LinkedInでターゲットを絞ったプロフィールを作成し、時折更新していくのが良いかもしれません。頻繁に投稿しなくても自分の研究を紹介できるプラットフォームとしては、ResearchGate、Mendeleyなどが挙げられます。これらのプラットフォームでは、最新の出版物や更新情報をプロフィールに追加していくだけでも十分です。一方、LinkedInをはじめとする多くのプラットフォームは、リンクや写真、記事を投稿したり、同僚の投稿にコメントをつけたりできる機能を使って、コミュニケーションや交流を図ることが可能です。また、研究者を識別するためのIDであるORCID(Open Researcher and Contributor ID)には、世界中の研究者の基本情報と共に論文も登録することができるので、こうしたツールの利用も検討してみることをお勧めします。 Twitter、Facebook、YouTubeなどの活用には、より多くの時間がかかります。閲覧者の関心を集めるためには、定期的にコンテンツ(文章、動画、スライド)を作成し、あまり間隔を空けずに投稿しなければなりません。これらのメディアで安定したネットワークを構築するには時間とエネルギーが必要となるため「始めるかどうか」、「始めるならばいつ始めるか」など、慎重に検討すべきです。プラットフォームを決める前に、同じ分野の研究者たちが、そのプラットフォームで活動しているかを確認することも重要です。以下に挙げる主なソーシャルメディアとその特徴も参考に自分にとってベストなものを見つけてください。 Twitter:ツイッターでは、最新の研究成果、自身のブログ記事、学会発表などについてつぶやくことができます。ツイート内に、自分の論文へのリンクを入れ込むこともできます。 LinkedIn:ビジネス特化型のプラットフォームで、研究や論文についての最新情報を特定のグループ内で共有したり、一般向けに公開したりすることができます。また、自分のブログや記事、ウェブサイトなどへのリンクも掲載できます。 LinkedIn:ビジネス特化型のプラットフォームで、研究や論文についての最新情報を特定のグループ内で共有したり、一般向けに公開したりすることができます。また、自分のブログや記事、ウェブサイトなどへのリンクも掲載できます。…

研究ブログを始めてみよう!

すっかり世の中に定着した感のある「 ブログ 」。ブログとは、「ウェブログ(Weblog)」の略称で、ウェブに記録をストックするというものでしたが、近年は個人の情報発信コンテンツとして普及しているようです。SNSと同様に、写真や動画も投稿できますが、「フロー型メディア(情報が流れていく媒体)」であるSNSとは異なり、ブログは投稿した情報がいつまでもストック(蓄積)できる「ストック型メディア」であることがメリットでしょう。研究者には、読者としても投稿者としてもブログを活用することをお勧めします。 科学ニュースを発信するブログ、学術関係者向けのブログ、研究ブログ、さらに教育ブログまで、その種類や内容はまちまちですが、これらのブログに共通して言えることは、どれも科学研究に関する情報を共有し、時にそれを論ずる場となっている、ということ。今回は、研究ブログを閲覧するだけではなく、実際にブログを作成することが研究キャリアにとってどのようなメリットがあるか、どうやって始めればよいのか、についてご紹介します。 ■ 研究ブログの作成とそのメリット 忙しい研究者の皆さんのなかには、そもそもブログを書く時間が持てるのかどうか不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしブログ作成を通して得られる効果を考えると時間をやりくりしてでも挑戦してみる価値はありそうです。 ブログに何を書くか 研究ブログでは、自分の研究の内容や査読の終わった論文について論ずることも、疑問点について話題にすることも可能です。新しい研究の紹介をしたり、既成概念に一石を投じたり、解決済みとされるテーマを見直したり、難しい話をわかりやすく説明したり、特に決まりはありません。研究者として特定の分野に深い造詣を持っているという大きな強みを活かして書いてみてください。実際の実験室での経験や、実験内容への理解は、研究論文の強みや弱みについて考察し、課題について論じる際に大いに役立つはずです。 ブログ作成で得られるメリット ブログが研究キャリアにどのようなメリットがあるか――考えられるのは以下です。 • 記事の執筆を通して文章力を向上させることができる • 研究内容および研究者自身を広めるのに役立つ • 社会および研究室の学生に知識を広めるのに役立つ • 専門分野における人脈形成に役立つ。 • ブログが共同研究のきっかけとなることもある。…

研究と出版に eラーニング を役立てよう

博士課程に入ると、たくさんの新しい課題に直面します。博士課程のコースは難しい上に、研究や論文執筆も進めなければなりません。学術論文の執筆と出版には、書く技術、学術的な文章を書く能力、首尾よく論文を発表するノウハウが必要ですが、博士課程以前にはこの技能を磨く機会があまりありませんでした。研究の指導にあたる教授や教官から学ぶこともできますが、さらに深く学ぶために、自分で独自の取組をすることも考えてみてはいかがでしょうか。eラーニングを活用することも一つの方法です。 eラーニングとは eラーニングとは、インターネットを利用する学習形態ですが、今では、さまざまな教材やコンテンツが揃っています。通常は、LMS(Leaning Management System)という学習管理システムを使い、テキスト、画像やビデオなどの教材を配信します。LMSは受講者に学習しやすい環境を提供することを主目的としたシステムであり、ウェビナー(webinar)とも呼ばれるウェブセミナーの開催や、指導者と学習者の相互コミュニケーションの提供も可能にします。 eラーニングは、1990年代のパソコンとインターネットの普及に従って発展してきました。この頃に学校がインターネットを利用した通信教育を始め、当時は「遠隔教育」とも呼ばれ、広範な地域の幅広い層に学習機会を提供したのです。eラーニングという言葉が広まったのは2000年代になってからですが、教材やプログラムをもネット上で管理できるようになると、誰もがいつでもどこでも学習することができるようになりました。そして、さらなる技術の発展により、双方向学習やメール、チャットなどを使った双方向のコミュニケーションも可能となりました。今では、ライブ授業の配信など多様な学習機会がインターネット上で提供されています。 eラーニングの長所・短所 一番の長所は、時間の自由度が大きいことです。誰もが何時でも都合の良い時に学ぶことができるのです。日々、仕事に忙殺されている人にとっては、スキマ時間などに学習できることは、とてもありがたいことでしょう。また、eラーニングは何回でもアクセスできるので、重要な点を何度も履修しなおすことができます。時間が指定された授業だと、出られないことや、その分の振替を調整することなどがストレスになったりしますが、eラーニングであればそんなことはありません。好きな時間に簡単に、必要なコースを受講することができるため、学習時間を従来の通学型の授業に比べて25-60%に短縮できるとの説もあります。 一方、eラーニングには短所もあります。eラーニングをより効果的に活用するためにはこれらの短所も把握しておく必要があります。一つは、理論の学習と実際的な技術の習得は異なるため、eラーニングが実技を伴う内容の学習には適さない場合があることです。eラーニングで学んだ知識や技術を、実際に使おうとした場合、ある程度の困難が伴うことが予想されます。もう一つは、eラーニングは一人で受講するため、指導者や他の学習者と顔を合わせて学ぶ従来型学習のような社会的・人的ネットワークを構築することができません。これらは、知識それ自体より大事な場合もあるとはいえ、eラーニングでは難しいのが現実です。また、単独で学習する受講者が学習意欲(モチベーション)を維持するのが難しいという点も挙げられます。幸い、SNSやビデオ付きチャットなどのコミュニケーションツールが普及しているので、こうした交流手段をうまく活用することにより、eラーニングの弱点を補うことを意識すると良いでしょう。 論文発表の手順もeラーニングで学習 博士課程の大学院生にとって論文の発表が大事なことは改めて言うまでもありませんが、発表までの実際的な手順についてわからないこともあるでしょう。そのようなときには、論文発表までの手順を学べるeラーニングのコースが役立ちます。 例えば、研究者のためのeラーニングプログラムであるEnago Learn(Choosing the Right…

就活に役立つ!LinkedIn活用法

世界中に5億人ものユーザーがいるビジネス特化型SNSのLinkedIn――このサービスが就職活動に活用できるのをご存じですか?LinkedInに自分のプロフィールを載せておくことで人脈が広がるだけでなく、仕事を見つけるのにも役立つかもしれないのです。今回は就職活動を念頭に、ネットワークを広げるLinkedInの効果的な活用法を見ていきましょう。 ■ プロフィールで自分を売り込む LinkedInのプロフィールにはたくさんの情報を掲載することができます。自身の顔写真や経歴、研究内容のスライド、自己PRの動画、さらには研究論文やソーシャルメディアへのリンクも掲載できるため、通常の応募書類に記載できる情報よりもはるかに細かく、自分をアピールすることができます。研究分野での功績を掲載するのと合わせて、同僚からの評価や、専門分野におけるスキルを保証する推薦文を追加することもできます。 また、LinkedInはSNSなので、多少カジュアルな書き方もOKです。提出用書類では使わないような流行語(buzzword)や、研究者同士で使うようなくだけた用語などを使って、読み手の興味を引き付けるのもよいでしょう。 プロフィールを作成する際、研究分野での実績を強調することはもちろんですが、特技やスキルなどのプライベートな一面を載せておくことも有効です。自分の研究分野には直接関係しなくても、他の分野や仕事につながる可能性があるからです。また、多様なスキルや趣味を持っていることはその人自身の魅力にもつながるでしょう。研究実績だけでなく、個性や魅力を最大限に引き出すために工夫してみましょう。 ただし、ダラダラと書き込み過ぎるのはNGです。あれもこれもと欲張りたくなりますが、長々と仔細に書かれたプロフィールを隅々まで読んでくれる人はそういません。LinkedInのプロフィールは、相手に自分のことをもっと知りたいと思ってもらうためのマーケティングツールです。パラグラフを短めに整えて見出しをつけたり、文章を補足する画像を数点入れ込んだりすれば、読み手は内容をぐっと理解しやすくなります。 LinkedInなら書式にこだわらず、プロフィール項目の順番を入れ替えることも可能です。研究成果、目立たせたい経験やスキルなどを効果的に配置し、戦略的に自分を売り込んでみましょう。 ■ ネットワークをつなげて人脈を作る プロフィールができたら、LinkedInでの本来の目的である人脈作りを進めていきます。ネットワークを作るために、まずは知っている人たちとつながることから始めるのは、他のSNSと同じです。同じ研究機関に勤める人たち、出身校が同じ人たち、さらには家族や親せきなどともつながっておくのもいいでしょう。 LinkedInには、知り合いの可能性があるユーザーを表示してくれる「もしかして知り合い?」という機能もあります。これまで自分がつながってきた人や他のユーザーとの共通点をもとに自動で表示されるので、ネットワークを広げたければ、学術的な実績だけでなく趣味なども登録しておくとよいでしょう。また既につながっているユーザーに対しては、自身の推薦を依頼したり、推薦文を書いてあげたりすることも可能です(その内容はプロフィールページに表示されます)。 LinkedInのユーザーは、世界中で5億人。思いがけないところから、自分のキャリアに重要な影響を持つ人と出会える可能性があります。自分の研究分野の人の集まりや特定のテーマに興味を持った人の集まりなど、たくさんのグループがあります。積極的に参加するところから始めて、ネットワークを拡大していきましょう。議論に参加すれば、新しい知見が得られるかもしれません。 ■ LinkedInはビジネスツールとして利用する LinkedInは多くのユーザーとつながることを可能にしますが、見ず知らずの人たちとつながることに不安を覚える方もいるでしょう。確かにFacebookのように、個人情報の取り扱いが問題になっているSNSもあります。しかし、FacebookやTwitterのような情報収集や拡散を目的としたSNSとは違い、LinkedInはあくまでもビジネスの人脈形成を目的としたSNSです。海外ではビジネスパートナーを探すことや、優秀な人材をスカウトすることなどに活用されており、ネットワークを広げることで新たなチャンスを得られるメリットのほうが、何らかのトラブルに巻き込まれるリスクよりも大きいと考えられています。もちろんプロフィールやネットワークを見て相手がどのような人かを判断するのは比較的に容易ですので、忘れずに行いたいところです。 明確な目的を持った場であるゆえ、利用する側のマナーもある程度、担保されています。仕事のエキスパートであり、かつビジネスマナーを踏まえていることが前提なので、安易な冗談や政治、宗教に関する自身の思想を投稿することは控えるべきでしょう。発言は、あくまでもプロフェッショナルとして、中立的な立場で行うべきです。 SNSが普及した近年では、就職したい先にレジュメを送るだけでは埋もれてしまい、興味を持ってもらえないことも多々あります。他の応募者と同じことをしているのでは、希望する職に就くことは容易ではありません。そこで重要になるのが、個人的なつながりです。前もって少しでも接点があれば、人はそれだけで親近感を覚え、興味を持ちやすくなるものです。LinkedInが一役買ってくれる可能性は、大いにあります。…

研究者におすすめのYouTubeチャンネル13選

YouTubeで視聴可能なeラーニングを一度でも利用されたことがある方は、多いのではないでしょうか。いる場所を問わず、インターネットにつながる環境さえあれば誰でもアクセスして学習ができるeラーニングは、いまや学生や教育者だけでなく、専門家や研究者に至るまで、広範囲に浸透しています。科学系のeラーニングの利用者は、この20年の間に9倍近く増加し、なんと約10億人が利用していると言われるほどです。 中でもYouTubeには無料のeラーニングコンテンツが多数あり、人気を集めています。著名な研究者によるウェビナー(オンラインセミナー)や科学実験の動画だけでなく、アイビー・リーグに所属する大学が提供するチャンネルもあります。大学院生や専門家、研究者のニーズをも満たすほどレベルの高いコンテンツや、教員や教授がオンライン授業の副教材として利用するものも増えてきているようです。こうしたコンテンツやチャンネルに人気がある理由として、手軽にアクセスできることのほか、レコメンド機能により関連性があり見たいと思わせるような別のチャンネルのコンテンツを見つけやすいこともあげられます。 中には数百万人にもおよぶユーザーにお気に入りとして登録されているものも。YouTubeで公開されているものを中心に、質の高い科学系チャンネルを紹介します。 ■ 高い人気を誇るオンライン科学系チャンネル ・Veritasium 科学系の講義やインタビュー、実験の動画を配信しているチャンネル。代表的な番組として、視聴回数およそ1,600万回の“Can Silence Actually Drive You Crazy?(無音の環境に置かれた人はおかしくなる?)”や、視聴回数がなんと2,000万回に迫る“Anti-Gravity Wheel?(無重力状態の回転車輪)”があげられます。 ・Vsauce ‘Mind Field’という科学の難問に挑戦するシリーズ番組を公開しています。自動運転を題材にした“The…

自分の論文を広く読んでもらうための7つのコツ

膨大な量の研究論文やデータが公開される今日、苦労して執筆した論文をできるだけ多くの人に読んでもらおうと思えば、それなりの工夫が必要です。論文をプロモーションするための7つのコツを紹介します。 ■ 識別番号をとって自分と論文を特定しよう 論文を読んでもらうためには、まず初めに自分の売り込みが必要です。研究者を(組織、専門分野、地域を越えて)1つのIDで識別する取り組みORCID(Open Researcher and Contributor ID)に登録し、自分のIDを取得することをお勧めします。研究者がORCIDの識別番号を一貫して利用することにより、名前や組織が変わっても研究者個人と業績を正しく結びつけることが可能になります。 また、研究論文にDOI(Digital Object Identifier)と呼ばれる識別子を付けることも推奨します。DOIは、ウェブ上の電子文献に付けられるコードです。商品のバーコードや、紙の書籍に対するISBNコードと同じと言えばわかりやすいでしょうか。この恒久的なコードであるDOIが付いていれば、たとえ電子ジャーナルのURLが変わったとしても、興味を持った人は、探したい論文にたどり着くことができるのです。 ■ 論文を読んでもらうための7つのコツ では、ここからは、より多くの人々に論文を読んでもらうためのコツを見ていきましょう。 1. 誰に読んでもらいたいかを考える  研究論文をより多くの人々に見てもらうためには、読者を念頭においた対策を取らなければなりません。対象はどういった人で、何に興味を持っているのか、どこにいるのか、同じ部門の同業者なのかなど、読者を想定した戦略が必要です。…

Twitterは研究者にも有益か-使用上の注意 (後編)

前編でツイートには3つのパターンがあることが調査から見えてきたことをお伝えしました。では、本当にツイート数の多さが論文閲覧数に影響するのでしょうか。3つのパターンと調査の結果を見てみます。 ■ パターン1. 1つのアカウントから複数回発せられたツイート ツイート数が最多となった論文は(アメリカで)264のツイートに登場し、高いAltmetricスコアを得ましたが、このツイートの73%(193)は、たった1つのアカウントから投稿されたものでした。しかも、このアカウントからの発信に書き込まれた該当論文へのリンクは65回、2番目に多くのツイートをしたアカウントからの発信に書き込まれたリンクは58回。この2つのアカウントはお互いにリツイートすることもあり、これらのアカウントからの発信を除くと、該当論文へのツイートは15と限られたものでした。ツイート数や書き込みリンクの数に違いはあっても、このように単独あるいは少数のアカウントから多数のツイートが発せられる傾向は他の論文にもあるようです。 ■ パターン2. アカウント管理者によるツイート 一方、別のアカウントから同じ内容のツイートが多数発せられることがあることもわかりました。このパターンの例として、1982年に発表された論文が51回も次々に同じ内容でツイートされたことがあげられます(2016年)。Twitterがリリースされる前の古い論文がツイートされること自体が稀ですが、Twitterのアカウントを有する歯科医らが、アカウントの管理を同じ会社に委託していた結果、同じ内容のツイートが発せられたと考えられています。歯科医師らは患者とのコミュニケーションにTwitterを使用していましたが、委託を受けた管理者は、投稿にはオリジナルのテキストを使うと約束していたにもかかわらず、コピーしたテキストを繰り返し貼り付けて投稿していたのです。このようなパターンも散発的ではありますが、存在しています。 ■ パターン3. 情報共有の広がりを示すツイート もうひとつのパターンは、投稿を見た研究者が、実際に内容に興味を持ったことを示すツイートです。本来はこのパターンが多くなるべきなのですが、真摯に論文について書き込んだ投稿数がトップではないことは問題です。トップ10に入った1つの論文への59のツイートは、41の異なるアカウントからツイートされていました。これは、興味を持った研究者たちが、個別にツイートまたはリツイートしたことを示しています。 ■ 調査結果から見えてくるのは―― トップ10本の論文へのツイートが、データ全体の8.4%を占めていること、それらのツイートには上述のパターンが見られることなどから、単独または少数による頻繁な投稿がツイッター上では大きな役割を果たしていることが見られました。また、データの中にはbotで作成されたツイート(設定された条件で自動発言をする機能を使ってツイートすること)も含まれることも踏まえ、この調査では機械的な発信か人による発信かの特徴に注意した分析も行っています。このような実態を踏まえると、ツイート数を論文の評価指標として組み込むには、不適切なフォロワーやbotによるツイートなどを除外するアルゴリズムの導入など、まだまだ課題は多そうです。この状況を理解した上で論文についてツイートするのであれば、専門知識などを駆使し、明らかに人(研究者)によるツイートとわかる内容を投稿することによって研究成果の拡散効果を上げる必要がありそうです。 ■ Twitterは一長一短 学術研究についてツイートすることが有益か否かは、意見が分かれるところではないでしょうか。Twitterでなら新しい研究について意見を交換したり、以前の研究の価値について議論したりと、研究者仲間とオープンなコミュニケーションができると言う研究者もいます。一方で、発表した論文の影響力を強化するためにTwitterが有益であるかについて懐疑的な意見があるのも事実です。前述の調査結果を見ると、単純にツイート数が多いことが、該当記事への関心の高さを示すものではないことがわかります。また、ツイートの数を研究への関心の高さと見なすことも危険です。関心を引くためにわざと挑発的な内容や物議を醸すようなコメントを残すのはもってのほかですし、炎上したツイート数を評価に含めるようなことをすれば、いかなる研究分野であっても悪い影響を与えかねません。ツイート数の分析に注意が必要なことは明らかです。 Twitterの利用は一長一短です。コミュニケーションには便利なツールですが、研究論文を周知することや、影響度を向上させるために使おうとすれば、それなりの注意と方針が必要です。SNSの発展と利用拡大に伴い、オルトメトリクスのような新しい評価指標が登場したことで、研究者もSNSと無縁ではいられなくなってきています。しかし、TwitterなどのSNSを使いこなすには、時間と労力を要します。研究活動を広める目的で利用し始めたのに、ツイート数を増やすことが目的になってしまっては本末転倒です。SNSの利点をうまく活用するためのアドバイスは、さまざまな場所(インターネットや若手研究者からの口コミなど)で入手できるので、自分にあった活用法を探ってみてください。情報を役立てつつ、うまく活用することで、思わぬ成果が得られる可能性はあるのです。 ※ Twitterは研究者にも有益か-使用上の注意 (前編)はこちら こんな記事もどうぞ:…

Twitterは研究者にも有益か-使用上の注意 (前編)

Twitterといえば、トランプ米大統領の書き込みがたびたび話題をさらっています。このソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の最大の威力は、発信された情報が、まさに瞬間的に世界中に拡散されること。このメリットを活用すべく、Twitterの利用は学術界にも波及しており、発信する文字数が制限(280文字、ただし日本語・中国語・韓国語は拡大対象外)されているにも関わらず、研究活動に役立てる研究者も増えているようです。 ■ 研究活動にTwitter? Twitterに限らずSNSをコミュニケーション・ツールとして使いこなす研究者は少なくありません。多くの研究者が、「科学者・研究者のためのFacebook」と呼ばれるResearchGateやAcademia.eduのようなプラットフォームで、研究の共有・情報交換を行っています。無論、FacebookやTwitterの利用者も多いことでしょう。 発信できる文字数に明確な限りがあるTwitterが本当に研究活動の助けになるのか?半信半疑な方もいると思います。しかも、フェイクニュースが話題になるように、発信される情報の信頼性の確保や、無遠慮なリツイートによる炎上といった、社会的な問題をも内包しているTwitterは本当に大丈夫なのか?信頼性が重要視される学術界において、Twitterを使うことで、研究の面白さや重要性を損なってしまうリスクは十分に考えられます。 ■ Twitterの投稿は論文の評価に影響するか 2017年8月、研究論文をツイートすることで論文閲覧数に影響が出るかを調査した結果が、オープンアクセス・ジャーナル「PLOS ONE」に発表されました。これはTwitterへの投稿が、学術論文の影響度評価の新たな指標として注目される「オルトメトリクス(SNSでの拡散の度合いも評価対象に含めて論文の影響力を計る新しい指標)」に影響を及ぼすかを調べたものです。つまり、この調査で対象とした歯学分野の研究論文へのリンクを書き込んだツイートを調査することで、積極的なTwitter利用が、論文の周知や他の研究者の興味を引くことに貢献したかを見ようとしたのです。 調査の対象となった論文は、2016年に発表されたWeb of Science(WoS)に登録された84誌とPubMedに登録された47誌の中から抽出。2011年から2016年までの5年間に執筆された4,358本の論文について、2,200以上の米国内の個人アカウントから発信された8,206のツイートの分析が行われました。 ■ 分析内容 ・WoSの引用数とツイート数の比較 ・論文あたりのツイートされた数 ・論文あたりのツイートしたアカウントの数 ・投稿されたテキストにおける変異…